2023.12.04
その他の補助金
ECサイトの構築にはIT導入補助金の活用がおすすめ!
ECサイトの構築は、事業者にとってさまざまなメリットがあります。その一方で、使い勝手のよいサイトは、構築費用が高額になるケースも少なくありません。
費用面で悩んでいる事業者の方には、「IT導入補助金」の活用をおすすめします。本記事では、IT導入補助金の概要や申請手順、採択されるポイントを詳しく解説します。
ECサイト構築に利用できる「IT導入補助金」とは?
ECサイト構築に利用できる「IT導入補助金」とは?
まずは、IT導入補助金の概要について解説します。
制度の概要・目的
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者のITツール導入を支援する制度です。
2023年は、「通常枠(A・B類型)」「デジタル化基盤導入枠」「セキュリティ対策推進枠」の3つの申請枠が設置されました。同年10月に開始された「インボイス制度」に対応するためのツール導入も支援しています。
補助率・補助額
IT導入補助金の補助率・補助額は、申請枠や類型によって異なります。2023年後期の補助率・補助額は以下のとおりです。
申請枠
|
補助率
|
補助額
|
通常枠(A・B類型)
|
A類型
|
1/2以内
|
5万円以上150万円未満
|
B類型
|
1/2以内
|
150万円以上450万円以下
|
デジタル化基盤導入枠
|
デジタル化基盤導入類型
|
【ソフトウェア】
1機能:3/4以内
2機能以上:2/3以内
【ハードウェア】
1/2以内
|
【ソフトウェア】
1機能:~50万円以下
2機能以上:50万円超350万円以下
【ハードウェア】
PC、タブレットなど:10万円以下
レジ、券売機:20万円以下
|
商流一括インボイス対応類型
|
中小企業・小規模事業者の場合:2/3以内
そのほかの事業者の場合:1/2以内
|
~350万円以下
|
複数社連携IT導入類型
|
【基盤導入経費】
50万円以下の部分:3/4以内
50万円超350万円の部分:2/3以内
【事務費、専門家費】
2/3以内
|
【基盤導入経費】
3,000万以下
【事務費、専門家費】
200万円以下※
※(基盤導入経費の合計額)×10%×(補助率2/3)もしくは200万円のいずれか小さい額
|
セキュリティ対策推進枠
|
サービス利用料の1/2以内
|
5万円以上100万円以下
|
※参照:IT導入補助金2023|IT導入補助金2023後期事務局
補助率・補助金や各種要件の詳細は、IT導入補助金事務局公式ホームページから確認できます。
ECサイト構築が対象となる申請枠
ECサイト構築が対象となる申請枠
ECサイトの構築費用について申請するなら、デジタル化基盤導入枠の「デジタル化基盤導入類型」がおすすめです。
会計・受発注・決済・ECの機能を有するソフトウェアの導入が対象となり、2つ以上の機能を有する場合は補助率が上がります。
申請対象となる事業者
申請対象となる事業者
IT導入補助金に申請できる「中小企業または小規模事業者等」の定義は業種ごとに異なります。
サービス業・卸売業・小売業・旅館業における中小企業などの定義は以下のとおりです。
サービス業
|
資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主
|
卸売業
|
資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主
|
小売業
|
資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主
|
旅館業
|
資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が200人以下の会社及び個人事業主
|
また、商業・サービス業と宿泊業・娯楽業における小規模事業者の定義は以下のとおりです。
商業・サービス業
|
常時使用する従業員の数が5人以下の会社及び個人事業主
|
宿泊業・娯楽業
|
常時使用する従業員の数が20人以下の会社及び個人事業主
|
※引用:IT導入補助金2023公募要領 通常枠(A・B類型)|サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局
IT導入補助金の申請手順
IT導入補助金の申請手順
IT導入補助金の申請手順は、おおむね以下のとおりです。
STEP1.補助対象であることを確認する
まずは、公式サイトや情報サイトをチェックし、制度に対する理解を深めましょう。特に、自社や導入予定のツールが補助対象に含まれているかどうかを確認することが大切です。
STEP2.「gBizIDプライム」アカウントを取得する
IT導入補助金の申請は、オンラインで行います。
申請には、「gBizIDプライム」のアカウントが必要です。アカウント発行まで2週間程度かかる場合があるため、早めに手続きしておきましょう。
STEP3.「SECURITY ACTION」を実施する
2021年から、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言が必要になりました。外部サイトより新規申し込みとアカウント作成を行い、中小企業・小規模事業者が自ら情報セキュリティ対策に取り組むことを宣言します。
STEP4.「みらデジ経営チェック」を実施する
中小企業庁が実施する「みらデジ経営チェック」は、中小企業・小規模事業者等の経営課題解決をサポートする制度です。STEP2で発行したgBizIDを使って「みらデジ」ポータルサイト内で実施しましょう。手順に従ってチェックしないと、不採択になってしまうため注意が必要です。
STEP5.支援事業者の選定・交付申請
IT導入補助金の申請には、「IT導入支援事業者」の支援が不可欠です。依頼する支援事業者を選定し、サポートを受けながら、交付申請を進めましょう。
交付申請の基本的な流れは、以下のとおりです。
1.IT導入支援事業者から招待を受け、申請マイページで基本情報を入力 2.交付申請に必要な情報を入力、必要書類を添付 3.IT導入支援事業者がITツールの情報や事業計画値を入力 4.最終確認後、提出する
|
STEP6.【交付決定後】ITツールの導入
交付決定を受けたら、ITツールの導入を進めましょう。ツールの発注、契約、支払いを経て、導入を完了させます。
STEP7.補助金の交付
ツールの導入が完了したら、事業実施効果報告を提出しましょう。補助金額が確定し、補助金が交付されます。
ECサイト構築に利用できるそのほかの補助金
ECサイト構築に利用できるそのほかの補助金
ECサイト構築に利用できる補助金には、ほかにも以下のようなものがあります。
事業再構築補助金
経済社会の変化に対応するため、事業再構築を目指す企業をサポートする制度です。最大1.5億円と補助金額は大きいものの、事業・業態転換や新事業展開などの思い切った事業再構築のみが対象となります。
※参照:事業再構築補助金|事業再構築補助金事務局
ものづくり補助金
働き方改革や賃上げなどの制度変革に対応する企業をサポートする制度です。単にデジタル製品を導入するだけでは対象にならず、以下のいずれかに当てはまる必要があります。
・DXに資する革新的な製品・サービスの開発
・デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善
※参照:ものづくり補助金総合サイト|全国中小企業団体中央会
小規模事業者持続化補助金
持続的な経営を図るため、小規模事業者が取り組む販路開拓や業務効率化などの取り組みを支援する制度です。商業・サービス業の場合は「常時使用する従業員の数が5人以下」など、規定を満たす小規模事業者のみが対象となります。
※参照:小規模事業者持続化補助金|小規模事業者持続化補助金事務局
自治体の補助金
国の補助金以外に、各自治体が独自に実施している補助金もあるのでチェックしてみましょう。
例えば、東京都中央区では、中小企業が新たにECサイトを構築する際の費用の一部を補助する「ECサイト活用補助金」を実施しています。
また、千葉県松戸市では、ITツールの導入により売上・生産性の向上を図る企業を支援する「松戸市中小企業デジタル化チャレンジ補助金」を実施しています。
※参照:ECサイト活用補助金|東京都中央区
※参照:松戸市中小企業デジタル化チャレンジ補助金|松戸市
IT導入補助金に採択されるためのポイント
IT導入補助金に採択されるためのポイント
IT導入補助金に採択されるためには、以下のポイントが大切です。
回答の一貫性を意識する
申請手続きにおける「経営状況についての入力」は選択式なので、全体を通してみたときに、回答に一貫性がなくなってしまうケースも少なくありません。
どのような経営課題があり、なぜECサイトの構築が必要なのか、回答の一貫性を保つよう心がけましょう。
加点項目を満たす
必須の申請要件とは別に設けられている「加点項目」を満たすと、採択される可能性を高めることができます。
例えば、デジタル化基盤導入枠の「デジタル化基盤導入類型」における加点項目は以下の3つです。
1.地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画(IT導入補助金の申請受付開始日が当該計画の実施期間内であるものに限る)の承認を取得していること。
2.交付申請時点で地域未来牽引企業に選定されており、地域未来牽引企業としての「目標」を経済産業省に提出していること。
3. 以下の要件を全て満たす3年の事業計画を策定し、従業員に表明していること。
・事業計画期間において、給与支給総を年率平均1.5%以上増加 ・事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
|
※引用:IT導入補助金2023 公募要領 デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)|サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局
IT導入補助金を利用するうえでの注意点
IT導入補助金を利用するうえでの注意点
IT導入補助金を利用する際は、以下のポイントに注意しましょう。
申請枠ごとのスケジュールが異なる
申請のスケジュールは、申請枠ごとに異なります。
例えば、2023年後期の通常枠(7次締切分)と、デジタル化基盤導入枠のデジタル化基盤導入類型(10次締切分)は、どちらも受付開始日は同じですが、以下のような違いがあります。
|
通常枠
|
デジタル化基盤導入枠
(デジタル化基盤導入類型)
|
締切日
|
2023年10月30日 17:00
|
2023年10月16日 17:00
|
交付決定日
|
2023年12月4日
|
2023年11月20日
|
発注・契約は交付決定後にする
補助金の交付決定前にサイトやツールの発注・契約・支払いを行った場合は、補助金が交付されません。
ECサイト構築の本格的な準備は、交付が決定してから進めるようにしましょう。
自己資金が必要
IT導入補助金に限らず、補助金は原則的に後払いです。そのため、まず自己資金でECサイトを構築する必要があります。
信頼できる支援事業者を選びましょう
信頼できる支援事業者を選びましょう
IT導入補助金の場合、申請手続きは支援事業者と共同で進めていくので、安心して任せられる支援事業者を選ぶ必要があります。
また、そのほかの補助金に関しても、申請要件に「認定支援事業者への依頼」が含まれるケースは少なくありません。
申請が採択される可能性を高めるためにも、信頼できる支援事業者を選びましょう。
まとめ
ECサイトを構築するなら、「IT導入補助金」の活用がおすすめです。ほかにも、ECサイト構築に活用できる補助金にはさまざまな種類があります。各種制度を活用して、ECサイト構築による販路拡大・売上アップを目指しましょう。
補助金申請の支援事業者をお探しなら、「株式会社プランベース」をぜひご検討ください。
株式会社プランベースは、経済産業省認定の認定経営革新等支援機関です。高い専門性や豊富なノウハウを駆使し、補助金に採択されるための包括的かつ体系的なサポートをご提供しています。
まずはお気軽にお問い合わせください。
補助金に関する問い合わせはこちら
この記事の執筆者
村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。
一覧へ戻る