M&Aや事業承継を検討している人には、事業承継・引継ぎ補助金の活用がおすすめです。
当記事では、事業承継・引継ぎ補助金の概要や採択率などを解説します。事業承継・引継ぎ補助金の活用を検討している人は参考にしてください。
事業承継・引継ぎ補助金とは

事業承継・引継ぎ補助金とは、事業承継を契機として新しい取り組みを行う中小企業などや、事業再編・事業統合に伴う経営資源の引き継ぎを行う中小企業などを支援する制度です。費用の一部を補助してくれるため、取り組みを始めやすくなります。
※参考:事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金は、以下の3つに分かれています。
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・経営革新事業 ・専門家活用事業 ・廃業・再チャレンジ事業
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それぞれの詳細については、後述の見出しを参考にしてください。
事業承継・引継ぎ補助金が実施されている背景
事業承継・引継ぎ補助金が実施されている背景は、経営者の高齢化です。高齢になればなるほど、事業の現場に居続けることが難しくなります。後継者不在率も高い水準で推移しているため、自らが動けないなかで事業をどう継続していくかが課題となっています。このような現状が続けば、黒字経営でも廃業を選択しなくてはならない中小企業は増えていくでしょう。
事業承継・引継ぎ補助金の採択率
事業承継・引継ぎ補助は、2022年4月から2023年8月にかけての期間は全6回の公募が行われています。それぞれの採択率は、下記のとおりです。公募回数を重ねるごとに年々採択率は上昇していることが分かります。また、廃業・再チャレンジ事業は申請件数が少なく、公募毎に採択率は大きく変動しています。
| 1次公募 |
申請件数 |
交付決定数 |
採択率 |
| 経営革新事業 |
209 |
105 |
50.24% |
| 専門家活用事業 |
790 |
407 |
51.52% |
| 廃業・再チャレンジ事業 |
34 |
19 |
55.88% |
| 2次公募 |
申請件数 |
交付決定数 |
採択率 |
| 経営革新事業 |
188 |
105 |
55.85% |
| 専門家活用事業 |
422 |
234 |
55.45% |
| 廃業・再チャレンジ事業 |
21 |
9 |
42.86% |
| 3次公募 |
申請件数 |
交付決定数 |
採択率 |
| 経営革新事業 |
189 |
107 |
56.61% |
| 専門家活用事業 |
408 |
234 |
57.35% |
| 廃業・再チャレンジ事業 |
29 |
13 |
44.83% |
| 4次公募 |
申請件数 |
交付決定数 |
採択率 |
| 経営革新事業 |
264 |
146 |
55.30% |
| 専門家活用事業 |
518 |
290 |
55.98% |
| 廃業・再チャレンジ事業 |
28 |
10 |
35.71% |
| 5次公募 |
申請件数 |
交付決定数 |
採択率 |
| 経営革新事業 |
309 |
186 |
60.19% |
| 専門家活用事業 |
453 |
275 |
60.71% |
| 廃業・再チャレンジ事業 |
37 |
17 |
45.95% |
| 6次公募 |
申請件数 |
交付決定数 |
採択率 |
| 経営革新事業 |
357 |
218 |
61.06% |
| 専門家活用事業 |
468 |
282 |
60.26% |
| 廃業・再チャレンジ事業 |
37 |
23 |
62.16% |
2023年9月からは7次公募が実施
2023年9月15日からは7次公募が開始されています。公募要領で公開されている概要は、下記のとおりです。
(※既に7次公募は終了しています。)
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・実施期間:令和5年9月15日(金)から令和5年11月17日(金) (予定) ・補助額:最大800万円 (経営革新事業の場合) ・補助率:2/3または1/3
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7次公募も、経営革新事業、専門家活用事業、廃業・再チャレンジ事業の3つが用意されています。
事業承継・引継ぎ補助金の種類
ここでは、事業承継・引継ぎ補助金の種類について解説します。
経営革新事業
経営革新事業は、事業承継・M&A後の設備投資・販路開拓などにかかる費用を補助します。
補助対象、補助率、補助上限額は下記のとおりです。
| 経営革新事業 |
| 補助対象 |
事業承継やM&Aを機に、経営革新にチャレンジする事業者 |
| 補助率 |
2/3 |
| 補助上限額 |
800万円 |
経営革新事業は、創業支援型・経営者交代型・M&A型の3つに分かれます。それぞれの特徴は、下記のとおりです。
| 創業者支援型 |
廃業を予定している人などから、株式譲渡や事業譲渡などによって経営資源(設備、従業員、顧客など)を引き継ぐ場合に適用 |
| 経営者交代型 |
親族内承継や従業員承継などの事業承継の場合に適用 |
| M&A型 |
事業再編・事業統合などのM&Aの場合に適用 |
専門家活用事業
専門家活用事業は、M&Aに関わる費用を補助します。補助対象、補助率、補助上限額は下記のとおりです。
| 専門家活用事業 |
| 補助対象 |
・M&Aで他者から事業を引き継ぐ事業者 ・M&Aで他者に事業を引き継ぎたい事業者 |
| 補助率 |
2/3 |
| 補助上限額 |
600万円 |
専門家活用事業は、買い手支援型・売り手支援型の2つに分かれます。事業を引き継ぐ場合は買い手支援型が、事業を引き継ぎたい場合には売り手支援型が適用されます。
廃業・再チャレンジ事業
廃業・再チャレンジ事業は、承継時にともなう廃業に関わる費用を補助します。補助対象、補助率、補助上限額は下記のとおりです。
| 廃業・再チャレンジ事業 |
| 補助対象 |
既存事業を廃業して新しい事業にチャレンジする事業者 |
| 補助率 |
2/3 |
| 補助上限額 |
150万円 |
廃業・再チャレンジ事業は、併用申請型・再チャレンジ申請型の2つに分かれます。それぞれの特徴は、下記のとおりです。
| 併用申請型 |
経営革新や専門家活用と併用申請可能 |
| 再チャレンジ申請型 |
既存事業を廃業し、新たなチャレンジに取り組む場合に申請可能 |
事業承継・引継ぎ補助金の補助対象となる経費
事業承継・引継ぎ補助金の補助対象となる経費は、申請内容によって異なります。
それぞれの補助対象の例は、下記のとおりです。
| 経営革新事業 |
専門家活用事業 |
廃業・再チャレンジ事業 |
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・人件費 ・店舗などの借入費 ・設備費 など
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・謝金 ・旅費 ・外注費 など
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・廃業支援費(50万円まで) ・在庫廃棄費 ・解体費 など
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事業承継・引継ぎ補助金を利用するメリットとデメリット
ここでは、事業承継・引継ぎ補助金を利用するメリットとデメリットについて解説します。
メリット
事業承継・引継ぎ補助金を利用するメリットは、受け取った補助金の返済が不要な点です。
事業承継やその後の活動には多くのお金が必要となります。返済の義務や利息が発生しないお金で支出をまかなえるのは、大きなメリットといえるでしょう。
デメリット
事業承継・引継ぎ補助金の申請をした後は、厳正な審査が行われます。採択される可能性を少しでも高めるためには、5年以上は継続可能な事業計画を練る必要があります。そのため、プラン作成に時間がかかる点が、デメリットとして挙げられるでしょう。
また、いくら入念に事業計画をつくったとしても、当然ながら必ず採択されるわけではありません。申請に使った労力が無駄になる可能性がある点も、押さえておきましょう。
事業承継・引継ぎ補助金を申請する流れ
ここでは、事業承継・引継ぎ補助金を申請する流れについて解説します。
要件を確認する
事業承継・引継ぎ補助金を申請する際には、まず自らが申請の対象となっているかを確認しましょう。
ホームページで公開されている公募要領から、補助対象者・補助対象事業・補助対象経費などをチェックし、要件を満たしていることを確認してから申請を進めていく方法が確実です。
gBizIDプライムのアカウントを発行する
事業承継・引継ぎ補助金の申請には、jGrantsを利用する必要があります。jGrantsを利用するには、gBizIDプライムのアカウントを発行しなければなりません。そのため、まずはgBizIDプライムのアカウント発行を行いましょう。
発行にあたって、申請から発行までに2週間前後かかる点には注意が必要です。アカウントが発行されたら、jGrantsから申請を進めましょう。
採択後は実績報告をする
採択の結果は、中小企業庁のホームページやjGrantsから確認可能です。
採択後は、補助対象事業を実施し、事業完了から原則30日以内に実績報告をする必要があります。実績報告後に確定検査が行われ、通過すると補助金が交付される流れです。実績報告は、忘れずに行いましょう。
事業承継・引継ぎ補助金を申請する際の注意点
ここでは、事業承継・引継ぎ補助金を申請する際の注意点について解説します。
加点ポイントを把握しておく
事業承継・引継ぎ補助金には、必須要件ではないものの満たしていると審査に通りやすくなる「加点ポイント」があります。
加点ポイントの例は、下記のとおりです。
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【経営革新事業】 ・「中小企業の会計に関する基本要領」あるいは「中小企業の会計に関する指針」の適用を受けている ・新型コロナウイルス感染症拡大以後に承継をしている など
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【専門家活用事業】 ・経営力向上計画の承認を得ており、経営力向上計画の承認通知をあわせて提出する ・経営革新計画の承認を得ており、経営革新計画の承認通知をあわせて提出する など
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【廃業・再チャレンジ事業】 ・再チャレンジの内容が、起業あるいは引継ぎ型創業である ・再チャレンジする主体の年齢が若い など
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類似する事業では重複して申請できない
事業承継・引継ぎ補助金は、類似した補助金をすでに受けていると申請できません。
また、同じ申請者の申請は原則1回までとなっています。
自らが申請できるかどうかの判断に迷ったら、専門家に相談して確認をしてみるとよいでしょう。
まとめ
事業承継を考えている人は、事業承継・引継ぎ補助金の活用を積極的に検討しましょう。
事業を継続するにも、誰かに委ねるにも、お金は不可欠です。
しかし、補助金を活用すれば、費用の多くをまかなえます。
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この記事の執筆者

村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。