補助金とは、国や自治体、民間団体から事業者などに支給されるお金です。政策目標をかなえるために、さまざまな補助金が作られました。特に近年は、太陽光関係の補助金が多く見られます。 そこで本記事では、中小企業が利用しやすいおすすめの補助金制度を解説します。各補助金のメリットや利用時の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
太陽光関係の補助金まとめ
COLUMN お役立ちコラム
2023.08.17
その他の補助金
中小企業が利用できる太陽光関係の補助金まとめ
目次
はじめに
中小企業が太陽光関係の補助金を利用するメリット
中小企業が太陽光関係の補助金を利用するメリット
中小企業が太陽光関係の補助金を利用するメリットは、返済不要のお金で太陽光関係の環境整備ができることです。返済不要であれば、事業がうまくいかなかったときのリスクを軽減できます。また、補助金の採択実績があれば、厳しい審査を通った企業であることが保証されるため、会社の価値向上にもつながります。
ここからは、おすすめの補助金制度を6つ紹介します。
おすすめ1:需要家主導による太陽光発電導入促進補助金
おすすめ1:需要家主導による太陽光発電導入促進補助金
「需要家主導による太陽光発電導入促進補助金」の特徴を、以下にまとめました。
需要家主導型太陽光発電導入促進事業
公募内容は下記の通りです。
予算 | 105億円 |
対象事業 | 特定の需要家に電気を供給するために新たに太陽光発電設備を設置・所有する者 |
対象経費 | ・対象事業に関する設計費 ・設備購入費 ・土地造成費 ・工事費 ・接続費 |
補助率 | ・自治体連携型は2/3以内 ・自治体連携型以外は1/2以内 ・蓄電池の設置に関する経費については、1/3 以内 |
政府は「2030年温室効果ガス46%削減(2013年比)」という野心的な目標を掲げており、目標達成につながる取り組みには補助金が支給される可能性があります。 ※注意:本補助金は、8月10日17時をもって令和5年度予算公募申請が締め切られています。
※参考:令和5年度予算「需要家主導太陽光発電導入促進事業費」の公募について
再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業
公募内容は下記の通りです。
予算 | 255 億円 |
対象事業 | 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法に基づくFIP認定を取得するとともに、再エネ設備に蓄電池を併設する者 |
対象経費 | ・対象事業に関する設計費 ・設備購入費 ・土地造成費 ・工事費 |
補助率 | ・1/4以内 ・地域新電力特例に該当する場合は1/3以内 |
補助金は、2023年から蓄電池併設型の蓄電池への補助区分が新設されました。需要家主導型太陽光発電導入促進事業と同様に、対象経費には設計費・設備導入費・土地造成費・工事費が含まれます。
※注意:本補助金は、7月14日17時をもって令和4年度第2次補正予算三次公募申請が締め切られています。
※参考:再生可能エネルギー電源併設型 蓄電池導入支援事業 公募要領 <令和4年度第2次補正予算3次公募>|一般社団法人太陽光発電協会
おすすめ2:民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
おすすめ2:民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
「民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」の特徴を、以下にまとめました。
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
公募内容を以下にまとめました。
予算 | 公募要領に記載なし |
対象事業 | 自家消費型太陽光発電設備を設置する者 |
対象経費 | ・工事費 ・設備費 ・業務費 ・事務費 |
補助率 | ・太陽光発電設備:4万円/kWh(オンサイトPPAモデルまたはリースモデルで業務・産業用の定置用蓄電池をセットで導入する場合は 5 万円/kW、戸建て住宅で蓄電池セット導入の場合は7万円/kW) ・定置用蓄電池(業務・産業用):6.3万円/kWh ・定置用蓄電池(家庭用):5.2万円/kWh ・車載型蓄電池:蓄電容量(kWh) の 1/2 に 4 万円を乗じて得た額 ・充放電設備:1/2 |
補助金事業の対象は、自家消費型太陽光発電設備です。設置する太陽光発電設備・蓄電池によって、補助率は異なります。
※参考:令和 3 年度補正・令和 4 年度 ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金) 公募要領|一般財団法人 環境イノベーション情報機構
建物における太陽光発電の新たな設置手法活用事業
公募内容を以下にまとめました。
予算 | 公募要領に記載なし |
対象事業 | 駐車場を活用した自家消費型の太陽光発電設備(ソーラーカーポート)を設置する者 |
対象経費 | ・工事費 ・設備費 ・業務費 ・事務費 |
補助率 | ・車載型蓄電池:蓄電容量(kWh)÷2×4万円 ・充電設備と充放電設備:1/2 |
補助金事業の目的は、ソーラーカーポートの導入支援です。設置する太陽光発電設備・蓄電池によって補助率は異なります。
地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業(営農型)
公募内容を以下にまとめました。
予算 | 公募要領に記載なし |
対象事業 | 営農地を活用してソーラーシェアリング設備などの導入を実施する者 |
対象経費 | ・工事費 ・設備費 ・業務費 ・事務費 |
補助率 | 1/2 |
補助金事業の目的は、ソーラーシェアリングの導入支援です。営農地を活用している法人企業などが、補助金事業の対象となります。
※参考:二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業 新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業 営農地事業 公募要領|一般社団法人 環境技術普及促進協会
地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業(廃棄物処理場)
公募内容を以下にまとめました。
予算 | 公募要領に記載なし |
対象事業 | FIT・FIPを受けず、廃棄処理施設に太陽光発電や蓄電池を導入する者 |
対象経費 | ・工事費 ・設備費 ・業務費 ・事務費 |
補助率 | 1/2 |
補助金事業の目的は、廃棄物処理施設における太陽光発電の導入支援です。FIT・FIPを受けない法人企業などが、補助金事業の対象となります。
直流による建物間融通モデル創出事業
公募内容を以下にまとめました。
予算 | 公募要領に記載なし |
対象事業 | 太陽光発電によるCO2削減や非常用電源設備の導入を支援する者 |
対象経費 | ・人件費 ・業務費 |
補助率 | ・充放電設備と充電設備:1/2 ・車載型蓄電池:離島以外は蓄電容量(kWh)の1/2×4万円、離島は蓄電容量(kWh)の2/3×4万円 ・充放電設備と充電設備、車載型蓄電池以外:蓄電容量(kWh)の1/2×4万円 |
補助金事業の目的は、太陽光発電によるCO2削減や非常用電源設備の導入を支援することです。また、対象経費は人件費と業務費です。
データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業
公募内容を以下にまとめました。
予算 | 公募要領に記載なし |
対象事業 | データセンターの新設・改修・移設または、コンテナ型データセンターの導入を支援する者 |
対象経費 | ・工事費 ・設備費 ・業務費 ・事務費 |
補助率 | ・データセンターの新設・改修:1/2 ・データセンターの移設:1/3 ・コンテナ型データセンターの導入:1/3 |
対象事業は、データセンターの新設・改修・移設の支援と、コンテナ型データセンターの導入支援に分けられます。データセンターがすでにあるか、新設するかによって補助内容が異なります。
※参考:二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金「データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業」 公募要領|一般社団法人地域循環共生社会連携協会
おすすめ3:工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)
おすすめ3:工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)
SHIFT事業に関する補助金制度の特徴について、以下にまとめました。
CO2削減計画策定支援(SHIFT事業)
公募内容を以下にまとめました。
予算 | 公募要領に記載なし |
対象事業 | 意欲的なCO2削減目標を盛り込んだ計画を策定する者 |
対象経費 | ・業務費 ・一般管理費 |
補助率 | 3/4 |
中小企業者や学校法人、社会福祉法人、医療法人などが補助金事業の対象となります。また、他の補助金制度とは補助対象となる経費が異なるので注意してください。
※参考:令和4年度(第 2 次補正予算)・令和5年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) CO2 削減計画策定支援 公募要領|環境省
省CO2型設備更新支援 C中小企業事業(SHIFT事業)
公募内容を以下にまとめました。
予算 | 公募要領に記載なし |
対象事業 | 省CO2型設備更新を支援する者 |
対象経費 | ・工事費 ・設備費 ・業務費 ・事務費 |
補助率 | 補助額は計算により決定 |
この補助金事業では、補助率が決められていません。下記2つの計算式のいずれか低い方が、補助額となります。
・(年間 CO2 削減量)×(法定耐用年数)×(7,700×1/t-CO2)円
・(補助対象経費)×1/2円
省CO2型設備更新支援 A標準事業、B大規模電化・燃料転換事業(SHIFT事業)
公募内容を以下にまとめました。
予算 | 公募要領に記載なし |
対象事業 | 一定水準以上の CO2 排出量を削減する、既存の設備機器やシステム系統を更新する者 |
対象経費 | ・本工事費 ・付帯工事費 ・機械器具費 ・測量及試験費 ・設備費 |
補助率 | ・A標準事業:1/3以内 ・B大規模電化・燃料転換事業:1/3以内 |
対象事業者によって、補助金の上限や補助対象となる経費が異なります。
おすすめ4:再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業
おすすめ4:再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業
「再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業」の特徴を解説します。
再エネの出力抑制低減に資するオフサイトから運転制御可能な発電側の設備・システム等導入支援事業
この補助金事業の目的は、遠隔地(オフサイト)から太陽光発電を制御するための設備導入を支援することです。出力抑制対象の発電設備の出力は、10kW 以上2,000kW 未満と定められています。また、制御ルールは、「無補償の出力制御に応じる上限が年間30日」という「30日ルール」に従います。
オフサイトから運転制御可能な需要家側の設備・システム等導入支援事業
この補助金事業の目的も、遠隔地(オフサイト)から太陽光発電を制御するための設備導入を支援することです。補助の対象は太陽光発電ではなく、電気を受け取る側の設備・システムです。例えば、充放電設備や充電設備、遠隔制御機器及び通信機等、エネルギーマネジメントシステムなどが補助の対象となります。
補助金に採択されるためには、エネルギーマネジメントにおける制御実績の記録・集計・報告が必要です。
おすすめ5:地域脱炭素移行・再エネ推進交付金【地方公共団体等】
おすすめ5:地域脱炭素移行・再エネ推進交付金【地方公共団体等】
地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の公募内容を以下にまとめました。
予算 | 令和5年度予算は350億円(特定地域脱炭素移行加速化交付金も含む) |
対象事業 | 脱炭素先行地域でCO2排出削減に向けた設備導入事業や効果促進にかかわる者 |
対象経費 | 設備やインフラの整備費 |
交付率 | ・脱炭素先行地域づくり事業:原則2/3 ・重点対策加速化事業:2/3~1/3、定額 |
補助金事業の目的は、脱炭素化に向けて積極的に取り組む地方公共団体等を支援することです。一定以上の再エネ設備の導入が必要で、申請先の都道府県や市などによって要件が異なります。
※参考:地域脱炭素の推進のための交付金|環境省
おすすめ6:地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業
おすすめ6:地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業
地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業の公募内容を以下にまとめました。
予算 | 公募要領に記載なし |
対象事業 | ・地方公共団体 ・民間企業 |
対象経費 | ・業務費 ・事務費 |
補助率 | ・再エネ設備・蓄電池・省CO2設備等を導入する場合:1/3~2/3 ・再生可能エネルギー設備などの導入に関わる調査・計画策定の場合:1/2 |
補助金事業の目的は、公共施設における再生可能エネルギー導入を支援することです。脱炭素化に加え、災害時にエネルギー共有が可能でなければ要件に当てはまりません。
※参考:公募要領 地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業(令和 4 年度補正二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金)|一般財団法人環境イノベーション情報機構
太陽光関係の補助金を利用する際の注意点とは
太陽光関係の補助金を利用する際の注意点とは
補助金の公募内容は複雑です。各補助金の目的や趣旨を理解し、必要書類を準備しましょう。
各補助金の目的や趣旨をきちんと理解する
補助金によって目的や趣旨は異なります。支給条件を満たしていない補助金を申請しても、採択されません。利用したい補助金があれば、公募内容をよく読み込んだ上で申請しましょう。
必要書類をしっかり用意する
補助金によって、申請に必要な書類や提出するタイミングは異なります。書類が足りなければ、補助金が不採択となるリスクが高まります。どのようなタイミングでどの書類が必要になるのか、前もって確認しておきましょう。
まとめ
まとめ
中小企業が申請できる太陽光関係の補助金はさまざまです。各補助金の特徴を把握して、自社に合うものを申請しましょう。補助金を利用する際は、公募要領をよく読み、目的や趣旨を理解した上で必要書類を用意してください。
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この記事の執筆者
村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。
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