2022.05.23
事業再構築補助金
【画像付きで徹底解説!!】事業再構築補助金における実績報告とは?
今回は事業再構築補助金に採択された方向けに、事業再構築補助金を受け取るために必須の手続きである「実績報告」の実施方法について解説させていただきます。
なお、実績報告を行う前の手続きである「交付申請」についてはこちらにまとめさせていただきました。交付申請がまだの方はまずこちらをご確認ください。
事業再構築補助金の実績報告とは
事業再構築補助金の実績報告とは
事業再構築補助金における実績報告とは、補助金の採択を受けた事業者が、補助事業の実施結果を事務局に報告する手続きを指します。
この実績報告では、採択されて全ての設備やシステムの発注、導入、支払等が完了した後に「補助事業実績報告書」という資料を提出する必要があります。
実績報告書には提出期限が定められており、書類の提出が期限内に行われなかった場合、補助金の交付が取り消される可能性がある重要な手続きです。また、必要書類や形式が不十分で差し戻しされることもあるため、余裕をもって準備を進めることが大切です。
補助事業実績報告書を提出し、報告書に不備がなければ補助金額確定通知書が発行され、補助金を請求することが可能になります。
▼最新(2024年)の事業再構築補助金について
https://planbase.co.jp/column/263/
事業再構築補助金の実績報告の基本的な流れ
事業再構築補助金の実績報告の基本的な流れ
事業再構築補助金の実績報告の基本的な流れは下記の通りです。
⓪事業完了(設備の導入やシステム開発が完了。支払も全て完了。) ①全ての経理書類を集める ②様式第6、7、参考様式第17、18、19を作成する ③jgrantsからアップロードする ④修正依頼が頻繁に来るので修正対応する ⑤確定通知を受け取る
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このコラムでは特に①と②のステップについて、詳しく説明させていただきます。 なお、大まかな流れは下記の図をイメージしてください。
実績報告は、補助事業実施後、清算払請求の前に必要な手順となっています。

出典:事業再構築補助金(採択後の流れ・資料)
実績報告に必要な経理書類
実績報告に必要な経理書類
事業再構築補助金の実績報告では補助対象経費の区分によってそれぞれ様々な書類が必要になります。通常の取引では発行されないような書類も提出する必要があるため、導入した設備やシステムのメーカーの担当者にお願いして発行してもらいましょう。
※参照:実績報告添付書類一覧(令和4年11月第4版)
補助対象経費の区分にかかわらず必要な証拠書類
次の2つの書類は、補助対象経費の区分にかかわらず提出が必要な書類となっています。
A. 出納帳のコピー
B. 通帳のコピー
出納帳のコピーでは、補助事業に要した経費の出納状況が記載された部分を提出する必要があります。<参考様式19>を使用することも可能です。
通帳のコピーでは、補助事業に要した経費の出金が確認できる部分と、金融機関名、支店名、種別、口座番号、口座名義が分かる部分を提出します。
補助対象経費の区分ごとに必要な証拠書類
補助対象経費の区分ごとに提出が必要な証拠書類は異なります。
例えば、補助対象経費が建物費の場合、
・見積依頼書(仕様書) ・見積書 ・相見積書 ・契約書 ・重要事項説明書(新築の場合) ・納品書または引渡書または完了報告書 ・検収書 ・完了後の写真 ・工事完了後の図面 ・工事完了後の工事費内訳書または明細書 ・請求書 ・代金支払済みを示す証票 ・領収書(存在する場合) ・預り金元帳(<参考様式19>) ・源泉所得税の納付書のコピー |
の提出が必要です。
加えて、抵当権設定契約書、設計図書、建築確認申請書、検査済証、工事写真、作業工程業等が求められることもあり、膨大な書類の準備が必要であることが分かります。
それぞれの資料は時系列に合わせて最終的にPDFにまとめる必要があります。

それぞれの書類は原本があるものは原本を保存する必要があるのでなくさないようにしましょう。
また、全ての書類の右上に「機ー1」や「建ー1」などの管理番号を記載する必要がある点に注意してください。

それぞれの書類の注意点を説明させていただきます。
見積依頼書
見積依頼書は通常の取引ではあまり使用しませんが、補助金では頻繁に必要になる書類です。
最終的に発注する業者と相見積を発行した事業者の双方宛に作成する必要があります。

見積依頼書のフォーマットはこちらからダウンロードできます。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/documents/youshikisyu09.zip
作成に当たって見積書の発行日よりも後にスケジュールを設定しましょう。
見積書
見積書は通常の取引にも使用するケースが多いので、基本的にはメーカーからもらった見積をそのまま使えるケースが多いですが、あらかじめメーカーの方に長めの見積書を用意しておいてもらいましょう。
相見積書
相見積書の作成では、見積書と相見積書の項目が一致している必要があるという点に注意しましょう。
それぞれの書類で異なる名前を使ってしまうと、同じ商品やサービスについて見積を出しているのか分からなくなってしまいます。
従って、名称を指定して見積の作成を依頼する必要があります。
事業再構築補助金における見積・相見積について次の記事で詳しくまとめているため、参考にしてみてください。
▼事業再構築補助金で見積書・相見積もりが必要になるケースとは??
https://planbase.co.jp/column/181/
注文書
事業再構築補助金では発注書や売買契約書、業務委託契約書などを提出して、「いつどの企業に補助対象になる契約や発注をしたか」を示す必要があります。
普段の取引に発注書や注文書を使用していない方向けに事業再構築補助金の事務局から参考様式が公開されているので手元にテンプレートがない場合はこちらからダウンロードしておきましょう。 https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/documents/youshikisyu09.zip

注文書についても、注文日を見積書の発行日よりも後にすること、見積書の有効期限内に発注すること、交付決定日よりも後に発注することなど、日付に齟齬が生じていないかについて、注意する必要があります。
受注書
受注書は前述の注文書と対応する形で発注先の事業者から発行してもらう必要がある書類です。名称は注文請書等でも問題ございません。
また、注文書と受注書のペアに変えて売買契約書や業務委託契約書も使用可能なのでそれらの資料がある場合はそれらを使用しても問題ないかと思われます。
(どの資料が認められるかは事務局の判断になるので、どの資料がふさわしいかわからない場合は事務局に問い合わせることをおすすめします。)
請求書
請求書は基本的に発行されたものをそのまま使用する形になるので特に気をつける部分はありません。
注意すべき点として、補助金と関係ない経費の請求も記載されている請求書は管理上わかりにくく、事務局から修正の依頼が来ることが多いので、他の取引とは別で請求書を出してもらうようにメーカー等にお願いしましょう。
また、振込先の口座が明記されていない場合に事務局から振込先がわかる資料を合わせて添付するように指示を受けるケースもあるので、請求書に振込先口座が記載されていない場合は、振込先を明記した書類を販売元等に依頼しましょう。
納品書
建物、機械やシステム、広告宣伝費などを補助対象としている場合は納品書または引渡書、完了報告書が必要になります。
これらの資料は通常の取引では発行していない事業者もいる可能性が高いので、メーカー等に依頼して発行してもらいましょう。
(様式等についての指定はありませんが、心配な場合は事務局に確認しましょう)
納品書に明細等を記載される場合は、納品書の項目と他の書類に記載されている名称や機械に記載されている名称のとおりに記載するように依頼してください。
検収書
納品書と対応した形で検収書を発行する必要もあります。
普段検収書を発行していない場合は新たに作成する必要がありますが、その代替として、納品書等のコピーに「検収」と手書きし「検収年月日」「立合者氏名」をサインし、それをコピーしたものでも可とされているので、納品書のコピーに手書きする方法もおすすめです。
支払が確認できる書類
最終的に補助対象となる経費を支払った証拠を示す必要があるため、支払が確認できる書類を添付する必要があります。
支払が確認できる書類として、
銀行の振込金受領書または支払証明等。ネット銀行の場合は、代金支払済みを示す取引記録等の画面のコピー |
とあげられているので、これらの書類は保存しておきましょう。
ここまでの流れ
以上で、①全ての経理書類を集めるまで説明が完了しました。
⓪事業完了(設備の導入やシステム開発が完了。支払も全て完了。) ①全ての経理書類を集める ②様式第6、7、参考様式第17、18、19を作成する ③jgrantsからアップロードする ④修正依頼が頻繁に来るので修正対応する ⑤確定通知を受け取る
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ここまでで
・必要な証拠書類を集める
・証拠書類を日付順に並べる
・証拠書類に付番する
・証拠書類をPDF化する
が完了していればOKです。
次に②様式第6、7、参考様式第17、18、19を作成するについて解説していきます。
実績報告書の作成方法(様式第6、7、参考様式第17、18、19)
実績報告書の作成方法(様式第6、7、参考様式第17、18、19)
事業再構築補助金の実績報告では各補助対象経費の経理書類のみならず、指定された様式に従って実績報告書や取得財産等管理台帳を作成する必要があります。
見慣れない様式に様々な事項を記載する必要があるため、作成方法を解説します。
様式第6(補助事業実績報告書)の作成方法
様式第6(補助事業実績報告書)は交付決定後、電子申請システムにログインし、様式集のリンクからダウンロードすることができます。

「様式第6の別紙1及び別紙4」「様式第6の別紙2及び別紙3」の2つのファイルがあり、シートごとに入力項目が異なります。
【様式第6の別紙1】

背景色が黄色(必須項目)、白色(任意項目)の入力欄に必要項目を入力していきます。入力の際に気をつけることは以下の3点です。
①事業計画名は補助金交付申請時と同じにすること。 ②背景色が灰色の項目は何も入力しないこと。 ③右下の赤字の字数制限に従うこと。
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【様式第6の別紙2】

「様式第6の別紙2及び別紙3」Excelファイル内の「経費明細表」のシートが「様式第6の別紙2」に該当します。
背景色が黄色の欄に、経費区分ごとに補助事業で使用した金額を入力します。入力の際に気をつけることは以下の2点です。
①表左側の予算額は交付決定額をそのまま記載すること。 ②表右側の実績額は「様式第6別紙の3」に記載された値が自動計算されるため、入力しなくても問題ありません。
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【様式第6の別紙3】

「様式第6の別紙2及び別紙3」Excelファイル内の「費目別支出明細書」のシートが「様式第6の別紙3」に該当します。 経費区分ごとにシートが分かれており、品目ごとにシートに記載された項目に沿って入力していきます。
【様式第6の別紙4】

「様式第6の別紙4」はクラウドサービス利用費を計上した場合のみ、申請が必要となる書類です。
クラウドサービス費を計上していない場合は作成の必要はありません。
クラウドサービスの提供業者に聞き取りを行うか、クラウドサービス提供者に記載していただき、シートに記載された必要項目を入力します。
様式第7(取得財産等管理台帳)の作成方法
様式第7(取得財産等管理台帳)のフォーマットは電子申請システムにログインし、様式集からダウンロードすることができます。

補助事業によって得た単価50万円(税抜)以上の財産をシートに記載されている費目ごとに記入します。入力の際に気をつけることは以下の3点です。
①区分は経費区分とは異なり、「建物」「機械・装置」「工具・器具」「無体財産権」の内から選択します。 ②取得年月日の項目は検収年月日を入力してください。 ③耐用年数(処分制限期間)はこのリンク(e-GOV法令検索 減価償却資産の耐用年数等に関する省令)を参考にしてください。
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参考様式17(画像データ用台紙)の作成方法
様式第17(画像データ用台紙)のフォーマットは参考様式ファイルからダウンロードすることができます。

「建物費」に関してであれば、①建築前②建築後(改築後)の画像を、「機械・装置費」に関してであれば、購入した機器の①設置前の様子②設置時の様子③送付伝票④機器を設置している時の画像を、「広告宣伝費」に関しては広告の画像を指定されたスペースに貼ります。
画像を貼るスペースの下に「管理No,」「物件名」「受付番号」「事業者名」を入力し、書類完成です。
参考様式18(費目別支出明細書)の作成方法
様式第18(費目別支出明細書)のフォーマットは参考様式ファイルからダウンロードすることができます。

経費区分ごとにシートが分かれており、品目ごとにシートに記載された項目に従い入力を行います。
参考様式19(元帳)の作成方法
様式第19(元帳)のフォーマットは参考様式ファイルからダウンロードすることができます。 出納帳と預り金の2つのシートに分かれており、出納帳には補助事業の入出金の明細を、預り金には専門家経費の源泉徴収の預り金等を記載します。
出納帳には補助事業の中で支払いが発生する度に使用金額を記載します。預り金は専門家経費を計上しない場合、作成の必要はありません。
記入例


実績報告書類完成後の流れ
実績報告書類完成後の流れ
必要書類の準備ができたら、申請を行います。
⓪事業完了(設備の導入やシステム開発が完了。支払も全て完了。) ①全ての経理書類を集める ②様式第6、7、参考様式第17、18、19を作成する ③jGrantsからアップロードする ④修正依頼が頻繁に来るので修正対応する ⑤確定通知を受け取る
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jGrantsで書類をアップロード
補助金の提出は、デジタル庁が運営する補助金の電子申請システム「jGrants」で行います。申請は電子申請のみとなっています。
jGrantsは24時間365日、いつでもどこからでも申請が可能であるうえ、リアルタイムで申請状況や処理状況を確認することが出来ます。
修正通知への対応
審査の結果、提出した証拠書類に不備があった場合、事務局より差し戻しが行われます。
差し戻しが行われた場合、再申請を行わなければ採択が取り消しになってしまう可能性があるため、迅速に対応することが必要です。
確定通知を受け取る
実績報告書の審査後、事務局が適正と認めた補助対象経費に対する補助金額を確定し、jGrantsを通して補助金確定通知書が送付されます。
補助金確定通知書の確認後、事業者は精算払請求書を提出する流れになります。
※実績報告提出後、確定通知の受け取りの前に、事務局の検査員が補助事業社を訪問する実地検査が行われる場合があります。訪問は事前に通知されます。
実績報告書作成時の注意点
実績報告書作成時の注意点
実績報告書の作成時は次の5点に注意しましょう。
・補助事業の支払は原則、銀行振込 ・クレジットカードによる支払いでは追加書類の提出が必要 ・中古品の購入時は3者以上の相見積書が必要になる ・実績報告書提出以降の5年間は、各証拠書類の保管が必要 ・補助金交付申請額1,000万円超の場合は、保険又は共済への加入が必要
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補助事業の支払は原則、銀行振込
補助事業の支払い方法は、原則、銀行振込です。
やむを得ずクレジットカードを使用する場合は、事前に事務局に相談が必要です。また、クレジットカードを使用する場合、補助事業期間中に引き落としが確認できる場合のみ認められます。
他の取引との相殺払い、仮想通貨、手形(裏書譲渡を含む)、小切手、ファクタリング、補助事業期間内に契約が完了しない割賦支払いは認められないことに注意しましょう。
クレジットカードによる支払いでは、追加書類の提出が必要
クレジットカードによる支払いが事務局から認められた場合、次の追加書類が必要です。
・カード会社発行のクレジットカード利用明細書
・カード利用控え
・カード利用金額引き落とし口座通帳の該当部分のコピー
当然ですが、クレカのポイント分は補助対象経費から減算されます。
中古品の購入時は3者以上の相見積書が必要
中古品は最適な価格の把握が難しいため、中古品を購入する場合は、年式や性能が同程度であると確認ができる古物商の許可を得ている中古品流通事業者からの3者以上の相見積書が必要になります。
中古市場であまり流通していないなど、適性価格の判断が難しい場合には、相見積もりをしても補助の対象外となる可能性があります。
実績報告書提出以降の5年間は、各証拠書類の保管が必要
実績報告書の提出が終わっても、提出した年度以降の5年間は各証拠書類を保管する必要があります。
事業計画の期間を問わず、必ず5年間証拠書類を保管する必要があることに注意しましょう。
補助金交付額1,000万円超の場合は、保険又は共済への加入が必要
補助金交付申請額の合計が1,000万円超の場合は、単価50万円(税抜き)以上の建設した建物等の施設又は共済(風水害等の自然災害による損害を補償するもの)への加入が必要となります。
また保険又は共済に加入した場合は、その「契約書」や「証券等のコピー」などを実績報告書と併せて提出することが必要です。
事業再構築補助金の実績報告に行き詰まったら
事業再構築補助金の実績報告に行き詰まったら
今回は事業再構築補助金を受け取るために必須の手続きである、実績報告について、実績報告書の作成方法や経理書類の集め方について記載させていただきました。
実際の実績報告を行う場合には自社の実施した補助事業の内容に合わせて個別に書類を作成する必要があります。時には事務局との間でやりとりがうまくいかず、どうしていいのかわからなくなってしまう場合もあるかと思います。
当社ではそのような実績報告で行き詰まってしまった方向けに実績報告のサポートを提供しています。
費用は貴社の状況や補助対象経費の数等に応じてお見積もりさせていただくので、お気軽にお問い合わせください。
▼無料相談はこちら
https://planbase.co.jp/contact/
この記事の執筆者

村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。
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