5軸制御マシニングセンタとは、直行3軸及び旋回2軸をもち、同時に5軸を制御できるマシニングセンタです。
下図に示すように、3次元空間で工具の位置決めをする(X,Y,Z)の3軸に、傾斜軸(A)と回転軸(C)の2軸を加えた構造になっています。

これにより、5つの軸を駆使して自由な方向から加工を行えるため、複雑な加工も実現できます。
また、これまで複数台で段取り換えをしながら加工していた複数形状の加工を1台で完結できるため、オペレーターが管理する機会の台数を減らすことができます。
さらに、段取り換えが不要であるため、時間のかかる加工に関して、夜間の連続運転などの運用も可能となり、生産性の向上に繋がります。
以下で、詳しく解説していきます。
導入費用はメーカーや仕様によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
| 区分 |
価格帯(目安) |
用途 |
| 小型・中型機 |
1,500万円~3,000万円 |
部品加工・金型加工など |
| 大型機・高性能モデル |
4,000万円~7,000万円以上 |
航空・医療・精密部品向け |
| 周辺機器・治具・設置費用 |
200万円~800万円 |
ロボット搬送・治具設計・設置工事など |
つまり、トータルでは2,000万~8,000万円程度の初期投資が必要になるケースが多いです。
高精度・多機能な機械ほど価格が上がりますが、その分、省力化効果や人件費削減効果も大きいため、長期的には十分に費用対効果が見込めます。
高額な導入費をサポートしてくれるのが、「中小企業省力化投資補助金」です。
この制度は、IoT・ロボット・自動化設備などの導入支援を目的に、2024年度からスタートしました。
補助金の概要(一般型)
| 項目 |
内容 |
| 対象 |
中小企業・小規模事業者・一部中堅企業 |
| 対象経費 |
省力化・自動化に資する設備、システム導入費 |
| 補助上限 |
最大1億円(従業員数に応じて750万円~1億円) |
| 補助率 |
1/2 ~ 2/3(小規模事業者や賃上げ企業は優遇) |
| 対象機器 |
ロボット・IoT設備・5軸マシニングセンタなどのオーダーメイド設備 |
5軸マシニングセンタは、「オーダーメイド性のある省力化設備」として補助対象に含まれます。
実際に採択事例では、ロボットや搬送装置との連携による自動加工ライン構築などが多く見られます。
例として、2,500万円の5軸マシニングセンタを導入する場合を想定します。
| 区分 |
金額(税抜) |
| 導入費用 |
2,500万円 |
| 補助率 |
2/3(小規模事業者の場合) |
| 補助金額 |
約1,667万円 |
| 自己負担額 |
約833万円 |
➡️ 補助金を活用すれば、実質3分の1以下の費用で導入可能。
資金繰りに余裕がなくても、金融機関と連携して申請すれば実現しやすくなります。
5軸制御マシニングセンタの導入は、「作業時間が短縮される」「加工コストが削減させる」「工具を斜めから当てることができる」、「加工精度が向上する」「生産性が向上する」といった多くのメリットをもたらします。
作業時間が短縮される
5軸制御マシニングセンタの最大のメリットの一つとして、加工物の取り付けを都度行う必要がなくなり、作業時間が大幅に短縮されることが挙げられます。
3軸のマシニングセンタでは、加工する面の変更や傾斜のつける作業などは人の手で行わなければなりませんが、5軸のマシニングセンタには回転軸と傾斜軸がありますので、その作業は必要なくなるのです。
加工面の変更
例えば、サイコロのような四角い形状の加工物において、全ての面に加工を施そうとするとき、下図のように面の変更を行うことができます。
<引用> https://jp.meviy.misumi-ec.com/info/ja/blog/ogawa/17727/
赤く塗られた面が加工対象となります。
3軸のマシニングセンタではA軸とC軸はありませんから、加工する面を変更したければ、毎回取り付け作業を行う必要があります。全ての面を加工するのには、この作業が5回必要になります。
一方、5軸制御マシニングセンタを用いると、上図のような回転が実現できるため、底面以外の5面の加工が一度の取り付けで可能になります。
角度の調整
例えば、傾斜のついた加工物において、その面上に加工を施そうとすれば、3軸制御と5軸制御で下図のような違いがあります。

3軸制御の場合、加工面を水平にするための専用治具が必要です。赤で示した部分に該当します。加工面が水平になっていないとずれが生じてしまうため、この治具を設置する作業は正確に行う必要があります。
一方、5軸制御マシニングセンタを用いると、傾斜軸による角度の調整が可能となるため、専用治具は必要ありませんし、加工物を取り外して調整しなおす必要もありません。
加工コストが削減される
5軸制御マシニングセンタを活用すると、3軸制御と比べて必要とする工具や治具が少なく済みます。
それにより、特殊工具や専門治具の購入・管理費用を抑えることができるため、コストの削減に繋がります。
例えば、上述した加工面の角度を調節するための専門治具がその一例です。3軸制御では欠かせなかった専門治具が、5軸制御を使用することで不必要になります。
また、特殊工具についても同様です。
下図に示すように、通常の3軸制御では工具長を長くしなければ届かなかったものでも、5軸制御を使用することで加工物を回転させることができるため、短い工具長で加工することが可能です。

このように、5軸制御マシニングセンタを使用することで、不要となる治具や工具が減るため、それらの購入代金やメンテナンス代だけ、コストを削減することができます。
工具を斜めから当てることができる
5軸制御には、傾斜軸や回転軸が搭載されているため、加工物に対して工具を傾けて当てることが可能になります。
これには、「干渉の回避と工具長の短縮」や「工具の性能を最大限発揮させることができる」といったメリットをもたらします。
干渉の回避とそれによる工具長の短縮
5軸制御を使用することで、工具と加工物の干渉を避けることができることに加え、工具の突き出し長さを短縮することも可能になります。
3軸制御では、深い箇所の加工をしようとすると、加工物と干渉してしまう事があります。また、干渉しないとしても工具長を伸ばして届かせる必要があります。下図左側の通りです。

一方、5軸制御では、傾斜軸や回転軸も備えているため、上図右側のように、3軸制御では届かなかった箇所についても干渉することなくアクセスすることができます。
また、これにより工具長の突き出し長さも短くすることができます。
工具の性能を最大限発揮させることができる
工具は、高速回転させてそれを加工物に当てることで加工していきますが、回転軸となっている工具の先端は、回転スピードがほぼゼロとなっています。
そのため、工具の先端付近は、本来加工する力がほとんどありません。それを加工物に当てることは、工具の消耗スピードを早めることだけでなく、加工精度にも影響してきます。下図左側の通りです。

5軸制御を使用すると、上図右側のように加工物に傾けて当てることができるため、工具の性能を最大限発揮した効率の良い加工が可能になります。
加工精度が向上する
5軸制御マシニングセンタの使用は加工精度の向上にも大きく貢献します。
適切なプログラムを組むことで、工具や加工物を最適な位置や角度に設定することができます。
また、傾斜軸や回転軸の搭載により、取り付け作業の回数を減らすことができるため、手作業によるヒューマンエラーを最小限に抑えることが可能になります。
さらに、上述したように、工具の突き出し長さを短くすることができることも、精度の向上に貢献します。
突き出し長さの長い工具では、工具のブレが生じやすく、加工の精度も落ちてしまう傾向にあります。
一方、5軸制御は工具の突き出し長さを抑えて加工できるため、加工精度が良くなります。
生産性が向上する
5軸制御の使用は、「作業時間の削減」「加工精度の向上」「使用する機械台数の削減」などの要因により、生産性の向上に大きく貢献します。
作業時間の削減による生産性向上
上述したように、複数の面を一回の段取りで加工できるため、段取り作業の時間が削減されます。これにより、機械の稼働時間を最大化し、全体の加工時間が短縮されます。
また、段取り替えが不要となるため、長時間を要する加工でも夜間や休日の連続運転が可能となります。
これにより、作業の削減や稼働時間の増加が実現し、生産性が大幅に向上します。
加工精度の向上による生産性向上
加工精度の向上により、工程中での問題や再加工の必要が減少し、検査や修正作業にかかる時間が削減されます。
これによって、品質管理や手戻り作業が減り、生産ラインがスムーズに進行します。
機械台数の減少による生産性向上
5軸マシニングセンタを導入することで、使用する機械台数を減らすことができるため、設備の管理や定期点検にかかる作業時間も削減されます。
管理や点検にかかっていた時間や労力、人件費などを別の業務に割くことができるため、より効率的なリソース配分が可能となります。
補助金はあくまで「省力化による賃上げ」を目的としているため、生産性向上と人件費改善のストーリーを明確に示すことが重要です。
この記事では、5軸マシニングセンタの導入費用や導入するメリットについて、解説させていただきました。
5軸マシニングセンタの導入は「作業時間の削減」「加工コストの削減」「加工精度の向上」「生産性の向上」など、多くのメリットをもたらします。
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