中小企業などが、ITツールを導入する際に受け取れる補助金の一つが、IT導入補助金です。そして、企業に対してIT導入のサポートをする事業者には、「法人(単独)」と「コンソーシアム」の2種類があります。
この記事では、2事業者の概要や違いやメリットデメリット、どのようなケースでコンソーシアムの支援事業者にサポートを依頼するべきか、詳しく解説します。IT導入補助金の受け取りを考えている人は、ぜひ参考にしてください。
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、中小企業などのITツール導入を支援する国の補助金制度です。補助の上限は、最高で450万円にのぼり、多くの企業から注目を集めています。
また、補助対象が多岐にわたることも特徴です。例えば、インボイス制度に対応した受発注システムや、ECサイトの作成といった、近年のトレンドや課題に対応したものが含まれます。そのほか、システムセキュリティの強化、パソコンやタブレット、プリンターの購入などハード面も対象です。
デジタル化の進んでいない中小企業であれば、ぜひ検討したい補助金の1つです。
IT導入補助金については、次の記事で詳しく解説しています。
▼2024年(令和6年) IT導入補助金とは?
https://planbase.co.jp/column/280/
IT導入支援事業者とは
IT導入支援事業者は、補助金の受給を目指す企業がIT導入事業を実施する際に、支援を行う事業者のことをいいます。
具体的には、ツールの説明や実際の導入、運用方法に関する相談など、幅広いサポートを提供します。あわせて、補助金の交付申請や実績報告などの、管理業務も担当することが一般的です。
企業が補助金を申請する際には、このIT導入支援事業者を選定することが必須となります。
どのような事業者を選ぶかは、プロジェクトの成功に大きく影響するといえるでしょう。
IT導入補助金における法人(単独)とコンソーシアムの違いは?
法人(単独)とコンソーシアムの違い
IT導入支援事業者には「法人(単独)」と「コンソーシアム」の2種類が存在します。それぞれの特徴と違いについて詳しく解説します。
コンソーシアム
コンソーシアムとは、共同事業体を意味します。これは、メインとなる1社と、1者以上の構成員で形成された支援事業体のことです。専門性を活かした細やかなサポートを提供することが可能で、支援体制の強化のためにこの形態が選ばれることもあります。
法人(単独)
法人(単独)は、単一の法人が支援事業を提供する形態です。この形態で支援事業を提供するためには、ITツールやサービスを提供・販売する実績が必要とされます。
コンソーシアムか法人か見分ける方法は?
どの事業者がコンソーシアムなのか、法人(単独)なのかを見分けるためには、「IT導入支援事業者・ITツール検索」を利用しましょう。検索結果に表示される「コンソーシアム名」に記載がある組織は、コンソーシアムとして支援事業者に登録されています。
IT導入補助金におけるコンソーシアムのメリット
コンソーシアムを選ぶことで生まれる申請者側のメリットを、3つ解説します。
1. 複数のプロのノウハウや知識を受け取れる
コンソーシアムには、多様な専門分野の事業者が集まります。そのため、多角的な視点や専門知識を得られる点が、大きなメリットです。申請者は、1つの組織を支援者にするときには得られない、幅広い知識や技術の恩恵を受けられるかもしれません。
2. 支援事業者側のコストが削減できる
複数の事業者が資源を共有することで、個々の事業者の負担が軽減を軽減し、コスト効率を上げています。それにより、申請者は、より質の高いサービスや支援を受けることが期待できるでしょう。
3. 受け取れるサポートの質が高まる
異なる専門性を持つ事業者同士の連携により、より包括的で質の高いサポートが期待できます。例えば、ITツールを提供する企業や事業者は、ツール制作や運用、営業活動に専念できるようになるでしょう。
複雑なプロジェクトや特殊なニーズがあるケースでは、コンソーシアムによるサポートのほうが、適切な解決策を見つけられる可能性が高まるかもしれません。
IT導入補助金におけるコンソーシアムのデメリット
コンソーシアムを利用する際には、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。ポイントを押さえることで、後悔のない補助金受給を目指しましょう。
やりとりが複雑になる
複数の事業者で構成されるコンソーシアムでは、利用者と支援事業者とのコミュニケーションが複雑になることがあります。誤解やミスコミュニケーションのリスクが高まるかもしれません。
各事業者への連絡方法や、プロジェクトに関わる人の範囲については、事前に確認しておきましょう。
事業者同士の連携が問われる
コンソーシアム内でのコミュニケーションや調整が十分に機能していない場合、コンソーシアムの事業者内で不満が蓄積する恐れがあります。また、同じコンソーシアムでも、事業者によって、サービスのスタイルや品質にばらつきが生じることもあるかもしれません。事業者間での業務配分の適切さを見極めることが重要といえるでしょう。
手続きに時間がかかる可能性
多くの事業者が関わるコンソーシアムでは、意思決定やプロセスが長引くことがあります。特に、スピード感を持ってITツールを導入したい場合、ストレスに感じることもあるでしょう。プロジェクトの時間管理には、注意が必要です。
コンソーシアムの支援事業者を選ぶべきなのは?
法人(単独)ではなく、コンソーシアムの支援事業者を選ぶべきケースを、3つ解説します。
複数の専門分野のサポートが必要なケース
法的なアドバイス、財務計画、技術サポートなど、複数の専門分野の知識が必要な場合には、コンソーシアムを選ぶことが望ましいでしょう。多様な専門家が集まるコンソーシアムであれば、全てのニーズを満たす可能性が高まります。
プロジェクトが大規模なケース
中小企業同士でノウハウを共有できるコンソーシアムは、企業単独では難しい目標も達成しやすくなります。大規模なプロジェクトに必要なリソースや専門知識を提供できるため、より大きなビジネス展開が期待できるでしょう。
コストを削減したいケース
コンソーシアム内の事業者は、中小企業であっても、支援体制を整えるための設備投資がしやすくなります。また、単独の法人支援事業者よりも、支援体制に必要なコストを削減できる可能性があります。事業者のコスト効率化は、安価でのサービス利用につながるかもしれません。
法人(単独)の支援事業者を選ぶべきなのは?
次は、コンソーシアムではなく、法人(単独)の支援事業者を選んだほうがよいケースを、2つ解説します。
依頼したい内容が決まっているケース
特定のITツールを利用することが決まっており、それを提供するのが単独の支援事業者である場合、コンソーシアムを選ぶ必要はありません。このケースでは、目的に合った専門性を持つ単独の事業者が効果的です。
専門的なサービスが必要な場合、特定のニーズに合わせたサポートを提供する単独事業者が最適です。
長期的な関係性を築きたいケース
長期的な関係や信頼性、安定性を重視する場合、実績のある単一の法人との連携が望ましい選択となることがあります。このような関係性は、プロジェクトの進行に安心感をもたらします。
補助金申請支援に特化した事業者も検討
IT導入補助金の受給を考える場合、ITツールに精通する事業者やコンソーシアムだけでなく、補助金申請に特化した事業者の選定も検討してみましょう。
補助金申請が専門の専門事業者は、補助金の申請プロセスや要件に精通しているため、申請書のミスを防ぎ、申請が却下されるリスクを大幅に減らせます。また、補助金申請が受理されやすい事業計画の提案も得意としています。
補助金の受給後もサポートを継続して提供するため、補助金の適切な使用や報告書の提出など、あとに続くプロセスもスムーズに進行できる可能性が高まります。
まとめ
本記事では、IT導入補助金に関連する、コンソーシアムと法人(単独)の支援事業者選びについて、それぞれのメリット、デメリット、適したケースを詳細に解説しました。
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この記事の執筆者

村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。