省エネ補助金(工場・事業場型)をわかりやすく解説|対象設備・補助率・申請方法まで

COLUMN お役立ちコラム

2025.11.27

省エネ補助金

省エネ補助金(工場・事業場型)をわかりやすく解説|対象設備・補助率・申請方法まで

経済産業省(資源エネルギー庁)は、省エネルギーに向けた取組の支援制度として、税制優遇や低金利による融資のほか、補助金を支給して省エネルギーな設備導入や工事の費用の支援を実施しています。本記事では省エネルギーの推進や電気代の削減を検討している事業者様向けに2025年(令和7年)における「省エネ補助金」の工場・事業場型について解説していきます。

省エネ補助金とは

省エネ補助金(正式名称:省エネ・非化石転換補助金)とは、一定の省エネルギー効果がある取組に要する経費を補助する事で、各分野の省エネルギー化を推進し、内外の経済的社会環境に応じた安定的かつ適切なエネルギー需要構造の構築を図ることを目的とした補助金です。

省エネに繋がる設備(空調設備、産業用モータ、プレス機、工作機械など)省エネの取組を管理するためのシステム(EMS)を導入する経費を補助してもらえる補助金となります。

令和6年度補正予算における省エネ支援パッケージは大きく「事業者向け」と「家庭向け」に分かれますが、本記事では「事業者向け」の省エネ補助金のうち工場・事業場型について、詳しく解説します。

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【2025年版】省エネ補助金のポイント

令和5年度補正予算案が閣議決定され、2025年も省エネ補助金が実施されることとなりました。

2025年の省エネ補助金は、(Ⅰ)工場・事業場型」「(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型」「(Ⅲ)設備単位型」「(Ⅳ)EMS型」という4つの申請類型に分けて実施されます。

省エネ・非化石転換補助金 申請類型

参考:令和6年度補正予算における省エネ支援パッケージ|資源エネルギー庁 省エネルギー課
  • (Ⅰ)工場・事業場型:工場・事業場全体で大幅な省エネを図る取組に対して補助がなされます。
  • (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型:電化やより低炭素な燃料への転換を伴う機器への更新が補助されます。
  • (Ⅲ)設備単位型:あらかじめリストに登録された製品を選択し、設備単位で更新を行う取組が補助されます。
  • (Ⅳ)EMS型:EMSの導入が補助されます。

本記事では(Ⅰ)工場・事業場型について、詳しく解説します。

省エネ補助金(工場・事業場型)について

工場・事業場型の概要

工場・事業場型は、工場や事業場全体のエネルギー利用を抜本的に見直し、大幅な省エネ化を実現する取り組みを支援する制度です。

個々の設備更新にとどまらず、エネルギーの使用状況を包括的に把握したうえで、省エネ効果の高い設備導入、システム改修、運用の最適化などを進める事業が補助対象となります。
部分的な改善では得られない、より大きな省エネ効果の創出を目指します。

省エネ補助金2025 工場・事業場型の概要

参考:令和6年度補正予算における省エネ支援パッケージ|資源エネルギー庁 省エネルギー課

工場・事業場型の申請枠

工場・事業場型には「先進枠」「一般枠」「中小企業投資促進枠」3つの申請枠が用意されています。

先進枠

先進枠は、「先進設備・システム」として採択された設備のみが補助対象になる申請枠です。
補助率が他の枠と比較して優遇されている一方で、高い省エネ目標の達成を求められます。

省エネ要件(いずれか一つ満たす必要あり) ①省エネ率等:30%以上
②省エネ量等:1000kl以上
③エネルギー消費原単位改善率:15%以上
補助率 大企業:1/2
中小企業:2/3
補助上限金額(カッコ内は非化石転換の場合) 単年度事業:15億円/事業全体(20億円/事業全体)
複数年度事業:30億円/事業全体(40億円/事業全体)
連携事業:30億円/事業全体(40億円/事業全体)

一般枠

一般枠は、「オーダーメイド型設備」または補助対象設備として採択された「指定設備」が補助対象になる申請枠です。
中小企業投資促進枠と異なり、大企業が申請できます。

省エネ要件(いずれか一つ満たす必要あり) ①省エネ率等:10%以上
②省エネ量等:700kl以上
③エネルギー消費原単位改善率:7%以上
補助率 大企業:1/3
中小企業:1/2
補助上限金額(カッコ内は非化石転換の場合 単年度事業:15億円/事業全体(20億円/事業全体)
複数年度事業:20億円/事業全体(30億円/事業全体)
連携事業:30億円/事業全体(40億円/事業全体)

中小企業投資促進枠

中小企業投資促進枠は、一般枠と同様に「オーダーメイド型設備」または「指定設備」を導入して行う工場・事業場単位での省エネの取組を支援する申請枠です。
一般枠と異なる点として、中小企業のみ申請可能であり、省エネ要件や投資回収要件が緩和されています。

省エネ要件(いずれか一つ満たす必要あり) ①省エネ率等:7%以上
②省エネ量等:500kl以上
③エネルギー消費原単位改善率:5%以上
補助率 中小企業:1/2
補助上限金額(カッコ内は非化石転換の場合 単年度事業:15億円/事業全体(20億円/事業全体)
複数年度事業:20億円/事業全体(30億円/事業全体)
連携事業:30億円/事業全体(40億円/事業全体)

 

補助対象設備

先進設備・システム

先進設備・システムは、事務局が公募し、技術評価委員会で定めた審査項目に基づいて外部審査委員会が審査し、その結果採択されたものです。
以下のような設備が対象となります。

ガスタービンコージェネレーションシステム・蒸気ボイラ・発電システムなど

▼対象設備はこちら
https://sii.or.jp/koujou06r/system/search

先進設備・システムを導入する場合、先進枠での申請となります。

オーダーメイド型設備

オーダーメイド型設備は、機械設計又は事業者の使用目的に合わせて設計・製造する設備等です。
設計図書等の納品物の提出を求められます。

以下のようなオーダーメイド性の設備が想定されています。

例1)使用用途等に応じて、設備全体のエネルギー消費効率等を考慮し、フルオーダーで新たに設計・製造した設備
例2)既存機器・システムを応用又は組み合わせてカスタマイズし、特別な仕様の部品等を製造するために設計した設備等
例3)製造工場等において、各工程で使用する生産設備等を組み合わせ、システム設計した製造ライン
例4)製造した加工品の作業工程を自動化するために、搬送機械やフルオーダー品、カスタマイズ品の設備を連携させてシステム設計した製造ライン

単なるオプションの追加や組み合わせ設備等はオーダーメイド型設備として申請することはできません。
工事用図面、単線結線図のみを設計図書等として提出することはできません。

オーダーメイド型設備の導入は、一般枠または中小企業投資促進枠での申請となります。

指定設備

指定設備は、事務局があらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象設備として登録及び公表したものです。
以下のような設備が対象となります。

高効率空調・産業ヒートポンプ・変圧器・産業用モーター・工作機械・ダイカストマシンなど

▼対象設備はこちら
https://sii.or.jp/setsubi06r/search/

指定設備を導入する場合、一般枠または中小企業投資促進枠での申請となります。

省エネ補助金のスケジュール

現在は、複数年度事業のみが公募されています。
締め切りは2026年1月13日(火)です。

単年度事業の公募は、2025年10月31日(金)に終了しました。

3次公募のスケジュール(複数年度)

省エネ補助金3次公募のスケジュールは次の通りです。

スケジュール項目 日程 内容
申請受付開始 2025年8月13日(水) 補助事業ポータルによる受付開始
申請締切 2026年1月13日(火)【厳守】 申請締め切り期限
交付決定(採択結果の公表) 2026年3月上旬頃 採択事業者を公式サイト等で発表

採択された事業者は、交付決定後から事業を開始し、補助金を活用した省エネ設備の導入などを進めることができます。

複数年度事業とは

事業規模が大きく単年度での実施が困難な事業である場合、複数年度事業として申請することができます。

年度毎の発生経費を明確に区分した事業計画を提出する必要あり
事業区分(Ⅰ)は原則として補助対象経費が5千万円以上の事業。5千万円未満の事業については個別に判断

3次公募のスケジュール(単年度)

省エネ補助金3次公募(単年度)のスケジュールは次の通りです。

スケジュール項目 日程 内容
申請受付開始 2025年8月13日(水) 補助事業ポータルによる受付開始
申請締切 2025年10月31日(金)【厳守】 申請締め切り期限
交付決定(採択結果の公表) 2025年12月中旬頃まで 採択事業者を公式サイト等で発表

単年度事業の公募は2025年10月31日(金)に終了し、現在は一部の事業者が交付決定の通知を待っている状況です。

2026年も省エネ補助金の公募が実施されると予想されるため、情報が公開され次第お知らせいたします。

省エネ補助金の申請方法

基本的な省エネ補助金の申請プロセス

省エネ補助金を有効に活用するためには、適切な手順で申請を行うことが不可欠です。
以下では、申請プロセスをステップごとに詳しく解説します。
初めての方でもスムーズに進められるよう、具体例やポイントも補足します。

1. 公募要領と交付申請の手引きを確認

省エネ補助金申請を行う上では最初に「公募要領」「交付申請の手引き」といった事務局が公開している資料を確認します。
公募要領や交付申請の手引きには、具体的な資料の作成方法や省エネ率の計算方法、申請するべき枠の詳細な条件が記載されています。

  • 公募要領の確認:補助金の全体像を把握するために最初に確認する書類です。対象事業や補助率、申請スケジュール、評価基準などが詳しく記載されています。特に対象事業や補助額の上限は事業計画に直接影響するため、必ず目を通してください。
  • 交付申請の手引きの確認:実際の申請手続きに必要な情報を網羅しています。申請に必要な書類リストや作成時の注意点、提出方法が詳しく説明されています。申請漏れを防ぐため、この手引きを基にチェックリストを作成するとよいでしょう。

2. 申請前の準備

申請前に更新する予定の設備の選定、申請する事業区分の決定や期待できる省エネルギー量の把握が必須となります。
特に、設備単位型の独自計算や工場事業場型の場合は電力消費量の実測が必要になるケースも多く、自社での測定ができない場合はパートナー企業の選定も必須となります。

  • 事業区分の決定 補助金の申請には、自社が対象とする事業区分(例:工場・事業場型、電化・脱炭素燃転型、エネルギー需要最適化型)を明確にする必要があります。事業区分に応じて補助対象経費や申請内容が異なるため、慎重に検討してください。
  • 省エネ設備の選定と計画立案 補助金対象となる設備や導入計画を事前に確認します。見積書やエネルギー削減効果の根拠資料を収集し、申請書に説得力を持たせることが重要です。
  • パートナー企業との協力 専門的な設備導入にはメーカーや設計業者との連携が不可欠です。適切な業者を選定し、協力体制を整えることで計画の実現性が高まります。

3. 補助事業ポータルでの登録と書類提出

省エネ補助金では補助事業ポータルを活用して資料を作成し、印刷した資料をファイリングして指定の提出先に郵送する必要があります。

  • 補助事業ポータルへの登録 公式の補助事業ポータルサイトにアカウントを作成し、必要事項を登録します。この段階で入力ミスがあると後の手続きに支障が出るため、慎重に確認しながら進めましょう。
  • 主要な必要書類 - 商業登記簿謄本(申請者の基本情報) - エネルギー使用実績を示す証拠書類 - 省エネ効果を算出した計算書 - 見積書(導入設備の詳細) 各書類が申請内容を裏付ける重要な資料になります。不備がないよう、専門家のアドバイスを受けることを検討してください。
  • 申請書類の提出 書類は電子データでの提出が求められる場合が多いですが、一部では正本(原本)や副本の郵送が必要なこともあります。提出期限を守ることはもちろん、書類が適切に揃っているかを事前にチェックしてください。

4. 申請後の手続き

  • 修正対応 省エネ補助金の申請では、他の補助金と比較しても特に膨大な資料に対してかなり細かい指摘がなされる傾向になります。修正無しでの採択は難しく、修正が必要になるという前提で事前に準備をしておくことをおすすめします。
  • 審査と交付決定 申請書類が受理されると、SII(環境共創イニシアチブ)による審査が行われます。審査結果は申請者に通知され、採択された場合は交付決定通知が届きます。
  • 事業実施と報告書提出 採択後は、省エネ設備の導入や事業計画の実行を進めます。その後、実績報告書や成果報告書を所定の形式で提出し、補助金の支払いを受ける流れとなります。

よくある質問

よくある質問として、事務局ホームページより抜粋しました。
詳しくは事務局ホームページのFAQを参照いただき、それでも解決しない場合は事務局に問い合わせてください。

参考:省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金|よくあるご質問

別の補助金との併用は可能ですか?

本補助金と他の補助金等で、補助対象経費が重複する場合の併用は出来ません。
ただし、地方公共団体の一般財源により実施する補助金等との併用は可能です。

・物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を財源とした地方公共団体等の補助金
・地方公共団体等が独自に措置する税制による補助金等

本事業で申請している補助対象設備を、他の国庫補助金でも申請し、交付決定前に他の国庫補助金が交付された場合は、事務局に連絡し、その指示に従ってください。

判断に迷う場合は、事務局に問い合わせをしてください。

契約、発注等はいつから可能ですか?

補助事業に係る契約、発注等は必ず交付決定後に行ってください。
交付決定前に契約、発注等を行った場合は補助金の交付の対象となりません。

交付決定後に導入する設備を変更してもよいですか?

交付決定前に3者見積もりを取得している場合、導入する設備の変更は、原則認められておりません。
やむを得ない事情がある場合は事前に事務局にご相談ください。

事業内容に変更等が発生した場合はどのような手続きが必要ですか。

事業の実施中に事業内容の変更の可能性が生じた場合は、あらかじめ事務局に連絡しその指示に従ってください。

まとめ|活用して省エネ・脱炭素の取り組みを実現しよう

省エネ補助金の工場・事業場型は、補助上限額が40億円と非常に大きく補助率も高い魅力的な補助金です。
3つの申請枠があり、自社の省エネ・脱炭素の取り組みや導入設備に応じた申請が可能です。
特に先進枠では、大幅な省エネ効果を見込める先進設備・システムが高い補助率で支援され、投資のハードルを下げながら環境対策を推進できます。
申請を検討する際は、公募要領・手引きをしっかり確認し、設備選定や省エネ効果の根拠資料を準備して、適切な枠で申請することが成功の鍵です。

 

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この記事の執筆者

村上 貴弘

村上 貴弘

東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。