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コンプレッサー更新に補助金は使える?採択事例と補助率を中小企業診断士が解説

目次

工場のコンプレッサーが古くなり、更新コストに頭を悩ませていませんか。コンプレッサーの高効率更新は、国の省エネ補助金(設備単位型・工場・事業場型)の活用に最も適した設備投資のひとつです。本記事では、2026年度公募の補助率・要件から、コンプレッサー2台を1台に統合して採択された実例、申請5ステップと不採択パターンまでを解説します。補助金支援実績1,500社超・認定支援機関のプランベースが、現場の知見をもとにまとめました。

▼ この記事の結論
コンプレッサーの高効率更新には省エネ補助金が使えます。1台からの更新なら設備単位型(補助率1/3・上限1億円)、生産設備を含む工場全体の一体更新なら工場・事業場型(中小2/3)が候補です。2次公募の締切は2026年7月9日です。

コンプレッサー更新と補助金の基本

工場のエアコンプレッサー(空気圧縮機)の更新は、国の省エネ補助金を活用しやすい設備投資の代表格です。とくに省エネ補助金(正式名称: 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金等)の「設備単位型」と「工場・事業場型」の2つの申請類型では、コンプレッサーが補助対象として明確に位置付けられており、高効率機への更新で投資額の一部について補助を受けられます。

コンプレッサー更新が検討される3つの背景

コンプレッサーは多くの工場で圧縮エアの供給源として常時稼働しており、工場の電力消費の中でも大きな割合を占める設備です。当社に寄せられる更新相談の背景として多いのは、次の3つです。

  • 老朽化・故障リスク: 長年稼働した機体の突発停止は生産ライン全体の停止に直結するため、計画的な更新が必要になる
  • 電気代の削減: 電力単価の高止まりが続くなか、常時稼働するコンプレッサーの高効率化は削減効果が出やすい
  • 生産増強: 生産設備の切り替えや増設に伴い、より高性能・大容量のコンプレッサーが必要になるケース

いずれの動機でも、省エネ性能の高い機種への「更新」という形を取れば補助金活用の土俵に乗ります。ただし、補助金ごとに「単純な入れ替えでは不可」「省エネ効果の立証が必要」といった要件があるため、その見極めが本記事のテーマです(詳しくは第2章で解説します)。

結論: 省エネ補助金の「設備単位型」「工場・事業場型」が本命

コンプレッサー更新に使える補助金の本命は、省エネ補助金の2類型です。コンプレッサー1台からの更新なら「設備単位型」(補助率1/3以内・上限1億円)、コンプレッサーを含む複数設備の一体的な省エネ改修なら「工場・事業場型」(中小企業は最大2/3以内・上限15億円)が候補になります。どちらを選ぶべきかは投資規模と省エネ効果の出し方で変わるため、第3章で詳しく比較します。

2026年度の公募スケジュール

2026年6月時点では、令和7年度補正予算による2次公募が2026年6月1日(月)〜7月9日(木)17時(必着)で実施されています。交付決定は2026年9月上旬予定、単年度事業の事業完了期限は2027年1月31日です。補助金は交付決定前に発注した設備は対象外となるため、「先に買ってから申請」はできません。更新を検討中の方は、公募スケジュールから逆算した準備が必要です。

コンプレッサーは補助金で買えるのか — 審査の見方

結論から言うと、コンプレッサーの高効率更新は省エネ補助金をかなり使いやすい投資です。理由は3つあります。第一に、省エネ補助金(設備単位型)の指定設備に該当し、製品型番ベースで申請しやすいこと。第二に、常時稼働する設備のため省エネ効果の定量化がしやすく、実測データも取りやすいこと。第三に、インバータ(VSD)機をはじめ高効率機種が市場に揃っており、既存機とのスペック差を明確に示しやすいことです。

審査員視点で高評価される投資ロジック

省エネ補助金の審査で最も重要な指標は「経費当たり省エネ量」です。公募要領では申請要件として「①省エネ率10%以上 ②省エネ量1kl(原油換算)以上 ③経費当たり省エネ量1kl/千万円以上のいずれか」が定められていますが、採択ラインを左右するのは要件を満たすかどうかだけでなく、投じる補助対象経費に対してどれだけ大きな省エネ量を生むか、という費用対効果です。審査では、この数値が高い事業ほど評価される傾向にあります。

省エネ量の算出方法は2通りあります。補助事業ポータルに導入予定設備の稼働時間等を入力すると自動計算される「指定計算」と、申請者が自ら計算過程と根拠データを示す「独自計算」です。コンプレッサーは稼働時間・負荷率の実態が工場ごとに大きく異なるため、実測データに基づく独自計算で実態に近い省エネ量を示せると、指定計算の一律値よりも有利な数値になるケースがあります。当社では、クランプ式電力計を用いた実測データをもとに省エネ計算を組み立てる支援を行っています。

落ちやすい3つのパターン

一方で、コンプレッサー案件には落ちやすい典型パターンがあります。実際の支援現場でよく見るのは次の3つです。

  • 省エネ効果を示せない単純更新: 同等スペックの後継機にそのまま入れ替えるだけでは、省エネ率・省エネ量を定量的に示せず申請の土俵に乗らない
  • 設備価格に対して稼働率が低い: 機械代が高い割に稼働時間が短いと「経費当たり省エネ量」が伸びず、要件は満たしても評価点で不利になる
  • 既存設備の稼働データを把握していない: 公募要領上、稼働時間・負荷率を把握していない場合は省エネ量に裕度(安全率)を見込む必要があり計画値が目減りするうえ、成果報告時の補正計算も認められない

なお、公募要領には「単純に生産量や稼働時間を減らすだけの省エネルギー量は計算に入れないこと」と明記されています。あくまで設備の効率向上による削減を示す必要があります。

補助金活用に向く投資規模と事前準備

設備単位型の補助下限額は30万円(対象は設備費のみ)で、コンプレッサー更新では数百万〜数千万円の投資額帯が中心レンジです。さらに、工作機械やプレス機械など生産設備の入れ替えと合わせて「工場全体を一気に新しくしたい」というケースでは、補助率・上限額が大きい工場・事業場型が視野に入ります。コンプレッサー単体で考えるより、生産設備とまとめた一体更新として計画する方が、補助金の選択肢も補助額も広がるのです(詳細は第3章)。

申請前の事前準備としては、次の3点を押さえておくと審査対応がスムーズです。

  • 既存機の稼働時間・負荷率のデータを把握しておく(日報や電力実測)
  • 直近の電気代・電力使用量を整理しておく
  • 可能であれば導入候補機の見積を取っておく

コンプレッサーに使える省エネ補助金 — 設備単位型と工場・事業場型

コンプレッサー更新に使える補助金の本命は、省エネ補助金(設備単位型)省エネ補助金(工場・事業場型)の2つです。1台からの更新か、生産設備を含めた工場全体の一体更新かで、選ぶべき型が変わります。本章では令和7年度補正予算 2次公募(2026年6月1日〜7月9日)の公募要領に基づき、それぞれの補助率・上限・要件と使い分けを解説します。省エネ補助金全体の制度構成は省エネ補助金 総合解説(/column/energy-saving-subsidy/)もあわせてご覧ください。

省エネ補助金(設備単位型)— 1台からの更新に使える本命

省エネ補助金(設備単位型)(/column/setsubitani/)は、SIIが公表する省エネ性能基準を満たした「指定設備」への更新を支援する類型で、コンプレッサーは指定設備の「産業用モータ(圧縮機)」区分に該当します。製品型番ベースで対象可否を確認できるため、コンプレッサー1台からの更新で最も使いやすい補助金です。

主な条件は次のとおりです(令和7年度補正 2次公募・従来枠)。

  • 補助率: 1/3以内(中小企業・大企業とも)
  • 補助金額: 上限1億円/事業全体、下限30万円
  • 対象経費: 設備費のみ(設置工事費・設計費は対象外)
  • 省エネ要件: ①省エネ率10%以上 ②省エネ量1kl(原油換算)以上 ③経費当たり省エネ量1kl/千万円以上 のいずれか

注意点は工事費が補助対象にならないことです。配管工事や基礎工事の費用は自己負担となるため、投資計画では設備費と工事費を分けて見積もる必要があります。

省エネ補助金(工場・事業場型)— 生産設備とまとめた一体更新に

省エネ補助金(工場・事業場型)(/column/energy-saving-koujyo-jigyojyo/)は、工場・事業場単位での省エネ改修を支援する類型です。コンプレッサー単体ではなく、工作機械やプレス機械などの生産設備の入れ替えと合わせて「工場全体を一気に新しくする」計画に向いています。オーダーメイド型設備(個別設計の生産設備)も対象にできるのが設備単位型との大きな違いで、設計費・設備費・工事費まで補助対象に含められます。

主な条件は次のとおりです(令和7年度補正 2次公募)。

  • 補助率(先進枠): 中小企業2/3以内、大企業1/2以内
  • 補助率(一般枠): 中小企業1/2以内(投資回収年数5年未満の事業は1/3以内)
  • 補助金額: 上限15億円/事業全体(非化石転換の場合20億円)、下限100万円
  • 省エネ要件(一般枠): 省エネ率10%以上、省エネ量700kl以上、原単位改善率7%以上のいずれか(中小企業投資促進枠は7%・500kl・5%に緩和)

コンプレッサーの更新を検討しているなら、これを機に老朽化した生産設備もまとめて入れ替える計画に広げることで、補助率・上限額の大きい工場・事業場型を狙うという選択肢はぜひ検討すべきです。設備単位の要件として、オーダーメイド型設備は「経費当たり省エネ量1kl/千万円以上」を満たす必要がある点だけ押さえておきましょう。

GX設備単位型 — トップ性能機ならさらに有利な枠も

設備単位型にはGX要件を満たしたメーカーの設備を対象とする「GX設備単位型」もあります。トップ性能枠では、圧縮熱を回収して排熱活用できる「熱回収機能」を搭載したエアコンプレッサがトップ性能設備として明記されており、補助率は中小企業1/2以内・上限3億円と従来枠より手厚くなります。GX要件を満たすメーカーの指定設備へ更新するメーカー強化枠(1/3以内・上限3億円)もあり、詳しくはメーカー強化枠の解説記事(/column/energysaving_maker/)をご覧ください。

比較表 — どちらを選ぶべきか

2つの型の使い分けを表に整理します。

項目設備単位型(従来枠)工場・事業場型
補助率1/3以内(企業規模問わず)中小2/3以内(先進枠)〜1/2以内(一般枠)
上限額1億円15億円
対象経費設備費のみ設計費・設備費・工事費
向くケースコンプレッサー1台〜数台の更新生産設備を含む工場全体の一体更新
今後の公募2次公募が今年度最終3次公募の予算あり

目安としては、コンプレッサー単体・数百万〜数千万円の投資なら設備単位型、生産設備も含めて工場全体で省エネ率10%以上を狙える大型計画なら工場・事業場型です。スケジュール面では、設備単位型(従来枠)の公募は年2回と公募要領に明記されており、2次公募(締切2026年7月9日17時必着)が今年度最後のチャンスです。一方、工場・事業場型とGX設備単位型には3次公募の予算が組まれています(1次・2次の採択状況により予算は変動)。最新の公募情報は省エネ・非化石転換補助金の特設サイト(https://syouenehojyokin.sii.or.jp/)および資源エネルギー庁(https://www.enecho.meti.go.jp/)で確認できます。

地域の省エネ補助金という選択肢も

国の省エネ補助金のほかに、都道府県が主体となって省エネ設備更新を支援する補助金を実施しているケースがあります。対象設備・補助率・公募時期は自治体や年度によって異なりますが、国の補助金のスケジュールが合わない場合や、より小規模な投資の場合には、工場所在地の都道府県・市区町村の補助金を探してみるのも一つの手です。

採択事例と数値シミュレーション — コンプレッサー2台を1台に統合した実例

本章では、当社が申請支援を行い採択された、コンプレッサー更新による省エネ補助金活用の実例を紹介します。投資額・補助金額・省エネ効果の目安まで具体的に解説するので、自社の投資計画の参考としてご活用ください。

採択事例: 産業機械メーカーA社(静岡県)の工場

A社は静岡県の産業機械メーカーです。工場で24時間稼働していた既存コンプレッサー2台が老朽化していたため、エアドライヤー内蔵・インバータ制御の高効率機1台への統合更新を計画し、過去の省エネ補助金(設備単位型に相当する区分)に申請しました。

事業の概要は次のとおりです。

  • 投資内容: コンプレッサー2台 → 高効率インバータ機1台に統合更新
  • 投資額: 約1,200万円
  • 補助金額: 約400万円(補助率1/3)
  • 結果: 採択・交付決定を受け、設備導入から実績報告まで完了

ポイントは、単なる老朽化更新ではなく「2台を1台に統合し、インバータ制御で負荷に応じた運転に切り替える」という省エネ効果を定量的に説明できる構成にしたことです。

投資前後の省エネ効果

申請時の省エネ計算は、SIIの「省エネルギー量計算の手引き(指定計算・産業用モータ)」の計算式をベースにしつつ、運転負荷率は電力会社に依頼した24時間の実測データで裏付けました。さらに、月ごとの稼働変動を工場全体の電力使用量に比例させて年間展開し、実態に即した計算としています。

その結果、定速機2台からインバータ制御の1台に統合することで、省エネ率は約11%となり、設備単位型の省エネ要件「省エネ率10%以上」をクリアする水準を確保できました。電力量に換算すると、年間およそ7万kWhの削減に相当する概算です。

投資回収年数の考え方

電気代の削減額は、産業用電力の単価を仮に25円/kWhと置くと、年間約7万kWh×25円=約175万円/年の削減という概算になります(単価は契約条件・地域により変動するため、あくまで目安です)。

この前提でA社の投資回収を概算すると、投資額約1,200万円に対して補助金約400万円を受給したため、実質負担は約800万円。補助金なしなら回収約7年のところ、補助金活用で約5年に短縮された計算です。実際の回収年数は稼働時間・電力単価・既存機の劣化度合いで大きく変動するため、参考値としてとらえてください。

採択された事業計画書の3つの特徴

A社の申請が採択に至ったポイントは、次の3つに整理できます。

  • 実測データによる裏付け: 運転負荷率をカタログ想定値ではなく24時間の実測で示し、省エネ計算の信頼性を高めた(稼働条件を把握していることで、裕度・補正計算の面でも有利)
  • 「統合+インバータ化」で省エネ率を確保: 2台→1台への統合とインバータ制御の組み合わせで、単純更新では出せない省エネ率約11%を実現した
  • 季節変動を考慮した丁寧な年間展開: 1時点の実測値を機械的に12倍せず、工場全体の月別電力量に比例させて季節変動を反映した

いずれも第2章で述べた「経費当たり省エネ量」「計算根拠の確かさ」に直結する工夫です。コンプレッサー更新で補助金を狙うなら、この3点はそのまま再現可能なノウハウといえます。

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コンプレッサー補助金の申請5ステップ — 検討から受給まで

省エネ補助金の申請から受給までの流れは、大きく5つのステップに分解できます。2次公募の締切は2026年7月9日のため、これから準備する場合は逆算したスケジュール管理が重要です。各ステップのやることと、現場で詰まりやすいポイントを順に解説します。

現状把握 — 稼働データと電気代の整理

最初にやるべきは、既存コンプレッサーの稼働実態の把握です。具体的には、稼働時間(日報等)、電気使用量・電気代の実績、既存機の定格出力などのスペック情報を整理します。データが揃っていない場合は、電力計による実測も検討します。

経験的に、ここで詰まる事業者が最も多いのが実情です。典型は「稼働データをそもそも記録していない」「設備が古すぎて銘板やカタログが残っておらず、既存機の情報がよく分からない」というパターンです。第2章で述べたとおり、稼働条件を把握できていないと省エネ量の計画値が目減りするため、早めの着手が肝心です。

補助金の型と導入機種の選定・3者見積

次に、投資規模に応じて設備単位型か工場・事業場型かを選び(第3章参照)、導入する機種を選定します。補助対象経費は原則3者以上の価格競争による最低価格が上限となるため、複数メーカー・販売店からの見積取得が必要です。納期もこの段階で確認しておきましょう。

省エネ計算と交付申請

省エネ量を指定計算または独自計算で算出し、補助事業ポータル(Web)への入力と必要書類の提出を行います。指定計算の場合はメーカー発行の「製品情報証明書」、独自計算の場合は計算過程と根拠データの資料が必要です。

難所は計算そのものです。原油換算や負荷率の設定など、省エネ計算を社内で組める人材がいない、というご相談は非常に多くいただきます。なお、申請書類はコンプレッサーだからといって特別なものは限定的ですが、審査の過程でSIIから機種選定の理由書などの追加資料を求められることがあり、その際は個別対応が必要です。

審査〜交付決定・設備導入

2次公募の交付決定は2026年9月上旬予定です。発注・契約は交付決定後でなければならず、先に発注した設備は補助対象外になります。交付決定後は、設備の納期を踏まえて発注・設置・支払いを進め、単年度事業の場合は2027年1月31日までに事業を完了させる必要があります。コンプレッサーの納期は機種や時期により変動するため、機種選定の段階で確認した納期から逆算した進行管理が難所になります。

実績報告・補助金受給・成果報告

事業完了後、実績報告を提出し、確定検査(書類検査・現地調査)を経て補助金が支払われます(2次公募のスケジュールでは2027年1月末〜3月末の支払い予定)。また、受給して終わりではなく、導入設備の省エネ効果を報告する成果報告の義務があります(提出期日は事業完了の翌々年度5月末)。最初の現状把握で稼働条件を押さえておくことが、この成果報告の場面でも効いてきます。

当社プランベースでは、電力実測による現状把握から省エネ計算・申請書類の作成、採択後の実績報告・成果報告まで一気通貫で支援しています。「計算ができる人材がいない」「データが揃っていない」という段階からでもご相談いただけます。

コンプレッサー補助金でよくある不採択パターンと対策

「コンプレッサーの補助金申請で落ちた」というケースには、はっきりした傾向があります。不採択の典型はパターン化できるため、裏を返せば事前の備えで採択率は高められます。本章では、現場で見てきた4つの不採択パターンと、その対策を解説します。

パターン①: 単純更新で省エネ効果を示せない

最も多いのがこのパターンです。同等スペックの後継機にそのまま入れ替えるだけの「単純更新」では、省エネ率・省エネ量を定量的に示せず、申請要件を満たせません。

対策は、更新を「効率が上がる構成」として設計することです。具体的には、インバータ(VSD)機への切り替え、複数台の統合、負荷実態に合った容量の適正化などです。第4章の事例のように「定速機2台→インバータ機1台への統合」といった構成にできれば、省エネ効果を明確に説明できます。

パターン②: 経費当たり省エネ量が伸びない

第2章で述べたとおり、審査では「経費当たり省エネ量」が重要指標です。機械代が高い割に稼働率が低いと、要件(1kl/千万円以上)はぎりぎり満たせても評価面で不利になります。

対策は、申請する投資の構成を見直すことです。稼働時間の長いライン・設備から優先的に更新対象にする、相見積で設備価格を適正化するなど、分子(省エネ量)と分母(経費)の両面から数値を改善できます。

パターン③: 省エネ計算の根拠が弱い

稼働時間や負荷率のデータがないまま申請すると、省エネ量に裕度(安全率)を見込む必要が生じて計画値が目減りするうえ、計算根拠の説得力も落ちます。根拠資料の不備で審査が進まないケースもあります。

対策はシンプルで、申請前にデータを揃えることです。日報による稼働時間の記録、電力実測による負荷率の把握など、第5章で述べた現状把握を丁寧にやることがそのまま採択率向上につながります。

パターン④: 手続き面のミス

内容は良くても、手続きでつまずくケースがあります。代表例は「交付決定前に発注してしまい補助対象外になる」「3者見積が揃っていない」「締切(2次公募は2026年7月9日17時必着)に間に合わない」の3つです。いずれも公募要領の手続きルールを正確に押さえ、スケジュールを逆算して動くことで防げます。

不採択だったときの動き方

不採択でも、設備投資の計画自体を諦める必要はありません。ただし設備単位型(従来枠)の公募は年2回で、2次公募が今年度最終です。不採択となった場合の選択肢は、①生産設備を含む計画に広げて工場・事業場型(3次公募の予算あり)で再構成する、②GX設備単位型の枠を検討する、③来年度の公募に向けてデータ整備と計画を磨き直す、④都道府県など地域の補助金を探す、の4つが現実的です。再申請の際は、本章のパターン①〜③を見直したうえで、省エネ計算の根拠を強化することが通過のポイントになります。

コンプレッサー補助金のよくある質問(FAQ)

Q. コンプレッサーの更新に補助金は使えますか?

A. はい、使えます。本命は省エネ補助金の「設備単位型」と「工場・事業場型」の2類型で、コンプレッサーは設備単位型の指定設備(産業用モータ・圧縮機区分)に位置付けられています。ただし高効率機への更新で省エネ効果を定量的に示せることが条件です。制度全体像は省エネ補助金 総合解説(/column/energy-saving-subsidy/)をご覧ください。

Q. コンプレッサー補助金の補助率はどのくらいですか?

A. 設備単位型(従来枠)は補助率1/3以内・上限1億円です(企業規模を問わず)。生産設備を含む工場全体の一体更新で使える工場・事業場型なら、先進枠で中小企業2/3以内・上限15億円まで広がります。投資の規模と構成によって最適な型が変わるため、詳しくは第3章の比較をご参照ください。

Q. 設置工事費や配管工事も補助対象になりますか?

A. 設備単位型は補助対象が「設備費のみ」で、設置工事費・配管工事費・設計費は対象外です。工事費まで補助対象に含めたい場合は、設計費・設備費・工事費まで対象になる工場・事業場型の活用を検討してください。いずれの場合も、見積書の段階で設備費と工事費を明確に分けておくことが重要です。

Q. 補助金の申請前に設備を発注してもいいですか?

A. いいえ、できません。交付決定の通知前に発注・契約した設備は補助対象外となります。2次公募のスケジュールでは交付決定が2026年9月上旬予定のため、発注はそれ以降です。納期が長い機種を検討している場合は、交付決定後すぐ発注できるよう、見積・仕様の確定までを申請段階で済ませておきましょう。

Q. 中古のコンプレッサーやリース導入は対象になりますか?

A. 中古品は対象外です(公募要領の設備要件に明記)。一方、リースの利用は可能で、その場合は設備使用者とリース事業者の共同申請となり、補助金相当分がリース料から減額されることを証明する書類の提出が必要です。リース活用を考えている場合は、申請前にリース会社と補助金対応の可否を確認しておくとスムーズです。

まとめ — コンプレッサー補助金で押さえるべき要点

コンプレッサーの高効率更新は、省エネ補助金を活用しやすい設備投資の代表格です。設備単位型なら1台からの更新で補助率1/3、生産設備とまとめた工場全体の一体更新なら工場・事業場型で中小企業2/3まで補助が広がります。老朽化・電気代・生産体制の見直しなど、更新のきっかけが何であれ、「省エネ効果を示せる更新」として設計できるかが活用の分かれ目です。

押さえておきたい3つのポイント

本記事の要点は次の3つです。

  • 投資規模で型を使い分ける: 1台〜数台の更新は設備単位型(1/3・上限1億円)、生産設備を含む一体更新は工場・事業場型(中小2/3・上限15億円)
  • 審査の鍵は「経費当たり省エネ量」: インバータ化・台数統合など効率が上がる構成にし、費用対効果の高い計画を組む
  • データ準備が採択率を左右する: 稼働時間・負荷率・電気代の実績を揃え、実測に基づく省エネ計算で根拠を固める

最後に — 見落としがちな注意点

2次公募の締切は2026年7月9日17時(必着)で、設備単位型(従来枠)はこれが今年度最後の公募です。また、交付決定前に発注した設備は補助対象外になるため、「先に発注してから申請」は絶対に避けてください。

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