装備品安定製造等確保計画

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2023.12.04

中小企業向け施策支援

【解説】装備品安定製造等確保計画とは?最新情報、ポイントを解説

製造業を営む方や、工作機械の販売をされる方の中には「防衛生産基盤強化法」や「装備品安定製造等確保計画」について聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。 本記事では装備品安定製造等確保計画とは、装備品安定製造確保計画のメリットや認定の申請方法について解説します。

装備品安定製造等確保計画とは?

装備品安定製造等確保計画とは?

装備品安定製造等確保計画とは、指定装備品等の製造を行う事業者が、防衛生産基盤強化法に基づき行う、指定装備品等の安定的な製造等を確保するための取組(「特定取組」と言います)についての計画です。

防衛大臣の認定を受けた事業者に対して、防衛装備庁は特定取組に関する契約を締結し、特定取組に必要な費用について財政上の措置を行います。

指定装備品とは?

装備品安定製造等確保計画の対象となるのは、指定装備品を製造する特定取組です。指定装備品とは、下記の12分類の装備品等で、専ら自衛隊の用に供するものとされます。

武器 火器(小火器、火砲等)、指向性エネルギー兵器、誘導弾発射装置、ロケット弾発射装置、射撃管制装置、光学機器、偽装用器材、欺まん用器材、対CBRN器材、水雷武器、水中音響装置、消磁器材及び掃海器材
弾薬類 ⑴ 火器用弾薬、誘導弾、ロケット弾、爆弾、てき弾、地雷、機雷、魚雷、爆雷及び火工品
⑵ 爆薬、信管、火管その他火薬類
車両 戦闘用車両(戦車、機動戦闘車、装甲車、自走砲等)、人員・物資輸送用車両、特殊作業用車両及びトレーラ
船舶 ⑴ 自衛艦(護衛艦、潜水艦、掃海艦、ミサイル艇、輸送艦等)、支援船その他の船舶
⑵ 船体、船舶用機関、船舶用電気器材、航海機器、船用品及び船体ぎ装品
航空機 ⑴ 戦闘機、哨戒機、輸送機その他の航空機
⑵ 機体、航空機用エンジン及び航空機搭載品
⑶ 着陸用器材及び地上支援用器材
無人機 陸上無人機、無人水上航走体、無人水中航走体及び無人航空機並びにこれらの運用器材
宇宙機器 人工衛星
通信電子器材 有線・無線送受信装置、衛星通信器材、無線航法装置、レーダー装置、ECM・ESM器材、指揮統制器材、通信保全器材その他の通信電子器材
情報システム 電子計算機及びこれに付属する器材並びにソフトウェア
施設器材 建設用機械、掘削用機械、道路整備用機械、架橋用器材及び障害敷設・処理器材
需品 ⑴ 誘導弾・船舶・航空機用燃料及び燃料器材
⑵ 迷彩服、特殊航空被服、制服その他の被服、個人装具及び落下傘
⑶ 救命用器材、浄水装置、天幕その他の野外需品器材
⑷ 非常用食糧及び特殊食糧
その他 ⑴ 前各項に掲げる装備品等の電源器材、整備用資器材、計測用器材、試験用器材、教材及び訓練器材
⑵ 前各項及び前号に掲げる装備品等の部品・構成品

特定取組とは

装備品安定製造等確保計画の対象となる「特定取組」は「供給網強靱化」「製造工程効率化」「サイバーセキュリティ強化」「事業承継等」の4つに分類されます

それぞれの取組が厳密にどのような取組を指しているのかは、「防衛生産基盤強化法」に基づきます。

供給網強靱化

「供給網強靱化」は、防衛生産基盤強化法では下記のものとされています。

指定装備品等の製造等に必要な原材料、部品、設備、機器、装置又はプログラム(以下この条及び第八条第一項において「原材料等」という。)であって、その供給が途絶するおそれが高いと認められるものの供給源の多様化若しくは備蓄又は当該指定装備品等の製造等における当該原材料等の使用量の減少に資する生産技術の導入、開発若しくは改良をすること。

つまり、海外から調達している原材料を国産化するために国内拠点を新たに設置する取組やそのような原材料の使用量を削減するための研究開発などの取組が「供給網強靱化」の取組となります。

装備品安定製造等確保計画 供給網強靱化

供給網強靱化の例

製造工程効率化

「製造工程効率化」は、防衛生産基盤強化法では下記のものとされています。

指定装備品等の製造等を効率化するために必要な設備を導入すること。

つまり、老朽化した旧式の工作機械による生産から、最新の工作機械による生産に更新して生産性を向上するなどの取組が「製造工程効率化」の取組となります。

装備品安定製造等確保計画 製造工程効率化

製造工程効率化の例

サイバーセキュリティ強化

「サイバーセキュリティ強化」は、防衛生産基盤強化法では下記のものとされています。

当該装備品製造等事業者におけるサイバーセキュリティ(サイバーセキュリティ基本法(平成二十六年法律第百四号)第二条に規定するサイバーセキュリティをいう。)を強化すること(防衛大臣が定める基準に適合するものに限る。)。

つまり、「防衛産業サイバーセキュリティ基準」を満たすための取組が「サイバーセキュリティ強化」の取組となります。サイバーセキュリティ強化の例としては、下記が挙げられます。

  • 脆弱性評価
  • 情報システム上の強化(多要素認証、システム常時監視 等)
  • 社内人材育成(情報セキュリティ事故への対処 等)
  • 物理的対策の強化(電子錠付入退機器設置、監視カメラ導入 等)

事業承継等

「事業承継等」は、防衛生産基盤強化法では下記のものとされています。

特定の指定装備品等の全部又は大部分の製造等を行う他の装備品製造等事業者が当該指定装備品等の製造等に係る事業を停止する場合において、当該他の装備品製造等事業者から当該事業の全部若しくは一部を譲り受けること又は当該指定装備品等の製造等に係る事業を新たに開始すること。

つまり、事業を停止する指定装備品製造業者から設備等を承継し、承継した製造設備等を整備したり、ライセンスを取得したりする取組が「事業承継」の取組となります。

装備品安定製造等確保計画 事業承継等事業承継等の例

装備品安定製造等確保計画の認定のメリット

ここまで、装備品安定製造等確保計画とは何かについて説明しましたが、次に装備品安定製造等確保計画の認定を受けることで得られるメリットを説明していきます。

特定取組に必要な経費を国から支払ってもらえる

装備品安定製造等確保計画の認定を受けることで得られる最大のメリットは「特定取組に必要な経費を国から支払ってもらえる」ことです。

防衛生産基盤強化法では、「認定を受けた装備品安定製造等確保計画に係る特定取組が着実に実施されるようにするため、予算の範囲内において、必要な財政上の措置を講ずるものとする。」とされており、予算の範囲内で特定取組に要する費用を支払うこととなっています。

実際にいつ、いくら支払いを受けることができるかは、取組内容や導入する設備等の防需割合(防需/防需+民需))によって変わってきます。装備品安定製造等確保計画の認定についてや、支払われる代金について詳しい内容は当社のコンサルタントとの相談が可能ですのでお気軽にお問い合わせください。

▼装備品安定製造等確保計画についてのお問い合わせはこちら
https://planbase.co.jp/contact/

装備品安定製造等確保計画の注意点

特定取組に要する費用を国に支払ってもらえる装備品安定製造等確保計画ですが、注意点もあります。

特に取得設備等の所有権及びこれを独占排他的に使用する権限は事業者に帰属しますが、防衛省の各機関がこれらの取得設備等を無償で使用する権利を約さなければならないことには注意が必要です。

詳しい装備品安定製造等確保計画の留意点や防衛装備庁との契約内容についてはこちらをご確認ください。もしも契約内容等に不明な点やアドバイスが必要な場合はお気軽にご相談ください。

対象外経費について

特定取組に要する幅広い経費が対象となっていますが、明示的に対象外とされている経費もあります。主な対象外経費は下記の通りです。下記の経費が主要な経費の場合は特定取組の内容を見直すことをおすすめします。

・ 工場建屋、倉庫等の老朽更新が主たる目的の経費
・ 土地の取得のための経費
・ 装備品安定製造等確保計画の認定前に取得した設備等に要する経費
・ 装備品等調達の初度費契約の対象となる経費
・ 防衛省が行う経費率の算定において、事業者が防衛省に提出する経費率算定資料に記載される情報セキュリテイ対策経費の対象となる経費
・ 親会社、子会社、グループ会社等関連会社(資本関係のある会社、役員及び社員を兼任している会社、代表者の三親等以内の親族が経営する会社等)との取引に係る経費
・ 一般的な市場価格又は事業内容に対して著しく高額な経費
・ 特定取組により取得した設備等の維持・運営に関し、紐付け契約の納期以降に発生する経費
・ その他、防衛大臣が適切でないと判断する経費

装備品安定製造等確保計画の審査について

装備品安定製造等確保計画を作成して提出したとしても、全ての計画が認定されるわけではなく、認定の申請があった場合は下記のような基準で審査が行われ、審査に通過した場合に認定が受けられます。

審査基準

装備品安定製造等確保計画認定申請募集要項では、下記の2点が審査基準とされています。

① 装備品安定製造等確保計画の内容が基本方針に照らし適切なものであること。
② 装備品安定製造等確保計画が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。

※基本方針とは、防衛生産基盤強化法第3条第1項に基づき防衛大臣が定める基本方針をいいます。基本方針はこちらからご確認ください。

実際の装備品安定製造等確保計画を作成する場合には基本方針と一致しているか、計画が円滑かつ確実に実施されると見込まれるような分かりやすいものになっているかを意識します。

審査期間

装備品安定製造等確保計画の審査期間は、受付した日から原則として2ヶ月以内とされています。

装備品安定製造等確保計画の認定の申請について

続いて、装備品安定製造確保計画の認定の申請方法を解説します。

必要書類

装備品安定製造等確保計画の認定を希望する事業者は下記の書類を提出します。

・装備品安定製造等確保計画認定申請書
・定款
・登記事項証明書
・直近3期間の決算書
・暴力団員等に該当しないことを誓約する書類
・特定取組の内容に関する補足資料
・特定取組に必要な資金の見積に用いた資料
・防衛省との契約関係が分かる資料※防衛省と直接契約関係にない場合

申請方法

申請方法は郵送またはメールです。提出先は防衛装備庁の本施策に関するHPをご確認ください。

▼防衛生産基盤強化法について(防衛装備庁HP)
https://www.mod.go.jp/atla/hourei_dpb.html

募集期間

募集期間は令和5年10月2日~随時募集です。

手続きの流れ

最後に、装備品安定製造等確保計画の認定の申請手続きの流れを解説します。

装備品安定製造等確保計画 手続きの流れ

装備品安定製造等確保計画は、いきなり提出するのではなく、事前に防衛装備庁に相談することが推奨されています。相談をした上で申請書を作成・提出し、審査を受けます。

計画が認定されれば、特定取組契約を防衛装備庁と締結し、特定取組を実施します。

特定取組を完了し、紐付け契約に基づく納入が完了した後、代金が支払われます。

詳しいスケジュールについては取組内容によってことなるため、スケジュールや手続き方法でお悩みの方は当社までご相談ください。

▼装備品安定製造等確保計画 のご支援についてのご相談はこちらから
https://planbase.co.jp/contact/

装備品安定製造等確保計画の作成に困ったら?

本記事では装備品安定製造等確保計画について解説しました。防衛省と直接契約関係があったり、間接的に納入がある場合には利用する価値が極めて高い制度であると思います。

装備品安定製造等確保計画の作成方法は防衛省のHP等でも紹介されていますが、このような企業向けの制度活用が初めての方や計画の作成方法に不安がある場合は認定経営革新等支援機関 株式会社プランベースまでご相談ください。(初回相談無料)

▼装備品安定製造等確保計画 のご支援についてのご相談はこちらから
https://planbase.co.jp/contact/

この記事の執筆者

村上 貴弘

村上 貴弘

東京大学経済学部卒。行政書士。
在学中からフリーランスのコンサルタントとして中小企業、士業事務所の補助金獲得のコンサルティングを行なう。
2019年株式会社meditips(現:株式会社プランベース)創業。
2020年同社取締役就任。
2021年meditips行政書士事務所開業。現在はベンチャー企業や飲食店、製造業、建設業など幅広い企業の経営戦略立案や補助金申請支援を行なっている。