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新事業進出補助金は事業再構築補助金の後継制度!変更点・違い・活用ポイントを徹底解説

目次

2025年から本格的に運用されている新事業進出補助金は、これまで多くの中小企業の設備投資・事業転換を支援してきた事業再構築補助金の後継制度として位置づけられています。 コロナ禍の収束とともに、企業を取り巻く環境は「緊急的な再構築」から「成長市場への挑戦」というフェーズへ移行しました。 この変化に合わせ、制度もより“成長志向”にアップデートされた形です。 この記事では、その違いや活用のポイントを分かりやすく解説します。

新事業進出補助金とは

新事業進出補助金は、企業の成長促進・生産性向上・賃上げの実現を後押しするため、中小企業が新事業に挑戦し、新しい市場への進出するための支援制度です。

例えば、

  • これまで扱っていなかった製品分野への進出
  • 新たな顧客層・業界への展開

などの取り組みに対し、設備投資や販路開拓の費用を補助します。

新事業進出補助金の補助率・補助金額

補助率は一律で1/2(経費の半額)です。

補助上限額は企業規模(従業員数)によって異なり、さらに賃上げ特例を満たすと上限が引き上げられます。

従業員数補助金額(通常)補助金額(賃上げ特例適用時)補助率
20人以下750万円〜2,500万円〜3,000万円1/2
21〜50人750万円〜4,000万円〜5,000万円1/2
51〜100人750万円〜5,500万円〜7,000万円1/2
101人以上750万円〜7,000万円〜9,000万円1/2

本補助金を申請する際は、補助対象経費の見積もりとあわせて、上限額を踏まえた資金計画を立てることが重要です​。

新事業進出補助金の補助対象者の概要

対象者は、日本国内に本社および補助事業実施場所を有する中小企業等です。
主な条件は以下の通り。

  • 中小企業者(業種別の資本金・従業員数基準を満たす)
  • 資本金10億円未満の中堅企業
  • 企業組合、一般社団法人など
  • 対象リース会社

また、事業協同組合や商工組合など一定の組合は、構成員企業数に応じて補助上限額を積み上げて申請可能です。
たとえば、対象組合員が16社の場合、上限額は「7,000万円×4社+5,500万円×4社=最大5億円」となります。
さらに、中小企業がリース契約で設備を導入する場合には、リース会社と共同で申請し、減額済みリース料を支払う形で補助を受けることも可能です(リース会社は中小企業でなくても可)。

対象外のケース

  • 創業1年未満または従業員数が0名
  • みなし大企業(大企業傘下)
  • 過去16か月以内に他補助金(再構築・ものづくり等)を受給
  • 資本金や従業員数を一時的に変更し要件を満たそうとする行為
  • 公的支援停止中・政治団体・宗教法人など

採択後に要件違反が判明した場合、交付取消・返還となる可能性があります。

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新事業進出補助金の前身にあたる「事業再構築補助金」とは

制度の概要と目的

新事業進出補助金の前身にあたる事業再構築補助金は、新型コロナ後の経済社会の変化に対応し、新市場への進出や事業転換、業種転換、事業再編、国内回帰、地域サプライチェーンの強化など「思い切った事業再構築」に挑戦する中小企業等を支援する補助金制度でした。

この制度を通じて、日本経済の構造転換(産業構造の変革や新分野への進出)を促すことが目的です。
支援対象は主に中小企業で、ポストコロナ時代に大胆な事業再構築に意欲を持つ企業の挑戦を後押ししました。

事業再構築補助金の事業類型

  • 事業類型(A): 成長分野進出枠(通常類型)
  • 事業類型(B): 成長分野進出枠(GX 進出類型)
  • 事業類型(C): コロナ回復加速化枠(通常類型)
  • 事業類型(D): コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
  • 事業類型(E): サプライチェーン強靱化枠
  • 上乗せ措置(F): 卒業促進上乗せ措置
  • 上乗せ措置(G): 中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置

補助対象となる事業と企業

補助対象となる事業

補助対象となる事業は、事業再構築指針で定義された「事業再構築要件」を満たす取り組みが求められます。
具体的には以下の類型が該当します。

  • 新製品や新サービスで新市場に進出する「新市場進出」
  • 既存事業の主要部分を他分野に切り替える「事業転換」
  • 主たる業種自体を変更する「業種転換」
  • 企業の合併・買収等による「事業再編」
  • 海外で製造等する製品について国内製造拠点を整備する「国内回帰」
  • 供給に不足が生じる恐れがある製品の国内製造拠点を整備する「地域サプライチェーン維持・強靱化」

上記類型の中で、「新分野展開」は新事業進出補助金へと引き継がれていると考えられます。

補助対象となる企業

補助対象となる企業は、新事業進出補助金と同様に中小企業(中堅企業を含む「中小企業等」)です。

上記の事業再構築に取り組む意思と計画を有することが条件で、計画内容が新市場や成長分野への進出、またはコロナ禍からの立て直しにつながるものである必要がありした。

直近公募回における過去公募回との変更点

下記は、直近の第13回公募における過去の公募回との違いです。

公募の目的・重点分野の違い

過去公募回: 主にコロナ禍の影響を受けた事業者向けの支援が重点的に行われた。
第13回公募: 「脱炭素化」「デジタル化」「業務効率化」に重点が置かれ、より未来志向の事業に焦点を当てている。

第13回公募では、コロナ回復加速化枠(通常類型)での申請ができなくなりました。
これは、従来のコロナ禍で影響を受けた事業者への重点支援から、「新市場進出」のような、より未来志向の事業再構築を重視する支援へと方針が転換されたためです。
その結果、直近の事業再構築補助金における要件は、新事業進出補助金の要件に近い内容となっていました。

新事業進出補助金と事業再構築補助金の違い|後継である理由

比較一覧表

まず、新事業進出補助金と事業再構築補助金(成長分野進出枠・通常類型)の違いを比較一覧表で整理します。

新事業進出補助金事業再構築補助金・成長分野進出枠(通常類型)
補助対象者企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等ポストコロナに対応した、成長分野への大胆な事業再構築にこれから取り組んだり、国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業・中堅企業等
補助上限額9,000万円7,000万円
補助率1/2中小企業等:1/2(2/3)
中堅企業等:1/3(1/2)
基本要件(1)新事業進出要件
(2)付加価値額要件
(3)賃上げ要件
(4)事業場内最賃水準要件
(5)ワークライフバランス要件
(6)金融機関要件
(1)事業再構築要件
(2)金融機関要件
(3)付加価値額要件
(4)給与総額増加要件かつ市場拡大要件または市場縮小要件
補助事業期間交付決定日から14ヶ月以内交付決定日から12 か月以内
補助対象経費機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門 家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、 広告宣伝・販売促進費、研修費、廃業費

基本要件の違い

基本要件には、その補助金の趣旨が示されており、これを満たさなければ採択されません。
ここでは、補助金の性格を端的に示す「基本要件」の違いについて、簡単にまとめます。

新事業進出要件と事業再構築要件

新事業進出要件は、①製品等の新規性要件②市場の新規性要件③新事業売上高要件の3つを満たす必要があります。

事業再構築要件は、6つの類型のうち1つを選択し満たす必要があります。
この類型のうち、「新市場進出」は新事業進出要件と内容が近いです。

新事業進出要件と事業再構築要件の違いは、事業再構築要件の方が複数の類型があり、適用範囲が広くなっています。

付加価値額要件

付加価値額要件は、新事業進出補助金と事業再構築補助金の両方に存在します。

事業再構築補助金における付加価値額要件では、申請枠によって年平均成長率の数値目標が異なります。
成長分野進出枠は4.0%と新事業進出補助金と同じですが、コロナ回復加速化枠においては3.0%と低くなっています。

金融機関要件

金融機関要件も、新事業進出補助金と事業再構築補助金の両方に存在します。

事業再構築補助金における金融機関要件では、事業計画書を金融機関等又は認定経営革新等支援機関と相談の上で作成し、確認を受ける必要があります。
新事業進出補助金ではそのような要件はなく、「補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受ける必要がある」、という要件のみです。(事業再構築補助金にも存在)

その他要件

新事業進出補助金には、「賃上げ要件」「事業場内最賃水準要件」「ワークライフバランス要件」があります。
特に「ワークライフバランス要件」においては、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表する必要があります。公表までは一定期間を要するため、申請を検討している方は早めに準備しましょう。

事業再構築補助金においては、申請枠によって要件が異なります。
コロナ回復加速化枠においては、「コロナ借換要件」や「最低賃金要件」を満たす必要があります。

新事業進出補助金が事業再構築補助金の後継と言われる理由

新事業進出補助金が「後継制度」と言われるのには、主に3つの根拠があります。

国の予算

事業再構築補助金に充てられていた予算を再編し、中小企業省力化投資補助金が作られました。

中小企業省力化投資補助金をさらに再編して、中小企業新事業進出促進事業として2025年の補正予算で新たに生まれました。

要件が近い

事業再構築補助金における事業再構築要件の類型の一つである「新市場進出」は、新事業進出補助金における新事業進出要件とかなり近い内容になっています。
これらの要件は、それぞれの補助金の性格を表す要件であり、近い性格を持つ補助金と言えます。

また、事業再構築補助金における付加価値額要件(成長分野進出枠)と新事業進出補助金における付加価値額要件は、どちらも以下の内容です。

補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(又は従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること

要件が近いことから、新事業進出補助金は事業進出補助金の後継と言えます。

申請スケジュール

事業再構築補助金の第13回公募は2025年1月10日~3月26日でした。

一方、新事業進出補助金の第1回公募は2025年4月22日~7月15日でした。

事業再構築補助金の最終公募回(第13回公募)から期間を開けずに新事業進出補助金が開始されたことから、後継の補助金と言えます。

新事業進出補助金の活用例

新事業進出補助金では、「既存事業とは異なる新たな事業に挑戦すること」が要件です。
単なる事業拡大ではなく、新規性が求められます。

そのため、新事業進出要件として、次の3つの要件を満たす必要があります。

  • 製品等の新規性:中小企業にとって初めて製造・提供する製品やサービスであること
  • 市場の新規性:これまで取引のなかった新たな顧客層や業界を対象とすること
  • 新事業売上高要件:新事業による売上が、申請時の売上高の10%以上になる見込みがあること

これらの条件を満たすことで、「本格的な新事業進出」と認められ、補助対象となります。

具体的な取り組み例

例1)自動車部品メーカーが、半導体製造装置部品の製造に挑戦
→ 技術を応用し、異なる業界に進出(製品・市場ともに新規)
例2)住宅建設業者が、オーダーメイド木製家具の製造・販売を開始
→ 木材加工技術を活かし、新たな消費者市場へ展開
例3)印刷業者が、飲食店向けの内装工事に事業転換
→ 顧客層が異なるため、市場の新規性あり

これらの取組はすべて、補助金の目的である「企業の生産性向上と賃上げ促進」に資するものとして、評価される可能性が高いと思われます。

新事業進出補助金の事業計画書の書き方と採択率を上げるコツ

新事業進出補助金の審査で最も重要な資料が「事業計画書」です。
同補助金は書類審査により採否が決まるため、どれほど優れた実績や技術力があっても、計画書の内容が曖昧な場合や審査項目に沿っていなければ採択されない可能性があります。

採択される事業計画書を作成するためには

  • 新規事業への挑戦
  • 生産性向上
  • 賃上げ促進

といった本補助金の目的と合致した内容を、明確かつ論理的に構成することが重要です。
以下では、採択を目指すために必要な構成・審査項目のポイント・加点制度を詳しく解説します。

事業計画書に記載すべき基本構成

はじめに既存事業の現状と課題を整理し、なぜ今「新事業に挑戦する必要があるのか」を明確にします。
その上で、どのような製品・サービスを、どんな市場へ、どのように展開するのかを具体的に記載します。

主な記載項目

・自社の概要と既存事業の課題
・新事業の目的・内容・新規性・市場性・売上見込み
・導入する設備・システム・サービスの概要と必要性
・収益計画・付加価値の成長目標・実施スケジュール・人員体制
・地域や業界への波及効果(雇用創出、取引拡大など)

これらは審査項目に対応しており、抜けや曖昧な記載があると減点につながります。

審査項目に沿った書き方のポイント

審査は数値による「定量評価」ではなく、内容の妥当性を評価する「定性評価」で行われます。
したがって、審査項目を意識した構成で論理的に説明することが不可欠です。

補助対象事業としての適格性

高い付加価値の創出や賃上げを実現できる目標設定と、その実現可能性があるか
・補助事業終了後3〜5年の「付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)」の成長見込みを明示
・成長率は年平均4.0%以上を目安に設定
その根拠として、売上計画・原価率・利益率・販売戦略・チャネル構築などを具体的に示します。

新市場性・高付加価値性

社会における一般的な普及度や認知度が低い製品・分野であり、かつ高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであるか
・新製品やサービスの差別化要素・独自技術・高単価化の根拠を具体的に記載
競合比較、顧客ニーズの分析、市場規模データなどを用い、「なぜ高価格で販売できるのか」を明確に説明します。

実現可能性

課題への対処やスケジュール、人員体制、資金調達が妥当か
・「いつ・誰が・何を・どう実行するか」を明示
・想定リスクと対策も具体的に記載
自己資金や金融機関からの融資など、資金調達計画の裏付けも示すことが重要です。

公的補助の必要性

国が支援すべき取組であり、地域や産業への波及効果があるか
・「補助金がなければ実現できない理由」を説明
地域雇用、下請企業の活性化、地方創生などの外部効果を明記することで加点が期待できます。

政策との整合性

国の重点政策(経済構造転換、脱炭素、地域課題解決など)に合致しているか
・「省エネ・脱炭素」「地域資源の活用」「人手不足解消」などの要素を盛り込むと効果的
例)「製造工程の電動化によるCO₂削減」「介護現場での省力化装置導入」などは加点対象になる場合があります。

加点制度名概要公式URL
パートナーシップ構築宣言下請取引の適正化・共存共栄を目的とした企業間連携制度。登録・公開で加点対象。https://www.biz-partnership.jp/
くるみん認定子育て支援に積極的な企業を厚労省が認定。「プラチナくるみん」「トライくるみん」も対象。https://ryouritsu.mhlw.go.jp/
えるぼし認定女性活躍推進法に基づく認定。採用・管理職比率などを基準に1〜3段階またはプラチナ認定。https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/
アトツギ甲子園中小企業庁主催の後継者による新規事業アイデアコンテスト。出場経験が加点対象。https://atotsugi-koshien.go.jp/
健康経営優良法人健康管理・職場改善に取り組む法人を経産省が認定。年度認定が必要。https://kenko-keiei.jp/
技術情報管理認証経産省策定の基準に基づき、技術情報・ノウハウの漏えい防止体制を第三者が認証。https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/technology_management/index.html

申請期限までに登録・認定が可能なものは早めに準備をはじめましょう

事業計画書は、単なる構想ではなく、数字と根拠で裏付けられた実行可能な戦略書です。
「誰が、何を、なぜ、どのように行うのか」を明快に記し、審査項目すべてに整合した内容を構成することが採択への近道です。

さらに、国の重点政策や加点制度を活用することで、競争力の高い申請書を作成できます。
補助金支援の専門家に相談しながら、説得力ある事業計画書を仕上げることが採択の第一歩です。

まとめ|新事業進出補助金は事業再構築補助金の後継として“新たな挑戦”を支援する制度へ

新事業進出補助金は

  • 事業再構築補助金の「新市場進出」を引き継ぎ
  • 新事業への挑戦を支援する前向きな制度

としてアップデートされています。

新規事業への投資を考える中小企業にとって、非常に使いやすい制度です。
申請を検討している企業は、早めに事業計画を整理し、準備を進めることをおすすめします。

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