建設業が利用できる補助金は、種類が豊富です。中小の建設業経営者のなかには、どれを選べば良いか悩む人も多いのではないでしょうか。本記事は、建設業が利用できる補助金を分野別に紹介します。厳しい市場環境を乗り切り、経営を改善する一助としてご活用ください。
建設業向けの補助金と助成金
補助金を申請する前に知っておきたい基礎知識として、助成金との違いや注意点を解説します。
補助金と助成金は何が違うのか
補助金と助成金は、管轄と財源、目的が異なります。
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補助金 |
助成金 |
| おもな管轄 |
経済産業省 地方自治体 |
厚生労働省 |
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財源
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税金
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雇用保険料
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目的
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事業拡大、設備投資など
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雇用促進、労働環境の改善など
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補助金の多くは、採択件数や金額が決まっています。受給できるのは、審査に通過した事業者のみです。
一方、助成金は、要件を満たせばほぼ確実に受給できます。
補助金は同時に複数を利用できるのか
補助金の併用は、以下が基本ルールです。
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・同一事業者の補助金併用は可能 ・同一事業での補助金併用は非推奨
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同じ事業での併用は不可とする補助金もあります。併用できたとしても、採択されなかった場合に、申請にかかった労力が無駄になってしまいます。
補助金と助成金を利用する前の注意点
補助金や助成金は、スケジュールに沿った申請が必要です。支払いは指定された期間に行った事業が完了した後になるため、実際の支出に充当する資金は別途準備しなければなりません。
事後処理も重要です。規定通りの書類提出がなければ、補助金を受け取れない場合があります。
建設業が補助金を活用するメリット
建設業にとって、補助金はどのようなメリットをもたらすのでしょうか。3つの観点から解説します。
資金繰りの心配をせずに事業に取り組める
建設業の取引金額は高額です。また、工事費用の回収に時間がかかるという特徴もあります。
前受金が入る場合もありますが、資金繰りが苦しい事業者も少なくないでしょう。
建設業向けの補助金には数百万円~億単位のものもあります。自社の事業展開に合わせて活用すると、キャッシュが不足する懸念を減らせ、事業に専念できるようになります。
市場環境の変動に対応しやすくなる
補助金の種類は多く、総数は1万種を超えるといわれています。支給対象となる範囲も幅広く、設備投資から人材育成まで、多くの事業領域で活用できます。
変化が激しい市場環境に、対応を余儀なくされる建設業も多く見られます。経営計画の急な変更局面でも、補助金は資金面から事業者を支えてくれます。
経営課題や問題点を発見しやすくなる
補助金の申請時には、事業計画の提出が求められます。事業計画書を作成する過程で、自社の経営課題や問題点が明らかになるケースが多々あります。
採択されるために作成した事業計画が、日頃気づかない観点から事業を見直す機会になり、経営改善に役立ちます。
補助金に見る建設業の課題
建設業向けの補助金は、建設業が抱える課題を支援するために存在します。建設業特有の課題を、3つ解説します。
建設業就業者の減少と高齢化
建設業就業者は年々減少しています。2022年の建設業就業者は、ピーク時(1997年)と比べて30%の減少率です。

作業員の高齢化も深刻で、全体の4分の1が60歳以上です。
※出典:建設業を巡る現状と課題|国土交通省
国はさまざまな補助金を用意し、建設業の人的課題の解決を目指しています。
資材価格の高騰
建設に必要な資材の調達価格も、上昇を続けています。とりわけセメントや生コンクリートの価格高騰が続いており、建設業の経営を圧迫しています。
※出典:最新の建設業を巡る状況について【報告】|国土交通省
国は資材価格の転嫁をしやすくする環境を整えるとともに、補助金でも問題解決を図っています。
賃金引上げと働き方改革
建設業の人手不足は、賃金や労働環境にも起因します。建設業の就業時間の長さと休日の少なさは、他業種より顕著です。
国も建設業の賃金引上げと働き方改革を喫緊の課題として捉え、補助金を含む多方面的な解決を目指しています。
建設業の設備投資を支援する補助金
建設業に欠かせない設備投資を支援する補助金を、2つ紹介します。
1. ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

ものづくり補助金は中小企業や小規模事業者の生産性向上を支援します。相次ぐ制度変更への対応や、革新的サービスの開発、業務改善などが対象です。 補助額は申請の枠によって異なり、750万円から最大4,000万円です。
要件には給与支給総額の上昇や最低賃金水準の設定、付加価値額の増加率などが指定されます。
※参考:ものづくり補助金公式ホームページ
2. 業務改善助成金
業務改善助成金は、事業場内の最低賃金引上げを支援します。一定額以上の最低賃金引上げを達成した場合、生産性向上のために必要だった設備投資費用などの助成が受けられます。
引き上げた賃金額により助成額が異なり、最大は600万円です。また助成率は、賃金引上げ前の事業場最低賃金に応じて変わります。
※参考:【雇用・労働】業務改善助成金
建設業の人材雇用と育成を支援する補助金
人材確保、あるいは人材の教育・研修に尽力した事業主を対象にした助成金もあります。3つの制度を紹介します。
3. トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者 トライアルコース)
トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者 トライアルコース)は、若者や女性の建設業就業を促進します。
建設業の人手不足や高齢化問題の解消が目的です。トライアル雇用助成金は、35歳未満の若年者や女性を試行雇用した事業者に対して、支給されます。助成額は労働者1人当たり・1か月4万円で、最大3か月まで対象です。
※参考:トライアル雇用助成金
4. 人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金は、人材の確保と離職率低下、職場定着を支援します。目的に適合した労働環境の改善や整備などを行った事業者が、支給対象です。
助成額は3つあるコースにより異なり、最大で3,000万円です。労働環境の向上にかかった費用の一部が助成されます。
※参考:人材確保等支援助成金
5. 人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、人材のキャリアアップや職業訓練を支援します。技能実習や訓練を実施した事業者が支給対象で、かかった費用の一部を助成します。
現在、コースは全部で7つあり、助成額はコースごとに異なります。たとえば建設業向けの建設労働者認定訓練コースは、人材1人あたり1日3,800円の賃金(対象経費の6分の1まで)を支給します。
※参考:人材開発支援助成金
建設業の販路開拓を支援する補助金
取引先や販売手法の革新を目指す建設業者には、小規模事業者持続化補助金がおすすめです。詳しく解説します。
6. 小規模事業者持続化補助金(一般型)

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や業務の効率化、事業モデルの刷新などを支援します。
対象は常時使用する従業員数が20人以下の、小規模事業者です。
補助額は通常枠が50万円、上限は最大200万円(いずれも補助率3分の2)となっています。
建設業のIT化推進を支援する補助金
ITツールを導入し、生産性を向上させたい建設業におすすめのIT導入補助金を解説します。
7. IT導入補助金

IT導入補助金は、事業のデジタル化を支援します。パソコンやタブレットをはじめ、さまざまな業務ソフトの購入、クラウドサービスの利用を始めた事業者などが対象です。
補助額は最大450万円で、補助率は最大4分の3です。
従業員の勤怠管理や、社内コミュニケーションを目的としたグループウエアの導入でも、申請できます。
建設業の事業継承を支援する補助金
後継者不足に悩む建設業者が利用したい、事業継承を支援する補助金を2つ解説します。
8. 事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、経営者交代による経営革新を支援します。円滑な事業継承と後継者問題の解決が目的です。
補助額は経営者交代型が最大250万円、M&A型は最大500万円で、補助率はいずれも補助対象経費の2分の1までです。
事業継承に関する専門家の活用にも利用できる補助金です。
9. 事業再構築補助金
事業再構築補助金は、中小企業のイノベーションを支援します。新分野への進出や業態転換、事業再編などが対象です。

全部で8つの申請枠があり、それぞれ補助額が異なります。補助額の最大は「グリーン成長枠(スタンダード)中堅企業等」の1億5,000万円です。事業再編により継承問題を解決したい建設業者におすすめです。
建設業の補助金活用事例
建設業における補助金・助成金の活用事例を、表にまとめました。
建設業が利用できる補助金・助成金は、記事で紹介したもの以外もあります。補助金活用の参考に、ご活用ください。
| 事業内容 |
利用制度 |
目的 |
結果 |
| とび土木業 |
建設労働者確保育成助成金(技能実習コース) |
小型移動式クレーン、足場組立作業 主任者などの技能講習 |
業務効率と従業員の意欲が向上 |
| 総合建設業 |
人材開発支援助成金 (一般訓練コース/特定訓練コース・若年人材育成訓練) |
現場の管理技術者育成 |
資格取得に必要な費用の補助が、経営面の負担を軽減 従業員の意欲向上 |
| 管工事業 |
キャリアアップ助成金(人材育成コース・有期実習型訓練) |
若年従業員の雇用と定着 |
採用後の社内教育環境が向上 正社員の採用手段の拡大 |
| 型枠工事業 |
トライアル雇用助成金 建設労働者確保育成助成金(若年・女性労働者向けトライアル雇用助成コース) |
未経験者からの正社員雇用 |
試行雇用期間中の費用補助が、経営面の負担を軽減 正社員採用を実現 |
※ 利用時は旧名称(現在は新名称)になっている補助金・助成金もあります。
まとめ
建設業が直面する課題は多く、自社の資源だけで対処が難しい場合もあるでしょう。
本記事で紹介したような国や地方自治体が用意する補助金・助成金を積極的に活用し、課題の解決を目指しませんか。
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この記事の執筆者

村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。