個人事業主や中小企業は、大企業に比べ、金融機関からの融資を得にくい傾向があります。そのため、国の各省庁による助成金・補助金を利用することも少なくないでしょう。
本記事では、個人事業主や中小企業が申請できる補助金・助成金について解説します。制度の種類と違い、各制度のメリット・デメリットや注意点を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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補助金・助成金・支援金とは
補助金・助成金は、事業の開始や継続のために、国や地方公共団体が申請者に対して支給するお金です。
一方で支援金は、特定の理由で非常事態に陥った事業者を支援するためのものです。
補助金とは
補助金は、経済産業省が主導している制度です。その目的は、事業の開業や拡大、新商品の開発や研究、環境保護や社会貢献など、多岐にわたります。
審査は比較的難しい傾向にあり、必ず採択されるとは限りません。また、事業を実施したあとに費用の一部が支給されるため、十分な初期費用を準備する必要があります。
助成金とは
助成金は、厚生労働省が主導している制度で、そのほとんどが雇用促進や雇用維持、雇用保険被保険者の待遇改善に関わるものです。補助金と違い、条件を満たしていれば受け取れます。
支援金とは
支援金(給付金)は、災害といった理由で非常事態に陥った人々や企業、団体などに対し、一時的に財政的支援をするための制度です。国や地方公共団体から支給されます。
例としては、新型コロナウイルスの際に実施された持続化給付金が挙げられます。
▼コチラの記事にて補助金・助成金・給付金の違いについて詳しく解説しています。
個人事業主・中小企業が申請できる主な補助金
中小企業省力化投資補助金
目的:省力化設備やIoT・ロボットの導入を通じ、中小企業の生産性向上と人手不足解消を支援する。
対象者:中小企業・小規模事業者。
補助上限金額/補助率:最大1億円。原則1/2(賃上げ特例の適用で2/3)。
ポイント:あらかじめ登録された製品を選ぶ「カタログ型」のため、手続きが比較的簡便。
▼中小企業省力化投資補助金について詳しくはこちら
中小企業新事業進出補助金
目的:新規事業や新市場への展開、業態転換といった大胆な経営再構築を支援する(事業再構築補助金の後継制度)
対象者:新分野・新市場に挑戦する中小企業・個人事業主
補助上限金額/補助率:2,500万~9,000万円。原則1/2。
ポイント:成長性や賃上げなどが必須要件。金融機関との連携も重要となる。
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ものづくり補助金
目的:中小企業等による新製品・サービスの開発や生産プロセスの革新、グローバル展開や高付加価値化を支援する。
対象者:中小企業・小規模事業者(製造業・サービス業等)。
補助上限金額/補助率:750万~2,500万円(グローバル枠等最大3,000万円)。中小企業は1/2、小規模事業者は2/3。
ポイント:賃上げや最低賃金の要件がある。設備投資そのものだけでなく、事業計画の革新性や将来性が重視される。
▼ものづくり補助金について詳しくはコチラ
小規模事業者持続化補助金
目的:小規模事業者の販路開拓や生産性向上などを支援する。
対象者:従業員が5人または20人以下の小規模事業者(業種により異なる)。
補助上限金額/補助率:50万~250万円。原則2/3(赤字事業者の場合など条件により3/4)。
ポイント:地域の商工会・商工会議所による確認・支援が必須。事業計画の質が採択を大きく左右する。
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IT導入補助金
目的:中小企業等のITツール・システム導入による業務効率化やDX推進を支援する。
対象者:中小企業・小規模事業者(全業種)。
補助上限金額/補助率:5万~450万円前後(枠により最大3,000万円)。補助率は1/2~4/5(枠により異なる)。
ポイント:「IT導入支援事業者」と連携して申請する。クラウドサービスやセキュリティ対策など、多様な枠が用意されている。
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事業承継・引継ぎ補助金
目的:円滑な事業承継やM&A、およびそれを契機とした経営革新を支援する。
対象者:事業承継やM&Aを予定、または実施した中小企業・小規模事業者。
補助上限金額/補助率:150~2,000万円。原則1/2(一部条件により2/3)。
ポイント:コンサルタントの活用費用や、元の事業の廃業費用も対象になるのが特徴。
▼事業承継・引継ぎ補助金補助金について詳しくはこちら
都道府県の創業支援
目的:地域の活性化のため、新規創業者や起業家を支援する。
対象者:各都道府県の要件を満たす、創業予定者または創業後まもない法人・個人。
補助上限金額/補助率:150~400万円(一般的には200万円程度)。補助率は1/2~2/3。
ポイント:自治体によって制度が大きく異なるため、事業を行う地域の窓口で確認が必須。
個人事業主・中小企業が申請できる助成金
地域雇用開発助成金
雇用機会が特に不足している地域(同意雇用開発促進地域など)において、事業所を設置または整備し、その地域に居住する求職者を雇い入れる事業主を支援する助成金です。
事業所の設置・整備にかかった費用と、対象となる労働者の増加数に応じて、1年ごとに最大3回にわたって助成金が支給されます。支給額は、計画書を提出し、完了した各支給対象期(1年ごと)の実績に基づき決定されます。
人材開発支援助成金
従業員のキャリア形成を促進するため、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練(OJTとOff-JTの組み合わせなど)を計画的に実施した事業主に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成されます。
2025年現在は、デジタル人材や高度人材を育成する「人への投資促進コース」や、新規事業への進出などに伴う「事業展開等リスキリング支援コース」など、7つのコースに再編・整理されています。
トライアル雇用助成金
就職が困難な求職者(例:離職期間が長い、就業経験が少ない等)を、ハローワーク等の紹介により、原則3ヶ月間の試行雇用(トライアル雇用)をする事業主に対して支給される助成金です。
トライアル雇用終了後、常用雇用へ移行することが前提です。支給額は、対象者1人あたり月額最大4万円(特定の対象者は最大5万円)が最長3ヶ月分支給されます。
個人事業主・中小企業が補助金・助成金を申請するときのメリット・デメリット
メリット
返済の必要がない
補助金や助成金は、融資と異なり、基本的に返済の必要がありません。そのため、支給されたお金を必要なところに惜しみなく利用できます。
事業の助けになる
補助金や助成金は、事業維持のための販路開拓、事業の転換に取り組む事業者を支援するものも多く、事業の助けになります。補助金や助成金を活用することで、金銭的負担を最小限に抑えつつ、事業の転換や開拓を進められます。
人材や設備に尽力できる
規模の小さい個人事業主や中小企業の場合、設備や人材に投資する資金が不足しているケースが少なくありません。補助金や助成金により、資金の調達の悩みを解消し、設備や人材への投資を実現できるでしょう。
自社経営を見直す機会になる
補助金申請の際には、経営計画書の提出が必要です。自社の強みやプランなどを考えることは、経営を見直す良い機会となるでしょう。計画書の作成にあたっては、商工会議所や商工会の助言を受けることもできます。
デメリット
補助金・助成金を申請するデメリットを解説します。
デメリットを回避するために、プロによるサポートを受けるという選択肢もあります。
手続きが難しい
多くの書類の提出が求められるため、申請に慣れていないと多くの手間と時間がかかるでしょう。仕事をしながら自身で手続きを進めていくことも、負担になる可能性があります。
受給が難しいものもある
予算額や採択件数が定められている制度もあり、時間をかけて申請しても、必ず受給できるとは限りません。申請者の多い補助金は、特に競争が激しくなるため、手間や時間も考えて検討する必要があります。
▼補助金申請支援の依頼について
個人事業主・中小企業が補助金・助成金を申請する際の注意点
補助金・助成金を申請する際の注意点を紹介します。
支給されるまで時間がかかる
補助金・助成金は原則後払いです。一旦、初期費用を自己負担するため、十分な事業の運用資金を準備する必要があります。
申請期間が短いものもある
予算や採択件数が決まっている補助金では、申請期間が短く設定されているケースも少なくありません。事前にスケジュールを立てて、申請の準備を進めましょう。
要件を満たす必要がある
補助金や助成金は、細かく要件が定められています。募集要項は厚生労働省などのホームページで確認できるため、事前にしっかり確認することをおすすめします。
補助金・助成金の申請の流れ
補助金・助成金の申請の流れは、基本的には以下の通りになります。
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1. 公募申請 2. 審査から採択決定 3. 交付申請・交付決定 4. 補助事業期間 5. 完了報告・検査 6. 補助金受領
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補助金や助成金の種類によって異なるため、申請にあたっては必ず募集要領を確認しましょう。
▼補助金申請から交付までの流れについて
まとめ
補助金や助成金は、金融機関からの融資が難しい中小企業や個人事業主にとって、とても有益な制度です。
申請を正しく行い、採択される可能性を上げるには、認定支援機関や専門家への相談が重要です。
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この記事の執筆者

村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。