【2026年3月改定】中小企業省力化投資補助金〈カタログ注文型〉とは?制度の基本と変更点を徹底解説

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2026.02.27

省力化投資補助金

【2026年3月改定】中小企業省力化投資補助金〈カタログ注文型〉とは?制度の基本と変更点を徹底解説

2026年3月19日から、中小企業省力化投資補助金〈カタログ注文型〉の制度内容が大きく改定されます(2026年2月19日公表)。 人手不足や最低賃金の上昇が続くなか、省力化投資は中小企業にとって避けて通れない経営課題です。今回の改定では、公募期間の延長、補助上限額の引き上げ、収益納付の撤廃、2回目以降の申請ルール整理など、より使いやすく、継続的に活用しやすい制度へと見直しが行われました。 本記事では、制度の基本概要を押さえたうえで、2026年改定のポイントと実務への影響を分かりやすく解説します。

中小企業省力化投資補助金〈カタログ注文型〉とは

中小企業省力化投資補助金〈カタログ注文型〉とは、人手不足に悩む中小企業が、あらかじめ国に登録されたIoT・ロボット等の汎用製品を導入する際、その費用の一部について補助を受けられる制度です。

補助対象製品は「カタログ」として事前に公開されており、企業はその中から自社に適した製品を選択して申請します。簡易・迅速な導入を前提とした仕組みで、現場の省力化と生産性向上、さらには賃上げにつなげることを目的としています。

制度の仕組みと特徴

本制度は、製品カテゴリの登録、製品・製造事業者の登録、販売事業者の登録を経て、中小企業と販売事業者が共同で申請する仕組みです。

登録済み製品のみが補助対象となるため、審査の簡素化とスピード感のある投資実行が可能となっています。一方で、補助事業者等は補助事業終了後には効果報告義務が課されるなど、実効性も重視されています。

カタログ注文型の基本的な仕組み・補助金額

カタログ注文型は、事前に登録された省力化製品を導入する中小企業が、販売事業者と共同で申請する制度です。
補助対象は「製品本体価格」と「導入経費(上限あり)」で、一定の生産性向上・賃上げ目標を満たす事業計画が必要です。

補助率・補助額

従業員数 補助率 補助上限額 大幅賃上げ実施時
5人以下 1/2 200万円 300万円
6~20人 1/2 500万円 750万円
21人以上 1/2 1,000万円 1,500万円

補助額が25万円未満となる申請は不可(借用を除く)

補助対象経費

製品本体価格(単価50万円以上/製品ごとに補助上限設定あり)

導入経費(設置・運搬・初期設定費など)
→ 製品本体補助額の2割が上限

中古品、交付決定前購入分、消費税等は対象外

基本要件(概要)

① 事業内容に関する要件

  • 導入製品の登録業種と自社の事業業種が一致していること
  • 労働生産性向上目標(年平均3%以上等)を設定し、合理的な事業計画で実行すること
  • 上限引上げを受ける場合は賃上げ目標を設定し、従業員へ表明すること
  • 登録された用途以外で使用しないこと
  • 効果報告期間中、解雇による生産性向上を行わないこと
  • 補助額500万円以上の場合は所定の保険加入
  • 2回目以降の申請では賃上げへの取組宣誓が必要

② 補助対象者等の要件

  • 人手不足の状態であること
  • 全従業員の賃金が最低賃金を上回っていること
  • GビズIDプライムを取得していること
  • ほかの補助金で同じ目的・同じ設備に対して国費を二重に受けることは不可
  • 販売事業者が適切に登録され、納入・サポート責任を負うこと

なお、資産運用目的の事業、1次産業、既存設備の単純更新、日本国外事業、公序良俗違反事業などは対象外となります。

▼制度についてより詳しい解説記事はこちら

2026年3月改定の概要

2026年2月19日、中小企業省力化投資補助金〈カタログ注文型〉の制度変更内容が公表されました。

今回の見直しでは、公募期間の延長や補助上限額の引き上げ、収益納付の撤廃など、事業者にとって活用しやすくなる改正が複数盛り込まれています。

ここでは、実務への影響が大きい5つの変更点を整理します。

変更点① 公募可能期間の延長

カタログ注文型の公募可能期間が2026年9月末頃までから2027年3月末頃まで延長されました。

2026年3月16日までの交付申請:改定前の要件が適用
2026年3月19日からの交付申請:改定後の要件が適用

2026年3月16日17時~2026年3月19日の期間はシステムメンテナンスのため「申請」「再申請」「差し戻し」が不可です。

変更点② 賃上げ特例の最低賃金要件の見直し

補助上限額を引き上げる「大幅賃上げ特例」に関して、最低賃金要件の考え方が見直されました。

改定前:事業場内最低賃金を45円以上増加
改定後:事業場内最低賃金を3.0%以上増加

事業場内最低賃金を申請時と補助事業実施期間終了時点で比較します。

変更点③ 補助上限額の引き上げ(従業員20人以下)

補助上限額の見直しにより、従業員20人以下の事業者に対する補助上限額が引き上げられ、これまでより大きな投資を補助金で後押しできるようになりました。

改定前

従業員数 補助率 補助上限額 大幅賃上げ実施時
5人以下 1/2 200万円 300万円
6~20人 1/2 500万円 750万円
21人以上 1/2 1,000万円 1,500万円

改定後

従業員数 補助率 補助上限額 大幅賃上げ実施時
5人以下 1/2 500万円 750万円
6~20人 1/2 750万円 1,000万円
21人以上 1/2 1,000万円 1,500万円

変更点④ 収益納付の撤廃

従来、補助金受領後に事業成果として得られた収益について、自己負担額を超える利益が生じた場合は収益納付制度がありましたが、今回の改定でこの要件が撤廃されました。
これにより、補助事業の効果として収益が生じても、原則として補助金額の返還義務が発生しなくなっています。

変更点⑤ 2回目以降の申請の累計補助上限額の引き上げと要件追加

2回目以降の交付申請について、新たな要件が設定されるとともに、累計の補助上限額の考え方が明確化・引き上げられました。

2回目以降の交付申請では、各申請時に定まる補助上限額を2倍にした額を1事業者あたりの累計補助上限額とし、前回までの累計交付額を差し引いた額を上限に申請ができます。

各申請において、補助上限額を超える金額の申請は不可

1事業者あたりの累計申請補助上限額

従業員数 補助上限額(大幅賃上げ実施時)
累計申請補助上限額
5人以下 500万円(750万円) 1,000万円(1,500万円)
6~20人 750万円(1,000万円 1,500万円(2,000万円)
21人以上 1,000万円(2,000万円 2,000万円(3,000万円)

2回目以降の申請の追加要件

  • 前回の補助事業によって省力化効果が得られていること。
  • 前回の交付申請時と比較して、事業場内最低賃金を3.5%以上上昇させていること。

前回の交付申請時から2年以上経過している場合は7.0%以上、3年以上経過している場合は10.5%以上上昇させていること。

まとめ|使いやすさ向上で「攻めの化投資」を後押しする改定

2026年2月19日に公表された今回の見直しは、単なる運用調整ではなく、企業が「より使いやすく、より実効性を高める」方向への制度強化といえます。

主なポイントを整理すると、

  • 公募期間の延長により、申請機会が拡大
  • 賃上げ特例の最低賃金要件見直しにより、基準の明確化と実務負担の整理
  • 従業員20人以下の補助上限引上げで小規模事業者への支援強化
  • 収益納付の撤廃で将来収益に対する不安を解消
  • 2回目以降の申請要件追加と累計上限引上げで段階的投資を後押し

という内容になります。

全体として、

  • 小規模事業者の活用ハードルを下げる
  • 継続的な賃上げを制度的に促す
  • 省力化投資を「単発」ではなく「段階的・継続的」に進められる設計にする

という政策意図がより明確になった改定です。

人手不足が慢性化する中で、省力化投資は「余裕があれば行うもの」ではなく、「持続的な経営の前提条件」になりつつあります。
今回の改定は、そうした現状を踏まえ、制度をより現場で活用しやすい内容へと見直したものといえます。
今後は、自社の人員構成や賃金水準、投資計画を踏まえたうえで、より戦略的に本制度を活用していく視点が一層重要になります。

 

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この記事の執筆者

村上 貴弘

村上 貴弘

東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。