省力化投資補助金(正式名称:中小企業省力化投資補助金)は、中小企業が業務の効率化や生産性向上を目的とする設備投資を支援する国の補助金制度です。
2024年7月から補助上限が1500万円の「カタログ注文型」が開始され、2025年1月には補助上限が1億円の「一般型」が始まりました。
「カタログ注文型」は、あらかじめ政府が指定したカタログから選んで購入・導入する形式の補助金制度です。
通常の補助金申請のように個別に見積もりや審査を行う必要が少なく、導入可能な機器やソフトウェアが明確になっているため、申請や導入をスムーズに行うことができます。
▼2025年の「一般型」については、こちらの記事も参考にしてください。
本事業で製造業が申請できる対象製品カテゴリは多岐にわたり、自社の課題やニーズに合った製品を選択することができます。
具体的には、2024年12月時点で、以下の25件があります。
- 清掃ロボット
- 配膳ロボット
- 自動倉庫
- 検品・仕分システム
- 無人搬送車(AGV・AMR)
- スチームコンベクションオーブン
- オートラベラー
- 丁合機
- 段ボール製箱機
- 近赤外線センサ式プラスチック材質選別機
- デジタル加飾機
- 印刷紙面検査装置
- 鋳物用自動バリ取り装置
- 蛍光X線膜厚測定器
- 自動裁断機
- 原材料自動軽量混合搬送装置
- トムソン加工自動カス取り装置
- 5軸マシニングセンタ
- 一本バー搬送ロボット
- プレス用多関節ロボット
- 鋳造用自動注湯機
- 複合加工機
- バランサ装置
- 鍛圧・板金加工用バリ取り装置
- パイプベンダー用投入・排出ロボット
以下ではいくつかの製品について、製品概要や導入費用、ポイントなどを解説します。
清掃ロボット
清掃員が作業していた清掃業務を自動で動く清掃ロボットが担います。
人や障害物を避けながら、廊下やロビーなどの床面を清掃することが可能です。
| 製品概要 |
各種センサにより、人や障害物を回避しながら自律走行で床を清掃するロボット。 |
| 導入費用 |
数百万程度で導入可能。基本的に導入後の設定を行えばすぐに使用可能。 |
| ポイント |
掃除機での清掃と比べて、大幅にコスト削減効果を得られる。 |
自動倉庫
製造業の工場や倉庫において、従業員が棚からの出し入れを人力で行っていたところ、自動倉庫では荷渡し装置に置くだけで、棚の中に自動で搬送してくれます。
また、保管場所を探すのにかかっていた時間も、自動倉庫ではロケーション管理、在庫管理、日付管理の自動処理が可能なので、大幅に効率化されます。
| 製品概要 |
パレットやケース、コンテナを自動的に入出庫・保管できる製品。保管する棚、出し入れする機械、前後の荷受け・荷渡し装置で構成され、コントロール、管理するシステムも含まれている。 |
| 導入費用 |
小型のものは二千万円程度からでも導入可能。 |
| ポイント |
- 庫内の通路幅を極限まで狭くでき、かつ高積みが可能となるため空間効率の向上に寄与する。
- 煩雑な入出庫や在庫などの管理が自動化され、高速に入出庫が可能となることで、ミスなく生産性の向上が見込まれる。
- 自動機による庫内管理となるため、庫内照明が不要となるだけでなく、庫内移動時の回生エネルギーを活用するなど省エネ効果を有する機種もある。
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無人搬送車(AGV・AMR)
製造業の工場や倉庫において、従業員が人手による手押し台車等での搬送を行っていたところ、無人搬送車はルート等を設定するだけで自動で搬送が可能となります。
| 製品概要 |
自動で走行する車両または台車で、ものを移載やけん引できる機能を有し、自動で搬送が行える製品。位置の認識やルートについては、機器に組み込まれたマップ、決められた位置情報やルートに基づき、自動で移動が可能。 |
| 導入費用 |
製品の規模により大きく異なるが、数百万円から一千万円程度からでも導入可能。 |
| ポイント |
- 例えば、自動倉庫から出庫された商品を自動で次の工程まで運搬することが可能。搬送できるのはケースだけで無くカゴ車や棚など、使用環境やニーズによって設定可能であり往復で別のものを搬送することも可能。
- 運搬作業の指示や状況に合わせた変更をタブレット端末にて行い、すべての搬送作業を終えたら自動で充電場所まで戻る機種もある。
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なお、他の製品についての詳細は公式HPに情報がありますので参照してください。
▼製品カタログ
https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/product_catalog.pdf
省力化製品にはそれぞれ省力化効果があり、自社に合った製品を導入することで、省力化を促進し、人手不足の解消につなげることができます。
製造業は、中小企業省力化投資補助金を活用して省力化製品を導入することで、生産性の向上やコストの削減など、省力化効果が期待されます。この項目では、製造業における本事業の具体的な活用例を解説します。
活用例① 清掃ロボット
製造業では、大規模な工場や施設を有している場合が多く、人手で清掃するのにかなりの時間や労力を要します。そのため清掃ロボットを導入することで大きな省力化効果が期待されます。
以下に、清掃ロボットを導入することで得られる効果やメリットを示します。
人件費の削減
清掃ロボットを導入することで、人件費の削減に繋がります。
例えば、時給が1,200円、清掃時間が3時間の清掃作業を2人で行うと仮定すると、必要な人件費は、
1,200円/時間×3時間×20日×2人分 = 144,000円/月
72,000円/月×12カ月 = 1,728,000円/年
となります。
300万円の清掃ロボットを導入する場合は、21か月目には初期投資を回収でき、それ以降は人件費の削減が実現できます。
作業の標準化
清掃ロボットはプログラムに基づいて清掃を行うため、常に一定の清掃品質を保つことができます。人による清掃では、作業品質が作業員によって変動する場合がありますが、清掃ロボットを導入することでばらつきが解消され、均一で安定した品質が実現されます。
24時間稼働可能
清掃ロボットは、昼夜問わず清掃作業を続けることができるため、稼働率を最大化することが可能となります。24時間稼働している製造業施設において、非稼働時間を活用した清掃が可能であり、生産を妨げずに清掃することが可能となります。
以上のように、製造業における清掃ロボットの導入は、短期的には初期投資が必要ですが、長期的には人件費削減、作業の標準化、稼働率の最大化などを通じて、全体的な省力化効果につながります。また、人的リソースを他の業務に再配置できるため、効率的な運営も可能になります。
活用例② 自動倉庫
自動倉庫の導入は、製造業において業務効率の向上やコスト削減を実現するための非常に有効な手段です。
以下に、自動倉庫を導入することで得られる効果やメリットを示します。
作業時間の削減
自動倉庫を導入することで、作業時間が大幅に削減されます。
例えば、1回の入出庫に人手で10分かかり、1日に30回入出庫があると仮定すると、必要な時間は、
10分×30回 = 300分(5時間)
となります。
一方、自動倉庫は同じ作業を3分で完了するため、必要な時間は、
3分×30回 = 90分(1.5時間)
となります。
以上より、300分 – 90分 = 210分(3.5時間)の作業時間短縮が実現できます。
保管場所と在庫管理の効率化
自動倉庫は、保管場所と在庫管理の効率化に貢献します。
自動倉庫では、ロケーション管理や在庫管理が自動化されているため、従業員が商品を手動で探し回る必要が大幅に削減されます。ロケーション管理システムが各商品や部品の正確な保管場所を管理しており、在庫管理においても入出庫のたびに在庫数量が自動的に更新されるため、常に最新の在庫情報を保持できます。
照明コストの削減
自動倉庫の導入によって、倉庫内での人の立ち入りが大幅に減少するため、従来のように常時明るく照明を点ける必要がなくなります。これにより、特定の時間帯のみ照明を使用したり、必要な場所だけに点灯するといった省エネ対応が実現します。
以上のように、製造業における自動倉庫の導入は、労働力削減やコスト削減だけでなく、作業ミスの削減、生産性向上、エネルギーコストの削減といった多くのメリットをもたらします。また、ヒューマンエラーの低減と安全性の向上により、製造業における品質管理や効率的なオペレーションの維持が容易になり、全体的な事業パフォーマンスの向上が期待されます。
製造業は少子高齢化による労働人口の減少や、「きつい・汚い・危険」といった3Kイメージによる人手不足が深刻な課題です。
中小企業省力化投資補助金を活用することで、業務効率化や人件費抑制に対応でき、従業員の負担軽減と生産性向上を同時に実現できます。
自社の課題やニーズに合った製品を導入し、補助金を受けることで、事業の成長や賃上げも見込めるため、製造業の経営改善に非常に有効な制度です。
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