IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者のITツール導入を支援する制度です。
中小企業や小規模事業者の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX化を実現するためのITツール(ソフトウェア、サービス)の導入費用を一部補助します。
2023.12.26
その他の補助金
ホームページは企業の顔であり、認知度アップや販路拡大につながる大切なものです。しかし、ホームページ制作には専門知識が必要なうえ、外注すると多くのコストがかかってしまいます。そこで、注目されている制度が「IT導入補助金」です。 本記事では、ホームページ制作にIT導入補助金を利用できるのか、利用する場合はどのような要件を満たせばよいのかについて解説します。
目次
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者のITツール導入を支援する制度です。
中小企業や小規模事業者の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX化を実現するためのITツール(ソフトウェア、サービス)の導入費用を一部補助します。
IT導入補助金の対象事業者は、中小企業や小規模事業者などに限られます。
例えば、次の3つの業種において、対象となる中小企業等の定義は以下のとおりです。
<中小企業等の定義>
製造業・建設業・運輸業 |
資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主 |
卸売業 |
資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
サービス業 |
資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
また、対象となる小規模事業の定義は以下のとおりです。
<小規模事業者の定義>
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) |
常時使用する従業員の数が5人以下の会社及び個人事業主 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 |
常時使用する従業員の数が20人以下の会社及び個人事業主 |
製造業その他 |
常時使用する従業員の数が20人以下の会社及び個人事業主 |
※引用:IT導入補助金2023 公募要領 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)|サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局
IT導入補助金には、3つの申請枠が設けられています。
通常枠は、それぞれの課題やニーズに合わせたITツールの導入を支援し、業務効率化や売上アップをサポートします。ITツールの要件によって、A類型またはB類型に分かれます。
※参照:通常枠(A・B類型)|IT導入補助金2023後期事務局
デジタル化基盤導入枠には以下の3つの類型が設けられており、それぞれ補助対象が異なります。
デジタル化基盤導入類型 |
会計・受発注・決済・ECの機能を有するソフトウェアやハードウェアの導入を支援する |
商流一括インボイス対応類型 |
インボイス制度に対応するITツール(受発注ソフト)の導入を支援する |
複数社連携IT導入類型 |
ITツール導入による中小企業・小規模事業者の連携を支援する |
外部からのサイバー攻撃に備え、サイバーインシデントのリスク低減につながる取り組みを支援します。以下の要件を満たすサービスの導入費用や利用料を、最大で2年分申請できます。
・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されている
・IT導入支援事業者が提供し、事務局に事前登録されている
結論としては、ホームページはIT導入補助金の対象になります。
IT導入補助金は、一定の機能を有するITツールを対象とした制度です。そのため、ホームページ制作にIT導入補助金を利用するためには、そのホームページが「会計」「受発注」「決済」「EC」といった機能を有している必要があります。
また、適切な申請枠を選ぶことも大切です。ホームページ制作費を申請する場合は、「デジタル化基盤導入枠」が適しています。
※2024年度からデジタル化基盤導入類型が撤廃され、ECサイト制作がIT導入補助金の対象外となることが予想されます。したがって、ECサイト制作を考えている事業者は、2023年度最終締め切り(1/29(月)17:00〆)までに申請しましょう。
ここからは、IT導入補助金の申請から交付までの流れを解説します。IT導入補助金を利用するためには、以下の7つのステップが必要です。
まずは、IT導入補助金事務局のサイトや公募要項などをチェックし、自社や申請する事業が補助対象であることを確認しましょう。
IT導入補助金の申請は、すべてオンラインで行います。オンライン申請には、さまざまな電子申請サービスに利用できる「gBizIDプライム」のアカウントが必要です。 アカウントの発行には時間がかかるため、早めに準備を進めておきましょう。
「SECURITY ACTION」とは、中小企業や小規模事業者が、自主的な情報セキュリティ対策への取り組みを宣言することです。 外部サイトからアカウントを登録し、手続きを完了させます。
「みらデジ経営チェック」とは、中小企業庁が実施する、中小企業や小規模事業者の経営課題解決をサポートする制度です。「みらデジ」ポータルサイト内でgBizIDで登録し、経営課題やデジタル化の取り組み状況をチェックします。
手順を誤ると不採択になってしまうので注意しましょう。
IT導入補助金に申請するためには、IT導入支援事業者のサポートが必要です。依頼する事業者を選定し、サポートを受けながら申請手続きを進めます。
補助金の交付が決定したら、ITツールを導入する準備を進めましょう。交付前に発注や契約を進めてしまうと、補助金を受け取れなくなってしまうため注意が必要です。
補助金額が確定し、補助金が交付されます。補助金を受け取ったあとは、「事業実施効果報告」の提出が必要です。
ホームページ制作にIT導入補助金を活用する場合は、以下のポイントに注意しましょう。
会社概要や事業内容などが記載された一般的なコーポレートサイトは、IT導入補助金の対象にはなりません。IT補助金の対象となるには、前述の「会計」や「EC」といった機能が必要です。
例えば、コーポレートサイトをリニューアルしてEC機能をプラスし、自社の製品を販売できるようにする場合は補助対象となります。
ホームページをリニューアルする場合は、機能を追加した部分だけが補助対象です。
例えば、コーポレートサイトのデザインを一新しても、デザイナーへの外注費などは対象にならないため注意しましょう。
IT導入補助金に採択されるためには、以下のポイントを押さえることが大切です。
IT導入補助金はオンライン申請で、回答が選択式の部分もあります。記述式と比べて労力はかかりませんが、全体を通してみたときに、回答に一貫性がなくなってしまう場合もあるでしょう。
例えば、「経営状況についての入力」にはいくつかの選択肢が用意されています。自社にどのような課題があり、なぜ今回のツールの導入が必要なのか、一貫性を意識して回答することが大切です。
IT導入補助金には、必須の申請要件とは別に、加点項目が用意されています。審査で有利に働くので、加点項目は積極的に満たしましょう。
例えば、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)には以下のような加点項目があります。
・地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画(IT導入補助金の申請受付開始日が当該計画の実施 |
※引用:IT導入補助金2023 公募要領 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)|サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局
IT導入補助金の採択率は、全体でおよそ70%程度といわれています。
ただし、採択率は実施年度や実施回によっても異なるため、一概にはいい切れません。いずれにせよ、採択の可能性を高める工夫は必要です。
IT導入補助金の採択率については、次の記事で詳しく解説しています。
▼IT導入補助金の採択率について
https://planbase.co.jp/column/272/
ホームページ制作に活用できる補助金としては、以下のようなものもあります。
中小企業がポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための、事業再構築を支援する制度です。新規事業に伴う、宣伝用ホームページの制作に活用できます。
働き方改革や被雇用者保険の適用拡大などに対応するため、中小企業・小規模事業者が取り組む革新的サービスの開発・試作品開発・生産プロセスの改善などを支援する制度です。革新的な要素を持ち、生産性や利益の向上につながるホームページの制作に活用できます。
働き方改革やインボイス制度といった相次ぐ制度変更に対応するため、小規模事業者が取り組む販路開拓などを支援する制度です。販路開拓や生産性向上に向けた取り組みの一環として、ホームページ制作費が補助されます。
自治体によっては、独自の補助金制度を設けている場合もあります。国の制度とあわせて、自社の所在地の自治体の制度もチェックしてみましょう。
IT導入補助金に採択される可能性を高めるなら、補助金申請サポートの専門会社に相談しましょう。
とくに、IT導入補助金の場合、申請手続きは「IT導入支援事業者」と共同で進めていく必要があるため、信頼できる支援事業者を選ぶことが大切です。
IT導入支援事業者を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう。
IT導入補助金の対象となるのは、IT導入支援事業者が取り扱っているツールのみです。そのため、大前提として、自社が希望するITツールを取り扱っている支援事業者を選ぶことが重要となります。
導入したいツールが決まっていない場合は、さまざまなツールを取り扱っている支援事業者を選ぶとよいでしょう。
採択実績が多い支援事業者は、採択されるためのノウハウを蓄積している可能性が高いと考えられます。自社のニーズや課題に合わせて、的確なサポートを期待できるでしょう。
IT導入補助金にホームページ制作費用を申請する場合は、「デジタル化基盤導入枠」が適しています。ただし、一般的なコーポレートサイト補助対象とならず、「会計」「受発注」「決済」「EC」の機能を有する必要があります。ホームページ制作には、ほかにもさまざまな補助金制度が利用できるため、対象となる制度を漏れなくチェックしましょう。
ただし、補助金は申請すれば必ず受け取れるわけではなく、採択されない場合もあります。採択の可能性を高めたい場合は、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。
「株式会社プランベース」は、経済産業省認定の認定経営革新等支援機関です。豊富な実績とノウハウを活かし、包括的かつ体系的に補助金申請をサポートします。
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▼IT導入補助金の無料相談はこちらから
https://planbase.co.jp/contact/
村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。
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