ものづくり補助金 2024

COLUMN お役立ちコラム

2023.12.07

ものづくり補助金

【2024年2月更新】2024年(令和6年)ものづくり補助金の最新情報まとめ!変更点などポイントを徹底解説!!

はじめに

はじめに

2023年11月14日、令和5年度補正予算案が閣議決定され、2024年のものづくり補助金の詳細が明らかになってきました。
この記事では2024年のものづくり補助金について、既存の枠組みからの変更点や新たに追加される予定の「省力化(オーダーメイド)枠」や「製品・サービス高付加価値化枠」について、現時点で分かっていることを解説していきます。

また、最新の情報が公開され次第アップデートさせていただきます。

【更新情報】
※2023年11月21日
記事の公開
※2023年12月6日
概要の公表に伴い、ものづくり補助金の詳細を追記
※2024年1月16日
公募要領の発表に伴い、最新情報を追記
※2024年1月19日
省力化枠に関する記述の内容を拡充
※2024年2月1日
第18次締切に関して追記
※2024年2月8日
事業計画における付加価値額等の算出根拠について追記

▼ものづくり補助金のHPはこちら
https://portal.monodukuri-hojo.jp/
▼ものづくり補助金の無料相談はこちら(2024年度に向けた相談も受付中)
https://planbase.co.jp/contact/
▼ものづくり補助金の公募要領はこちら
https://portal.monodukuri-hojo.jp/about.html

2024年も「ものづくり補助金」は実施される

2024年も「ものづくり補助金」は実施される

経済産業省が2023年11月14日公開した経済産業省関係令和5年度補正予算の事業概要(PR資料)には下記の資料が掲載されています。下記の「中小企業生産性革命推進事業」の中にものづくり補助金が含まれているため、ものづくり補助金は2024年も実施されることが確定しました。

中小企業生産性革命推進事業

資料によると「中小企業生産性革命推進事業」の令和5年度補正予算案額は2,000億円とされています。昨年(令和4年度補正予算)に引き続きかなりの金額が計上されており、2024年もものづくり補助金は中小企業・小規模事業者にとっておすすめできる補助金となるかと思います。

12月6日に経済産業省からものづくり補助金の概要資料が公開されました。最新の資料を基に、2024年のものづくり補助金について解説します。

新情報、変更点まとめ
・ものづくり補助金は2024年も実施される
・新たに「省力化(オーダーメイド)枠」が設けられる
・既存のものづくり補助金の申請枠は大幅に変更される

▼ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金について(Ver.1.0)
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r5/r5_mono_shogyo_service.pdf

ものづくり補助金 2024のまとめ

2024年からものづくり補助金には新たに補助上限額が最大1億円の「省力化(オーダーメイド枠)」や「製品・サービス高付加価値化枠」が追加されます。

ものづくり補助金 2024とは

そもそも、ものづくり補助金とは、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」といい、中小企業等が行う、革新的な製品・サービスの開発または生産プロセス等の省力化のための設備投資・システム構築を支援する補助金です。

ものづくり補助金の制度自体は10年近くの歴史があり、現在の形になってからは毎年4回程度の公募で、今まで16回の公募が行われています。

名前に「ものづくり」と含まれる事から製造業の為の補助金と考えられる事もありますが、製造業以外でも様々な業種での採択が行われており、当社でも製造業の他、建設業や飲食店、システム開発会社などで採択事例があります。

ものづくり補助金 2024のまとめ

2024年のものづくり補助金のまとめは下記の通りです。

ものづくり補助金概要

2024年のものづくり補助金は、新たに追加された「省力化(オーダーメイド)枠」,「製品・サービス高付加価値化枠」と、昨年から引き続き設けられた「グローバル枠」の3つの申請枠に分類されます。

2023年度までのものづくり補助金は「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」「グローバル市場開拓枠」の5つの申請枠に分類されていたことを考えると、大きく形式が変化したことが分かります。

それぞれの申請枠について順番に解説していきます。

ものづくり補助金 2024のスケジュール

2024年のものづくり補助金では、計2回の公募が予定されており、既に17次締切、18次締切の予定が発表されています。
いずれか一方でしか申請できないことに注意しましょう。

また、どちらの申請枠も、実績報告期限は同じ2024年12月10日となっています。この機会を逃すと2024年のものづくり補助金に申請できなくなってしまうため、早めから準備を行い、必ず申請するようにしましょう。

省力化(オーダーメイド)枠で申請を検討している事業者は自社のスケジュールに合わせて17次締切か18次締切を選び、その他の申請枠で応募する事業者は18次締切で申請することになります。

【ものづくり補助金17次締切のスケジュール】

公募申請受付期間
・公募開始  :2023年12月27日(水) 17:00~
・申請開始  :2024年2月13日(火) 17:00~
・申請締切  :2024年3月1日(金)17:00まで【厳守】

申請方法
・申請は電子申請のみ
・申請の際にはGビズIDプライムの取得が必須

【ものづくり補助金18次締切のスケジュール】

公募申請受付期間
・公募開始  :2024年1月31日(水) 17:00~
・申請開始  :2024年3月11日(月) 17:00~
・申請締切  :2024年3月27日(金)17:00まで【厳守】

申請方法
・申請は電子申請のみ
・申請の際にはGビズIDプライムの取得が必須

17次締切、18次締切ともに、補助金の制度概要は本記事で説明している内容で共通しています。
しかしながら、公募回によって応募可能な申請枠に違いがあったり、一部要件に追加事項があったり、多少の違いが見られるため、公募毎の特徴を紹介します。

ものづくり補助金 2024 17次締切について

2024年12月27日、ものづくり補助金17次締切の公募要領が発表されました。
17次締切では、省力化(オーダーメイド)枠のみの公募となります。また、事前の資料で予告されていたように、初めて口頭審査が行われることになりました。

【ものづくり補助金17次締切の概要】
17次締切の概要

ものづくり補助金 2024 18次締切について

2024年1月31日に、ものづくり補助金18次締切の公募要領が公表されました。17次締切からの変更点は、全3つの申請枠で公募が開始されたこと売上高10%要件が加えられたことです。新製品・サービスの売上高で売上高全体の10%以上となる事業計画を作成することが要件となりました。

【ものづくり補助金18次締切の概要】

18次締切の申請枠・類型

変更点ものづくり補助金 2024の18次締切に関して、申請枠や申請対象を次の記事にまとめています。
▼ものづくり補助金 18次締切公募開始!!
https://planbase.co.jp/column/300/

※参考:ものづくり補助金18次締切|公募要領

ものづくり補助金 2024 省力化(オーダーメイド)枠について

1. ものづくり補助金 2024 省力化(オーダーメイド)枠の新設

2024年のものづくり補助金から、中小企業・小規模事業者の生産プロセス等省力化の取り組みを支援することを目的に、補助上限額を大幅に引き上げたオーダーメイド型の省力化投資等の支援が行われます。

省力化(オーダーメイド)枠では、補助金の上限額が1,250万円から1億円まで拡大されることになり、中小企業向けの補助金として最大クラスの規模となります。

ものづくり補助金 17次締切ではこの省力化(オーダーメイド)枠のみの公募となっていることからも、この省力化に経産省が注力していることが分かります。

省力化枠の補助額・補助率

ものづくり補助金 2024 省力化(オーダーメイド)枠の補助対象者

ものづくり補助金 17次締切 省力化(オーダーメイド)枠の補助対象は、下記5つの事業者と定められています。

・中小企業
・小規模企業者
・特定事業者の一部
・特定非営利活動法人
・社会福祉法人

各補助対象事業者の定義は次の記事でまとめています。
本記事では概要を紹介しますが、自社が補助対象に該当するのか詳細を知りたい場合は次の記事を参考にしてください。

▼ものづくり補助金 17次締切 省力化(オーダーメイド)枠とは?変更点やポイントを徹底解説
https://planbase.co.jp/column/297/

ものづくり補助金 2024 中小企業の定義

ものづくり補助金 2024の省力化(オーダーメイド)枠で補助対象となる中小企業の定義は、「中小企業等経営強化法」で定められる定義と同様であり、業種、資本金および常勤従業員数によって判断されます。

自社の業種等が分からない場合は、産業分類を確認しましょう。(https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/kaitei_13.pdf)

ものづくり補助金 2024 小規模事業者の定義

小規模事業者とは、名前の通り従業員数が少ない企業を指す言葉であり、省力化(オーダーメイド)枠で補助率が優遇された「小規模事業者」に該当するかの判断は常勤従業員数によって行われます。

ものづくり補助金 2024 特定事業者の一部の定義

特定事業者の一部とは、前述した中小企業や小規模事業者に含まれなくても申請可能な補助対象者のことで、業種と常勤従業員数によって判断されます。

この特定事業者の一部を活用することで、一部の中堅企業もものづくり補助金を活用することが出来ます。

ものづくり補助金 2024 特定非営利活動法人の定義

省力化(オーダーメイド)枠では、一定の条件を満たす特定非営利法人も補助金の申請が可能です。
補助対象になるためには、

広く中小企業一般の振興・発展に直結し得る活動を行う特定非営利活動法人であること

など複数の条件を満たすことが必要です。

ものづくり補助金 2024 社会福祉法人の定義

社会福祉法人においても、補助対象となるためには

「社会福祉法」第32条に規定する所官庁の認可を受け設立されている法人であること

など、一定の条件を満たす必要があります。

上記の条件を満たす事業者であっても、過去に何度もものづくり補助金を受給していたり、実質的に大企業とみなされる「みなし大企業」などは補助対象外となります。補助対象になるための条件と併せて、補助対象外となる条件も確認しておきましょう。

ものづくり補助金 2024 省力化(オーダーメイド)枠の申請条件

省力化(オーダーメイド)枠の申請条件は次の3つです。

1. 給与支給総額の増加
2. 最低賃金の引き上げ
3. 付加価値額の増加

1. 給与支給総額の増加

省力化(オーダーメイド)枠に申請するためには、「事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させること。」という、給与支給総額に関する条件を満たすことが必要です。

2. 最低賃金の引き上げ

次に「最低賃金の引き上げ」では、具体的に「事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とすること」という条件を満たすことが必要です。

3. 付加価値額の増加

最後に付加価値額の増加では、「事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加させること。」という条件を満たすことが必要になります。

この付加価値額要件に関しては、仮に未達であっても補助金返還などのペナルティが設けられている訳ではありませんが、計画の段階では年平均3%以上の成長が見込まれる事業計画を考えましょう。

上述した「1. 給与支給総額の増加」および「2. 最低賃金の引き上げ」が未達であった場合、補助金の返還が求められることがあります。補助金の返還が必要になるケースとしては明確な基準が設けられており、詳しくはこちらの記事で解説しています。

▼ものづくり補助金 17次締切 省力化(オーダーメイド)枠とは?
https://planbase.co.jp/column/297/

ものづくり補助金 2024 省力化(オーダーメイド)枠に特有の要件

ものづくり補助金 2024 省力化(オーダーメイド)枠では、次の4つの特有の要件が存在します。

1. 労働生産性の向上
2. 期限内の投資回収
3. SIerを活用する場合の保守メンテナンス契約
4. 金融機関から調達する場合の金融機関による確認書

1. 労働生産性の向上

省力化(オーダーメイド)枠は生産性の向上を目的とした申請枠であり、「3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる事業計画を策定すること」という条件を満たす必要があります。

2. 期限内の投資回収

また、一定期間内に投資回収出来るかという点も重要です。3~5年の事業計画内に、投資回収可能な事業計画を策定しましょう。

3. SIerを活用する場合の保守メンテナンス契約

「外部SIerを活用する場合、3~5年の事業計画期間内における保守・メンテナンス契約を中小企業等とSIer間で締結することとし、SIerは必要な保守・メンテナンス体制を整備すること」が必要です。

4. 金融機関から調達する場合の金融機関による確認書

金融機関からの資金調達を計画している場合は、金融機関による確認書の提出が求められます。
確認書の発行までに時間がかかる金融機関も多いため、余裕をもって金融機関の担当者に相談しておくことをオススメします。

ものづくり補助金 2024 省力化(オーダーメイド)枠の補助上限額・補助率

補助上限額と補助率

省力化(オーダーメイド)枠の補助上限額と補助率は次の通りです。
従業員数5人以下で750万円以内、6~20人で1,500万円以内、21~50人で3,000万円以内、51~99人で5,000万円以内、100人以上で8,000万円以内となります。(ただし、大幅な賃上げを実施することで特例により補助上限が引き上がります。)

省力化枠について

ものづくり補助金 2024 省力化(オーダーメイド)枠における補助上限額と補助率の考え方

省力化(オーダーメイド)枠の補助率は、原則として中小企業が1/2以内、小規模・再生2/3以内ですが、補助金額が1,500万円までのものは1/2以内、1,500万円を超える部分は1/3以内が適応されます。

従って、従業員数が21人以上で投資金額が3,000万円を超える場合、
補助金額は下図のように計算されます。

補助上限と補助率の考え方

ものづくり補助金 2024 省力化(オーダーメイド)枠の補助対象経費

2024年のものづくり補助金「省力化(オーダーメイド枠)」の補助対象経費は、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)導入に必要な設備・システム投資です。詳細は下記の通り。

補助対象経費 概要
機械装置・システム構築費
  1. 機械・装置、工具・器具の購入、製作、借用に要する経費
  2. 専門ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費
  3. 改良・修繕又は据え付けに要する経費
運搬費 運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
技術導入費 知的財産権等の導入に要する経費
知的財産等関連経費 特許検討の知的財産権の取得に要する弁理士の手続き代行費用等
外注費 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計・検査等の一部を外注する場合の経費
専門家経費 本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
クラウドサービス利用費 クラウドサービスの利用に関する経費
原材料費 試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費

人手不足の解消に向けて、デジタル技術等(※1)を活用した専用設備(オーダーメイド設備)(※2)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等(※3)

※1:デジタル技術はAI、ロボット、センサー等をいう
※2:ロボット単体の導入ではなく、外部のシステムインテグレータ(SIe
r)との連携などによりロボットシステム等を構築したものをいう
※3:基本要件に加えた追加要件あり(詳細は追って公表)

機械設備単体の導入は対象とならず、外部Sier等と連携して開発したオーダーメイド設備が対象になるため、
「これまでのものづくり補助金では補助対象であった機械設備が補助対象外となってしまう」ことが起こり得ることに注意しましょう。

また、上記のすべての経費が補助対象として認められる訳ではなく、その経費の必要性および妥当性が認められない場合、対象外となり得ることを頭に入れておきましょう。

ものづくり補助金 2024 省力化(オーダーメイド)枠の活用イメージ

活用イメージとして、次の例が紹介されています。

熟練技術者が手作業で行っていた組立工程に、システムインテグレータ(SIer)と共同で開発したAIや画像判別技術を用いた自動組立ロボットを導入し、完全自動化・24時間操業を実現。組立工程における生産性が向上するとともに、熟練技術者は付加価値の高い業務に従事することが可能となった。

例を確認してもわかる通り、省力化(オーダーメイド)枠を活用する場合にはSIerとの共同開発など、SIerをプロジェクトに参画させることが必須となるのでは無いかと思います。
今までものづくり補助金で重点的に支援されてきた製造業では今までSIerを活用したことがない企業も多いと思われ、省力化(オーダーメイド)枠の申請にはシステム周りの知見もあるコンサルタントのサポートが必要になると思われます。

また、追加で下記4つの活用イメージが公表されました。

省力化(オーダーメイド)枠の活用イメージ

省力化枠の活用イメージとして、ロボット等の導入による業務効率化が想定されていることが分かります。

ものづくり補助金 2024 省力化(オーダーメイド)枠の加点

ものづくり補助金 2024 省力化(オーダーメイド)枠には4分類及び最大6項目の加点項目が設定されています。

加点項目の分類 概要
成長性加点 「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者」に対する加点
政策加点 政策で推し進められている取組などを行っている事業者を優先的に採択するための加点
災害等加点 「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者」に対する加点
賃上げ加点 賃上げ条件を満たし、且つ誓約書を提出した場合に得られる加点

ものづくり補助金 2024 省力化(オーダーメイド)枠の必要書類

ものづくり補助金 2024 省力化枠では、下記書類の提出が必要です。

・事業計画書
・決算書等
・従業員数の確認資料
・労働者名簿
・再生事業者の証明(再生事業者の場合)
・大幅な賃上げ計画書(大幅賃上げ特例を使用する事業者の場合)
・金融機関による確認書(金融機関からの借り入れを行う場合)
・加点に係るエビデンス(加点申請事業者の場合)

省力化(オーダーメイド)枠の事業計画書では、「事業計画における付加価値額等の算出根拠」を記述する必要があります。ものづくり補助金公式HP様式を参考に作成しましょう。

様式の中で青文字で記されているように、具体的な内容や根拠を明示することが採択の上で重要になりそうです。

※参考:ものづくり補助金公式サイト

ものづくり補助金 2024 省力化(オーダーメイド)枠に申請する際の注意点

詳しくは後述しますが、補助金額が一定以上の場合、採択前に口頭審査が実施されます。ものづくり補助金において口頭審査が実施されることは初めてであるため、周到な準備が必要になります。

また、省力化(オーダーメイド)枠の公募回数が例年より少なく年に2回である点、また締切回によらず補助事業期間が2024年12月10日となっている点にも注意が必要です。12月10日までに実績報告書を提出する必要があるため、あらかじめ納期を把握した上で事業を進めましょう。

ものづくり補助金 2024 省力化枠のまとめ

ものづくり補助金 17次締切では、省力化(オーダーメイド)枠のみの公募となりました。
補助金の申請を検討している事業者様は、省力化枠に関する理解を深めるために、ぜひ次の記事も参考にしてみてください。

▼ものづくり補助金 17次締切 省力化(オーダーメイド)枠とは?
https://planbase.co.jp/column/297/

ものづくり補助金 2024 製品・サービス高付加価値化枠について

ものづくり補助金 2024 製品・サービス高付加価値化枠について

続いては2024年のものづくり補助金に新たに追加された「製品・サービス高付加価値化枠」についてです。「製品・サービス高付加価値化枠」は、「通常類型」と「成長分野進出類型(DX・GX)」で構成されます。

製品・サービス高付加価値枠について

ものづくり補助金 2024 製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)について

製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)の申請要件

2024年ものづくり補助金の製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)の申請要件はまだ公開されていません。しかしながら、その補助上限や補助率から「通常類型」は従前の「通常枠」に対応する申請枠になると予想されます。

2023年12月6日に公開された資料には下記の通り記載されています。

革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援(※)
※基本要件に加えた追加要件あり(詳細は追って公表)

通常類型の活用イメージ

製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)の活用イメージとして、下記の例が紹介されています。

最新複合加工機を導入し、精密加工が可能となり国際基準に準拠した部品を開発。

複数工程の加工を1台で完結させることができ、省力化的な側面もデジタル化的な側面もある最新複合加工機が通常類型の活用イメージとして紹介されているということから、2024年ものづくり補助金のDXや省力化の定義は厳密化され、一定のDX性や省力性があっても通常類型に申請する必要があると予想できます。

通常類型の補助上限額と補助率

通常類型の補助上限額は750万円~1,250万円であり、従業員数や投資金額によって異なります。また、大幅賃金特例を満たす場合は補助上限額が850万円~2,250万円まで引き上げられます。
補助率は企業規模によって変化し、中小企業は1/2、小規模・再生事業者は2/3です。また、新型コロナ回復加速化特例に該当する事業者の補助率は2/3となります。


通常類型について

ものづくり補助金 2024 製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型(DX・GX))について

成長分野進出類型(DX・GX)の申請要件

成長分野進出類型も2024年ものづくり補助金から追加される申請類型であり、どのような要件が設けられるのかもまだ不明です。
名前の通り、DXやGXの分野で将来的に日本経済を牽引し得る事業を支援する類型となるでしょう。

12月6日に公表された資料では下記の通り記載されています。

今後成長が見込まれる分野(DX・GX)に資する革新的な製品・サービス開発(※1)の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援(※2)
※1:革新的な製品・サービス開発とは、顧客に新たな価値を提供することを目的に、導入した設備・システムを用いて、自社の技術力等を活かして製品・サービスを開発することをいう。単に設備・システムを導入するにとどまり、製品・サービスの開発を伴わないものは該当しない。
※2:基本要件に加えた追加要件あり(詳細は追って公表)

活用イメージ

成長分野進出類型(DX・GX)の活用イメージとして、下記の例が紹介されています。

AIやセンサー等を活用した高精度な自律走行搬送ロボットの試作機を開発

成長分野進出類型におけるDXとは今までのデジタル枠のような幅広いデジタル技術が対象とはならず、AI、ロボット、センサー等といった、特に重要なデジタル分野への投資に限定されるのでは無いかと思われます。

成長分野進出類型(DX・GX)の補助上限と補助率

成長分野進出類型(DX・GX)の補助上限額は1,000万円~2,500万円です。大幅賃金上げ特例を満たす場合は、1,100万円~3,500万円まで引き上げられます。また、補助率は一律2/3となっている点が特徴です。

ものづくり補助金 2024 グローバル枠について

ものづくり補助金 2024 グローバル枠について

最後に、2023年のものづくり補助金に続いて2024年のものづくり補助金でも引き続き設定された「グローバル枠」について解説していきます。「グローバル枠」は、これまでの「グローバル市場開拓枠」に対応する申請枠だと考えられます。

グローバル枠について

ものづくり補助金 2024 グローバル枠の申請要件

グローバル枠の申請要件はまだ判明していません。しかしながら、これまでのグローバル市場開拓枠と通ずる申請要件になると予想され、海外事業の拡大・強化を目的とした製品・サービス開発や生産プロセス改善に資する投資を補助する内容となるでしょう。

12月6日に公表された資料では下記の通り記載されています。

海外事業(※1)を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資等を支援(※2)
※1:海外事業とは、海外直接投資、輸出、インバウンド、海外企業との共同事業をいう
※2:基本要件に加えた追加要件あり(詳細は追って公表)

引き続き、海外直接投資や輸出、更にインバウンド向け事業が補助対象になる見込みです。
以前のグローバル市場開拓枠については次の記事で詳しく解説しているため、参考にしてください。

▼グローバル市場開拓枠とは?
https://planbase.co.jp/column/244/

ものづくり補助金 2024 グローバル枠の活用イメージ

活用イメージとして、次の例が紹介されています。

海外市場獲得のため、新たな製造機械を導入し新製品の開発を行うとともに、海外展示会に出展

ものづくり補助金 2024 グローバル枠の補助上限額と補助率

グローバル枠の補助上限額

グローバル枠の補助上限額は3,000万円です。
大幅賃上げ特例を満たすと1,000万円上限額が引きあがるため、事業拡大と同時に賃上げを行うことをおすすめします。

グローバル枠の補助率

グローバル枠の補助率は次の通りです。
企業規模によって補助率は異なり、中小企業の補助率は1/2小規模事業者の補助率は2/3となっています。

グローバル枠の補助率について

ものづくり補助金 2024 大幅賃上げに係る補助上限額引上げ特例の拡充

ものづくり補助金 2024 大幅賃上げに係る補助上限額引上げ特例の拡充

持続的な賃上げの実現に向けて、大幅な賃上げに取り組む事業者を対象に、従業員規模に応じて補助上限額が100万円~2,000万円引き上げられます。
大幅賃上げに係る補助上限額引上げ特例に該当するには、下記の要件を満たす必要があります。

事業計画において、補助事業終了後3~5年で「①給与支給総額 年平均成長率6%以上増加」かつ「②事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上の水準」を満たしたうえで、「③毎年、事業場内最低賃金を+50円以上増額」することとし、賃上げに係る計画書を提出する

事業場内最低賃金の引き上げについて

要件未達の場合は、採択を受けたとしても、補助金上乗せ分について全額返還しなければいけません。

ものづくり補助金 2024 大幅な賃上げ特例と基本要件の比較

大幅な賃上げ特例と基本要件を比較したのが下記の表になります。
大幅な賃上げ特例を使用した場合、付加価値額は基本要件と変化ありませんが、「給与支給総額は年平均成長率6%」最低賃金は「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円の水準にした上で、毎年、事業場内最低賃金を+50円以上増額」し、未達の場合には上乗せ分の補助金を返還する必要があり、非常に厳しい上限が設定されています。

大幅な賃上げ特例と基本要件の比較

ものづくり補助金 2024 大幅な賃上げ特例による補助上限引き上げ額

厳しい上限が設定されている大幅賃金引き上げ枠ですが、特に従業員数が多い場合には補助金上限額が最大で2000万円増加します。賃上げをすでに予定しており、大幅な省力化の実施によって賃金と自社の利益の双方を一気に引き上げることができるような企業は申請を検討できる特例だと言えます。

大幅な賃上げ特例による補助上限引き上げ

ものづくり補助金 2024 その他の変更点

4. ものづくり補助金 2024 その他の変更点

(1) 口頭審査の実施

補助申請額が一定規模以上の申請を行う事業者に対して、交付候補者決定前にオンラインによる口頭審査が実施されるようになります。これまで申請は書類の提出のみをもって行うものでしたが、面接が追加されるようになりました。

例えば、当該事業申請にかかる意思決定の背景や事業実施に際しての事前のマーケティングの調査等、計画書に記載のない内容についても質問を行う可能性がある。

資料には上記の文言が記載されており、口頭審査では事業内容について入念なチェックが行われることが分かります。

口頭審査では、事業計画の適格性、革新性、優位性、実現可能性等のポイントが審査されるため、事前に質問を想定して準備を行いましょう。

また当然ですが、口頭審査は申請事業者自身(法人代表者等)が対応します。事業計画書作成支援者、経営コンサルタント、社外顧問等の申請事業者以外の対応や同席は一切認められません

最新17次締切の審査期間は、2024年4月1日(月)~2024年4月12日(金)です。日時変更や希望日時の指定は不可となっているため、事前に予定しておきましょう。

当社では他の面接が必須の補助金の支援実績もございますので、補助金の申請に向けて面接に不安がある方はお気軽にご相談ください。

▼ものづくり補助金の無料相談はこちら(2024年度に向けた相談も受付中)
https://planbase.co.jp/contact/

(2) 公募は2回程度実施予定、補助事業実施は12月10日まで

令和5年度補正予算に基づく公募は2回程度実施予定であり、補助事業実施期間は、いずれの公募回においても令和6年12月10日まで(実績報告まで完了)となっています。
2023年と比較して補助上限が引き上げられた一方、公募回数が減る形となりそうです。

また、実績報告までの期間が令和6年12月10日になったことによって、特に今年度2回目の公募については導入する設備やシステムの納期が極めてタイトになることが予想されます。
補助金に採択されてから慌てて業者選定をすると間に合わない可能性が高く、予めスケジュールを引いてから申請することを強くおすすめします。

参考までに、2024年度1回目のものづくり補助金のスケジュールは次の通りです。

ものづくり補助金2024のスケジュール

【ものづくり補助金17次締切のスケジュール】

公募申請受付期間
・公募開始  :2023年12月27日(水) 17:00~
・電子申請受付:2024年2月13日(火) 17:00~
・申請締切  :2024年3月1日(金)17:00まで【厳守】

申請方法
・申請は電子申請のみ
・申請の際にはGビズIDプライムの取得が必須

※注意
はじめ述べたように、2024年ものづくり補助金の公募は全部で2回のみとなっています。したがって、申請を検討している事業者様は、第17回及び第18回のいずれかで欠かさず申請するようにしましょう。

(3) 厚生労働省の産業雇用安定助成金との連携

 ものづくり補助金の「製品・サービス高付加価値化枠」で交付決定を受けた中小企業等に対して、要件に該当する事業主に対して人材に係る賃金の一部を助成する「産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)」との連携が実施されるようになります。

これにより、該当する事業者は追加で人件費の補助を受けることが可能になります。

※参考:産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)

まとめ

まとめ

本記事では2024年(令和6年度)のものづくり補助金の最新情報や変更点、新しい申請枠である「省力化(オーダーメイド)枠」について解説しました。ものづくり補助金は頻繁にその制度内容が変更されるため、常に最新の情報を確認するように心がけましょう。

変更内容が複雑で良く分からない、ものづくり補助金に申請したいが申請方法が分からないという場合は弊社をはじめとした、「認定支援機関」にご相談いただくことをおすすめします。

▼ものづくり補助金の無料相談はこちらから
https://planbase.co.jp/contact/

この記事の執筆者

村上 貴弘

村上 貴弘

東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。