2023.02.08
事業再構築補助金
事業再構築補助金の交付決定が遅い!交付決定を少しでも早めるためにできることを解説
はじめに
事業再構築補助金の交付決定が遅い、事業再構築補助金の採択を受けたけれど次のステップで躓いた、交付申請のために必要な書類が膨大すぎて交付決定まで持って行けるか不安、、、。事業再構築補助金の採択を受けた後の手続きで思い通りに進められていない方は多いのではないでしょうか。
今回は事業再構築補助金の交付決定が遅い理由や事業再構築補助金の交付決定を少しでも早めるためにできる対策をまとめて解説させていただきます。
▼交付申請のやり方についてはこちら
https://planbase.co.jp/column/169/
▼最新(2024年)の事業再構築補助金について
https://planbase.co.jp/column/263/
▼最新(2024年)のものづくり補助金について
https://planbase.co.jp/column/264/
事業再構築補助金の交付決定が遅い理由
事業再構築補助金の交付決定が遅い理由
事業再構築補助金に採択されただけでは補助金の交付が決定しません。見積書や相見積書、履歴事項全部証明書など様々な資料を準備して交付申請を行い、審査を経て交付決定して初めて補助金の交付が決定します。 事業再構築補助金に採択されていざ事業を開始しようと思ったら、金融機関から交付決定通知書の提出を求められたり、補助金の会計処理に当たって税理士から交付決定通知書の提出を求められて初めて事業再構築補助金の交付申請という手続きが必要であることを知った方もいるかと思います。交付決定されるには厳密な審査を乗り越える必要があり、手続きに躓いて交付決定が遅いとお思いの方もいるでしょう。
事業再構築補助金の交付決定が遅い理由は主に「交付申請に必要な書類がそろっていない」「交付申請に必要な書類に不備がある」「事務局の審査に時間がかかっている」などがあげられます。
交付申請に必要な書類がそろっていない
交付申請のあと、なかなか交付決定がおりない理由としてよくあるのが、そもそも交付申請に必要な書類がそろっていないにもかかわらず交付申請をしてしまい、何度も何度も差し戻しになってしまっているケースです。
事業再構築補助金の交付申請に必要な書類は下記の通りです。必要な書類のうち一つでも不足していると必ず差し戻しになるため、交付申請する際にはすべての書類が格納されているかどうかを確認してから交付申請を行いましょう。
・交付申請書別紙1 ・履歴事項全部証明書(法人の場合)、確定申告書(個人事業主の場合) ・決算書 ・見積依頼書および見積書(相見積分も必須) ・見取り図(建物がある場合) ・参考様式21「取得財産に係る誓約書」 |
なお、交付申請の詳細な手続きや必要な書類については下記の記事で解説しました。
▼交付申請の詳細な手続きや必要書類についてはこちら
https://planbase.co.jp/column/169/
交付申請に必要な書類に不備がある
交付申請に必要な書類がすべてそろっていたとしても、書類に不備がある場合は事務局から差し戻しを受けます。なお、事務局の審査は多段階になっており、最初の担当者が指摘しなかった不備が後の審査で見つかって差し戻されるケースも多くあります。当社にも「前の審査では指摘されなかったのに後から言われても困る」「まとめて1度に言って欲しい」というお声を多くいただきますが、慎重に交付決定の審査を行わなくてはならない事務局の制度上、どうしても複数回の差し戻しが発生してしまうため、めげずに何度も修正に対応することが必要です。
よくある事業再構築補助金の交付申請の不備としては下記のようなものがあげられます。
必要書類 |
よくある不備 |
履歴事項全部証明書 |
交付申請書提出日の過去3ヶ月以内に発行されたものであり、かつすべてのページが添付されたものでなければならない。古すぎる履歴事項全部証明書は不備として差し戻される。 |
直近の決算書 |
応募申請の時点と交付申請の時点で最新の決算書の年度が替わっている場合には最新の決算書が必要となります |
見積書、相見積書 |
50万円以上の経費を計上しているが相見積書の提出がない、見積書と相見積書で項目の名前が異なっているため比較ができない。「その他の経費」など内容が不明確な見積書を提出してしまっている。 |
交付申請書別紙1 |
本事業により取得する主な資産の項目に見積書と異なる資産が計上されている。50万円以上の資産であるにもかかわらず記載されていないものがある。変更理由が記載されていない。経費明細書に数量や単価が記載されていない。記載されている項目の金額等が見積書の内容と異なる。ファイルの名称が変わっている。 |
業者選定理由書 |
業者の選定理由が「付き合いがあるから」「アフターフォローが充実しているから」など随意契約としたことの合理的な理由が説明されていない内容となっている。 |
見取り図 |
見取り図に寸法が記載されていない。 |
見積もり依頼書 |
見積もりの依頼内容が不明確。 |
事務局の審査に時間がかかっている
事業再構築補助金の交付申請や実績報告の審査を受けている事業者の数が多すぎて事務局の人的リソースが追いついておらず、審査待ちが発生していることも事業再構築補助金の交付決定が遅い理由の一つです。
事業再構築補助金は毎締切1万社近い企業が採択され、その多くの企業が大量の見積書や必要書類を一斉に事務局に送付して審査を受けています。1社で100ページ近い資料を送付する企業も珍しくないことから審査には膨大な時間を要し、審査自体に時間がかかったり、審査を待っている状態が発生していると思われます。
このように審査に時間がかかっている事態について事業者の側からはできることは特になく、正確でわかりやすい申請を心がけ、少しでも差し戻しの回数を減らすのが対策となるでしょうか。
事業再構築補助金の交付申請から交付決定までにかかる期間の目安
事業再構築補助金の交付申請から交付決定までにかかる期間の目安
上記のような交付申請の不備や書類不足、事務局の審査に要する時間の都合から、現状事業再構築補助金の交付申請を行ったとしてもすぐに交付決定されるということは無く、一定以上の時間がかかります。
当社が今までにご支援させていただいた企業の方の実績ベースでは最初の交付申請から交付決定までには1ヶ月から2ヶ月程度かかることもあります。(2023年2月現在の印象です)
事業再構築補助金の交付決定が遅れるとどうなるか
事業再構築補助金の交付決定が遅れるとどうなるか
今までの説明の通り、交付決定にはかなりの時間がかかります。では、交付決定が遅れた場合にどのようなデメリットや問題が発生するかを解説させていただきます。
事業再構築補助金の交付申請、実績報告の期限
そもそも事業再構築補助金では各締切ごとに交付申請の期限、実績報告の期限が設けられています。この期限内に交付申請や実績報告を行い、補助事業を完了させる必要があります。各締切ごとの交付申請、実績報告の締切は下記の通りです。(2023年2月現在。修正される場合あり。)
締切 |
交付申請期限 |
第1回公募 |
締切済み |
第2回公募 |
2022年11月1日 |
第3回公募 |
2022年12月27日 |
第4回公募 |
2023年3月18日 |
第5回公募 |
2023年6月23日 |
第6回公募 |
2023年9月29日 |
第7回公募 |
2023年12月30日 |
事業再構築補助金の実績報告の期限は採択結果の発表から14か月か交付決定日から12か月以内のどちらか早いほうとなります。交付決定がすぐに下りた場合には交付決定から12か月の方が早く来るため、事業実施期間が短くなる点には注意が必要です。
期限までに交付決定や実績報告ができなかったときに起こること
事業再構築補助金の交付規定によると、上記のような交付申請や実績報告の期限までに交付決定や実績報告ができなかった場合、交付の決定の全部若しくは一部を取り消し、又は変更することができるとされており、期限内に実績報告ができなかった場合には補助金が取り消されてしまうリスクが高いといえます。
なお、実績報告書をやむを得ない理由により提出できない場合は、中小機構は期限について猶予することができるとされており、天災や不慮の事故等のやむを得ない事情がある場合は事故報告によって期限を延長できないか、事務局の担当者に相談することをおすすめします。
事業再構築補助金の交付決定を早めるためにできること
事業再構築補助金の交付決定を早めるためにできること
事業再構築補助金に採択されたとしても、しっかりと交付申請や実績報告といった作業を行わなければ補助金を受け取ることができず、最悪の場合は交付決定を取り消されることを説明させていただきました。次に、事業再構築補助金の交付決定を早めるためにできること、補助金の入金を早めるためにできることを説明させていただきます。
交付申請に必要な書類をすべて揃える
事業再構築補助金の交付決定を少しでも早めるためにできる最も簡単なことは最初の交付申請ですべての必要書類を揃えた上で交付申請を行うことです。交付申請では何度も修正がくることが多いですが、その理由として最初の申請で書類が不足しており、後から追加した書類にも不備があるなど、後から後から不備が見つかり、事務局との修正連絡の往復で大幅なタイムロスが生じてしまうことがあげられます。
すべての必要書類を最初の交付申請で揃えておくことで、すべての書類について不備があるかどうかを事務局の担当者に確認していただけるため、まずは必要書類をすべて揃えた上で申請しましょう。
交付申請に必要な書類の不備をなくす
事業再構築補助金の交付申請では軽微な不備であったとしても、修正して再申請しなければ交付決定を受けることができません。軽微な不備であっても修正の連絡には1週間程度要することもあるため、1度不備の連絡があった場合には数字や記載内容に誤りが無いか、不足している書類や記載が漏れている箇所は無いかを一通り見直した上で再申請しましょう。
当社がサポートさせていただいているなかで特に多い不備は「見積書の項目と相見積書の項目が一致していない」「見積書の金額、経費明細書の金額、本事業で取得する主な資産の一覧の金額が一致していない」など、見積もりと金額が絡む不備がほとんどです。見積書の見直しについては特に細心の注意を払って行ってください。
少しでも早く交付申請の作業を行う
また、交付決定を少しでも早めるためには交付申請書作業を少しでも早く行うことも重要です。どの企業も交付申請の準備には一定の時間を要するため、少しでも早く交付申請をすることでまだ待ち時間がそれほどないタイミングで審査を受けることができる可能性があります。特に、締切直前になると非常に多くの企業が交付申請を行うことが予想され、それに伴って待ち時間も長くなってしまいます。 最悪の場合には交付決定がおりずに実績報告の期限に間に合わないということも懸念されることから、余裕がある採択直後から迅速に交付申請の作業や準備に取りかかることをおすすめします。
早めに実績報告の準備を進めておく
交付決定とは無関係ですが、交付決定を待っている期間に実績報告の準備を進めておくことも補助金の獲得を早くするという観点からは非常に重要です。特に実績報告では導入した設備や建物の写真、請求書や納品書、支払いがわかる書類など交付申請よりも多くの資料を準備する必要があります。交付決定したとしても、実績報告の期限までに実績報告を行えなかった場合には補助金の交付決定が取り消されてしまうため、事前に実績報告の準備を進めていただくことをおすすめします。
実績報告の方法については画像付きで下記の記事に解説しています。
https://planbase.co.jp/column/154/
事業再構築補助金の交付申請に困ったら
事業再構築補助金の交付申請に困ったら
事業再構築補助金の交付申請は補助金独特の必要書類が多くあるうえ、補助金の中でも特に厳しい審査がある手続きであるといえ、社内で完結しようとすると期限までに必要な書類を集めることができずに断念してしまうこともあります。最後に事業再構築補助金の交付申請に困った場合に執るべき手段や頼ることができる機関について紹介させていただきます。
事業再構築補助金の事務局担当者に指示を仰ぐ
事業再構築補助金の交付申請について不明な点があったり、どのように処理していいかわからないことがあった場合、トラブルが発生した場合には事業再構築補助金の事務局担当者にまずは相談することをおすすめします。自己判断で設備や住所を変更したり、書類を破棄してしまうと補助金が受け取れなくなってしまうリスクがあります。
事務局の担当の方であればその時点で最も正確な情報を教えてもらえるため、交付申請に当たって書類を読んでもわからない部分や判断に迷う部分は事務局に確認しましょう。
事業再構築補助金の申請の際に利用した認定支援機関に相談する
事務局に相談できない場合やそもそも書類の作成が苦手な場合は事業再構築補助金の申請の際に認定支援機関確認書を発行してくれた認定支援機関に交付申請や実績報告のサポートを提供してくれるかどうかを相談することもおすすめです。事業再構築補助金の申請支援を行っている認定支援機関の多くは交付申請や実績報告のサポートも提供していることが多いため、まずは貴社や事業内容についてよく知っている認定支援機関からのサポートを受けられるかどうかを相談してみてください。
事業再構築補助金の交付申請や実績報告の支援を提供しているコンサルに相談する
事業再構築補助金の応募の時点で認定支援機関確認書を発行した認定支援機関が交付申請や実績報告のサポートを提供していない場合は事業再構築補助金の交付申請や実績報告のみのサポートも提供しているコンサルに相談することをおすすめします。
交付申請や実績報告や事業内容や投資の内訳によって難易度が大きく変わってくることから個別の見積もりになるケースが多いかと思いますが、多くの交付申請や実績報告をサポートしているコンサルであればイレギュラーなケースや差し戻しが少ないような書類のチェックができる可能性が高いといえます。
まとめ
まとめ
事業再構築補助金の交付決定が遅い、交付申請をしたのに事務局からの連絡が来ず不安、というお問い合わせを多くいただきます。交付決定を少しでも早めるためには書類の不足や不備がない正確な交付申請を早い段階から提出して事務局との連絡や審査の待ち時間を短くすることが必須です。
株式会社プランベースでは事業再構築補助金やものづくり補助金、IT導入補助金などの中小企業向けの補助金の申請支援やコンサルティングを提供しています。
事業再構築補助金に採択されたけれども、交付申請で手間取っていて補助金を受け取れるか不安な方は是非お気軽にお問い合わせください。
▼事業再構築補助金についての無料相談はこちら
https://planbase.co.jp/lp/saikouchiku/
この記事の執筆者
村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。
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