事業再構築補助金とは、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために変革を行う中小企業の挑戦を支援する補助金です。制度を利用するにあたり、事業再構築補助金にどんな条件がついているかで迷う企業も多いでしょう。
そこで本記事では、事業再構築補助金の対象となる経費について詳しく解説します。対象外の経費もあるので、この記事でしっかりチェックしましょう。
【2024年】事業再構築補助金の対象経費は
COLUMN お役立ちコラム
2023.05.12
事業再構築補助金
【2024年】事業再構築補助金の対象となる経費は?申請要件や注意点などを詳しく解説
はじめに
事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金とは?
まずは事業再構築補助金の申請類型や補助率、補助上限については下記を参考にしてください。
申請類型 | 補助率 | 補助上限額 |
最低賃金枠 | 中小3/4、中堅2/3 | 500万円、1,000万円、1,500万円 |
回復・再生応援枠 | 中小3/4、中堅2/3 | 500万円、1,000万円、1,500万円 |
通常枠 | 中小2/3、中堅1/3 | 2,000万円、4,000万円、6,000万円、8,000万円 |
大規模賃金引上枠 | 中小2/3、中堅1/3 | 1億円 |
グリーン成長枠 | 中小1/2、中堅1/3 | 中小1億円、中堅1.5億円 |
事業再構築補助金の目的
事業再構築補助金の目的は、中小企業などにおける事業の再構築を支援することです。再構築とは、業態や業種の変更、新市場への進出、事業再編などの大規模な転換を指しています。
そもそも事業再構築補助金制度は、2021年、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するために整備されました。新型コロナウイルスの蔓延を切っ掛けに大きく変化した世のなかで、業態を変更しつつ生き残ろうとする企業の心強い味方となる補助金です。
事業再構築補助金の予算
令和2年度(2020年度)第3次補正予算の総額19兆1,761億円のうち、事業再構築補助金の予算は1兆1485億円です。新型コロナウイルス感染対策、経済対策として確保された補正予算において、全体の約6%が事業再構築補助金として確保されており、注目度の高い施策であることがわかります。
実際、コロナ禍ではこれまでの生活様式が通用しない事態に直面し、経済活動も大きく制限されました。多くの予算が割かれていることは、企業の維持にはそれだけ大規模な事業転換が必要とされているということでもあるでしょう。
主な申請要件は?
主な申請要件は?
事業再構築補助金には、いくつかの申請要件があります。規定の申請要件のうち、代表的なものを解説します。
売上が減っていること
事業再構築補助金の、「最低賃金枠」及び「物価高騰対策・回復再生応援枠 」では、事業の売上が減っていることを必須条件とされています。
具体的には、2020年10月以降の連続する6か月間で、任意の3か月の合計売上高をコロナ以前の同3か月と比較したとき、10%以上減少している必要があります。
(コロナ以前とは、具体的には2019年1月~2021年12月までの間のことです。)
10%以上の売上減少ではなく、15%以上の合計付加価値額の減少でも要件を満たしていると見なされます。
売上高等減少要件については、次の記事で詳しく解説しています。
▼2024年(令和6年)の事業再構築補助金の最新情報まとめ
https://planbase.co.jp/column/263/
事業の再構築に取り組んでいること
事業再構築補助金は、事業の再構築に取り組む企業を対象とした補助金です。事業再構築とは具体的に、新分野展開、業種転換、事業転換、業態転換、事業再編のことを指しています。例えば、事業転換は「業種を変えずに主軸となる商品やサービスを変えること」を指し、業態変換は「商品やサービスを変えずに顧客への提供方法を変更すること」を指しています。
上記のいずれかに該当すれば要件を満たせますが、それぞれにおいて内容が細かく定められているため、自社で行う予定の取り組みが事業再構築に該当するかどうかは事前に確認が必要です。
認定経営革新等支援機関と事業計画を策定していること
事業再構築補助金の採択を得るためには、定められた認定経営革新等支援機関を利用して事業計画を策定する必要があります。認定経営革新等支援機関とは、中小企業診断士、税理士などです。
また、補助額が3,000万円を超える場合は、金融機関も参加する必要があります。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねている場合は、金融機関のみの利用で問題はありません。
事業再構築補助金の確認書については、次の記事で詳しく解説しています。
▼事業再構築補助金の確認書とは?
https://planbase.co.jp/column/187/
対象となる費用・経費は?
対象となる費用・経費は?
事業再構築補助金の対象となる費用・経費と、そうでない費用・経費は、細かく分類されています。どのようなものが事業再構築補助金の対象になるかを解説します。
建物にかかる費用
補助金を受け取る当該事業の運営に必要な事務所や生産施設など、事業とは関係のない単なる建物の購入や、賃貸は対象外となります。またあくまでも、補助金申請が通った後の建物購入等のみが対象であり、申請が通る前に契約した建物購入等は対象外です。
システム構築や機械装置にかかる費用
補助金を受け取る当該事業で使用する機械装置、工具や器具の購入・借用・製作、システムの構築、構築したシステムの購入・借用などにかかる経費が該当します。 原則として、システムや機械装置は新品が対象です。新規の装置やシステム導入に伴い従来のシステム・機械・器具の改良が必要な場合、据え付けや運搬業務が必要な場合も経費となります。
技術導入にかかる費用
技術導入費とは、ライセンス契約など、本事業で必要になる知的財産権などの導入にかかる経費を指しています。知的財産権・実施権を他者から取得する場合、取得の旨を書面で締結しなければなりません。技術導入費の支払先には、同時に外注費、専門家経費を支払うことはできないため注意しましょう。
専門家にかかる費用
専門家にかかる費用は、本事業を遂行するために専門家にコンサルティング・技術指導や助言などを依頼した場合の経費が対象です。
経費として認められる上限の金額は1日5万円です。専門家の肩書きによって4万円以下、2万円以下に抑えなければならないこともあります。価格の妥当性を証明するため複数の見積書が必要です。
運搬にかかる費用
事業再構築に関わる運搬料、郵送料などの経費が該当します。 ただし、新規事業の開始に伴って導入する機械装置の運搬料は、機械装置・システム費の対象となるので注意してください。
外注にかかる費用
本事業のために社外へ加工や設計・デザインなどを外注する際の経費が該当します。
外注のなかでも、機械装置などの製作に関わる費用は機械装置・システム費として計上されるので注意が必要です。また、外注先が加工や設計のために機械装置やシステムを購入する場合の費用は、事業再構築補助金の対象外です。さらに量産品を加工する際の外注費用などは対象外となります。
クラウドサービスの利用にかかる費用
補助事業のために専用で使用するクラウドサービス・Webプラットフォームなどの利用料が対象です。利用料そのものだけではなく、サービス利用に付帯するルーター・プロバイダーなどの利用料、通信料なども対象となります。
自社の他事業でもサービスを使用する場合は補助金の対象外です。またシステムを利用するためのパソコンなど端末本体の費用も対象外となっています。
広告宣伝や販売促進にかかる費用
広告宣伝や販売促進の費用には、広告の掲載料、マーケティングツールの活用費用などが該当します。パンフレットや動画、写真などの作成費用、セミナー開催費用だけでなく、市場調査や営業代行の費用も含まれるのが特徴です。
ただし、補助事業実施期間内の広告・販売促進が条件です。また、補助事業以外に関わる販売促進、会社全体のPRは対象外のため、注意しましょう。
知的財産権などに関連する費用
補助金対象事業に関わる特許権、知的財産権の取得にかかる弁護士の手続き費用などが対象です。外国特許になる場合は、出願に要する翻訳料などの経費が含まれます。
当該事業以外での発明などは対象ではありません。加えて、日本の特許庁に納付する出願料など手数料類、拒絶査定があった場合の審判請求や訴訟にかかる費用も対象外です。
研修にかかる費用
研修にかかる費用には、本事業を遂行するために必要な講座受講、教育訓練などにかかる経費が該当します。
補助金対象となる事業に関連しない研修費は対象外です。また教育訓練を兼ねた日常業務であるOJTも対象外となります。
海外関係の費用
海外関係の費用は、海外事業の拡大・強化に必要な海外渡航費、宿泊費などが対象です。ただしこれらの費用が経費として認められるのは、卒業枠、グローバルV字回復枠のみとなるので、注意が必要です。また1回の渡航に随行できるのは、専門家を含めて2名までと決められています。
補償対象外の費用・経費
補償対象外の費用・経費
対象となる企業の従業員にかかる人件費や、従業員の旅費、フランチャイズ加盟料、商品の原材料費、通信費、消耗品費、また不動産や株式などの購入費は、対象外です。
その他、対象外となる経費の項目は多岐にわたります。とりわけ汎用性があり、当該事業以外にも幅広く利用できるものは、対象外になりうるでしょう。申請のうち、対象外の費用が多ければ申請取り消しとなることもあります。
事業再構築補助金における経費申請の注意点は?
事業再構築補助金における経費申請の注意点は?
事業再構築補助金では、経費や補助金の支払いに関して以下のような注意点があります。
「新たに取り組む事業」が対象となる
先述したように、事業再構築補助金の対象となるためには、申請する事業が「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」「事業再編」のいずれかに該当する必要があります。
どの事業についても該当するための要件が細かく決められています。募集要項をよく確認し、要件に該当することを確認してください。
事業完了後に補助金が支払われる
事業再構築補助金の支払いは、申請した事業が完了した後に行われます。まずは事業者が補助事業に関する経費をすべて支払った後、補助事業実績報告書を提出しなければなりません。その後、検査と補助金の請求手続きが行われ、問題がなければ精算となります。
補助金の精算は、採択から12~14か月後になるとイメージしておくと良いでしょう。
補助対象となるのは交付が決定した以降の経費
事業再構築補助金の対象となるのは、原則、交付決定後に支出された経費に限られます。確定前に関連事業を開始しないよう注意が必要です。ただし事務局から事前着手の承認を受けた場合はこの限りではありません。
事前着手申請制度については、次の記事で詳しく解説しています。
▼2024年(令和6年)の事業再構築補助金の最新情報まとめ
https://planbase.co.jp/column/263/
事業再構築補助金の申請方法は?
事業再構築補助金の申請方法は?
事業再構築補助金の申請方法は、電子申請のみに限られます。
電子申請には、原則、GビズIDプライムアカウントが必要です。このアカウントは発効までに1カ月ほどかかることもあるため、早めの着手をおすすめします。また事業再構築補助金は事業計画などを作成したうえで申請しましょう。
まとめ
まとめ
本記事では、事業再構築補助金の対象経費について解説しました。全てが経費対象になるわけではないことに注意しましょう。また、「これは経費として申請して大丈夫か」「どのように経費申請すれば良いのか」等、少しでも分からないことがあれば株式会社プランベースにご相談ください。
株式会社プランベースは、中小企業の補助金申請や制度活用支援を専門的に行っている、経済産業省認定支援機関です。的確なコンサルティングで事業計画を策定し、補助金の獲得を実現しており、採択件数は全国トップクラスを誇ります。
事業再構築補助金は要件が細かく定められており、コロナ禍でも成長の見通しが立つ事業計画の策定が不可欠です。事業再構築補助金の取得をお考えの場合、まずは下記よりお気軽にご相談ください。
▼事業再構築補助金の無料相談はこちら
https://planbase.co.jp/lp/saikouchiku/
この記事の執筆者
村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。
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