2023.12.04
その他の補助金
個人事業主も利用可能なIT導入補助金とは?補助金の種類や申請手順、注意点を解説!
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者などに対し、ITツールの導入を支援する補助金です。また、IT導入補助金は、個人事業主も対象としている点も特徴です。
この記事では、IT導入補助金の種類や注意点などを解説します。申請手順も合わせて解説しているので、参考にしてみてください。
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、個人事業主や中小企業を対象とした補助金制度です。
具体的には、労働生産性の向上や業務効率化のためのITツール(ソフトウェア、アプリ、サービスなど)の導入を支援します。
補助額や補助率、対象経費によって枠と類型が分かれています。枠の種類については、後述の見出しを参考にしてください。
IT導入補助金の対象は個人事業主も含まれる
IT導入補助金の対象には、個人事業主(小規模事業者)も含まれます。小規模事業者の定義は、業種と従業員数によって異なります。
<小規模事業者の定義>
業種分類 |
従業員(常勤) |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) |
5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 |
20人以下 |
製造業その他 |
20人以下 |
ただし、法人登記をはじめとする、すべての要件に該当する事業者のみが対象となります。
引用:補助対象について | 中小企業・小規模事業者のみなさま | IT導入補助金2023
IT導入補助金の5つの申請枠
IT導入補助金の5つの申請枠
ここでは、IT導入補助金の5つの申請枠について解説します。
1. 通常枠(A類型・B類型)
通常枠(A類型・B類型)は、自社の課題に合ったITツールを活用した、業務効率化や売上アップのサポートを目的としています。
類型ごとの基本情報は、下記のとおりです。
|
A類型 |
B類型 |
補助額 |
5万円~150万円未満 |
150万円~450万円以下 |
機能要件 |
1プロセス以上 |
4プロセス以上 |
補助率 |
1/2以上 |
1/2以内 |
B類型では申請に必要なプロセス数が4以上となっており、多機能ツールを導入する必要がある点には注意しましょう。
2. セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠は、サイバー攻撃の潜在リスクの低減を目的としています。最大で2年分のサービス利用料が支援されます。
基本情報は、下記のとおりです。
|
セキュリティ対策推進枠 |
補助額 |
5万円~100万円 |
機能要件 |
「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」の掲載サービス |
補助率 |
1/2以内 |
3. デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は、会計や受発注、決済、ECソフトの経費の一部を補助します。インボイス対応も見据えた企業間取引のデジタル化推進が目的です。
基本情報は、下記のとおりです。
|
ITツール |
PC・タブレットなど |
レジ・券売機 |
補助額 |
~50万円(1機能以上) 50万円超350万円以下 (2機能以上)
|
10万円以下 |
20万円以下 |
補助率 |
3/4以内(1機能以上) 2/3以内(2機能以上)
|
1/2以内 |
1/2以内 |
ソフトウェアとハードウェアを同時に導入する場合は、デジタル化基盤導入類型を活用しましょう。
4. デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)
デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)は、複数の企業・業者が連携する場合に用いる枠です。ITツールやハードウェアの導入によって、地域DXの実現や生産性の向上を図る取り組みに対し、複数社へのITツールの導入を支援する制度です。
基本情報は、下記のとおりです。
|
基盤導入経費 |
消費動向等分析経費 |
補助事業者が参画事業者を とりまとめるために 要する事務費など |
補助額 |
5~350万円(1機能以上) |
50万円×グループ構成員数 |
20万円以下 |
補助率 |
3/4以内(1機能以上) 2/3以内(2機能以上)
|
1/2以内 |
1/2以内 |
複数の事業者で連携してITツールを導入する際は、この枠を活用しましょう。
5. デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)
デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)は、労働生産性向上やインボイス制度への対応を促進するためにITツールを導入する際に適用されます。
基本情報は下記のとおりです。
|
デジタル化基盤導入枠 |
補助額 |
350万円 |
補助率 |
2/3以内(中小企業・小規模事業者など)1/2以内(その他の事業者など) |
例えば、インボイス制度対応の受発注ソフトを導入する場合を考えてみましょう。取引先である中小企業・小規模事業者に無償でアカウントを供与して利用させる場合に、この補助金を用いれば、導入費用の一部が支援されます。
個人事業主がIT導入補助金の申請に必要な準備
個人事業主がIT導入補助金の申請に必要な準備
ここでは、個人事業主がIT導入補助金の申請に必要な準備について解説します。
「gBizIDプライム」アカウントの取得
IT導入補助金は、交付申請の要件として「gBizIDプライム」アカウントが必要とされています。
gBizIDプライムアカウントID発行まで2週間ほど必要となるため、早めに手配しておくとよいでしょう。また、個人事業主はマイナンバーカードがあれば、オンライン申請ができます。
「SECURITY ACTION」の実施
交付を受けるためには、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言も求められます。
「SECURITY ACTION」は、情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。IT導入補助金では「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言が要件となっています。
「SECURITY ACTION」は宣言後に即時発行されます。
「経営チェック」の実施
IT導入補助金の申請には、「経営チェック」の実施が必要です。
「みらデジ」ポータルサイト内にgBizIDで登録したうえで、「経営チェック」を実施しましょう。そのため、「gBizIDプライム」アカウント発行を先に進める必要があります。
手順通りにみらデジ経営チェックをしなかった場合、申請要件を満たさないため不採択となります。
IT導入補助金申請で個人事業主が用意する書類
IT導入補助金申請で個人事業主が用意する書類
ここでは、IT導入補助金の申請時に個人事業主が用意する書類について解説します。
用意が必要な書類の一覧は次の通りです。
・運転免許証または運転経歴証明書または住民票 ・所得税の納税証明書(その1またはその2) ・確定申告書(直近分)
|
運転免許証または運転経歴証明書または住民票
IT導入補助金の申請時には、下記いずれかの書類が必要です。
・運転免許証:登録申請日が有効期限内のもの(免許証の裏面にある変更履歴も提出) ・運転経歴証明書 ・住民票:3ヵ月以内に発行したもの
|
提出はいずれか1種類のみで問題ありません。
所得税の納税証明書(その1またはその2)
IT導入補助金の申請には、所得税の納税証明書が必要です。税務署の窓口で発行してもらった、直近の納税証明書を用意しましょう。電子納税証明書の場合は、PDF形式のみ有効です。XML形式は不可である点に注意しましょう。
確定申告書(直近分)
直近の確定申告書も、IT導入補助金の申請には必要です。前々年のものではなく、前年分(直近分)の確定申告書を用意しましょう。
認められている確定申告書は、税務署の受領が確認できるものに限ります。旧姓で事業を行っているといった理由で姓名が不一致の場合は、姓名の変更がわかる書類を添付しましょう。
IT導入補助金の申請手順
IT導入補助金の申請手順
ここでは、IT導入補助金の申請手順について解説します。
1. IT導入支援事業者の選定とITツールの選択
最初に、IT導入支援事業者を選定し、導入するITツールを選択しましょう。IT導入支援事業者・ITツールは、IT導入補助金の公式ページから検索可能です。実際のITツールの購入は、補助金交付申請の審査通過後に行いましょう。
2. 交付申請の事業計画を策定
IT導入支援事業者・ITツールを選定したら、交付申請の事業計画を策定します。IT導入支援事業者との間で商談を進め、事業計画を策定して交付申請書を作成しましょう。IT導入支援事業者が、導入ITツールの情報や事業計画値を入力し、事務局へ提出をします。
3. 申請後の流れ
交付決定の通知がきたら、ITツールの発注や契約、支払いをします。購入後に事業完了報告書を提出すると、事務局から補助金が振り込まれます。振り込まれた後にも、「事業実施効果」として期限内に数値目標の進捗や結果を報告する必要がある点には注意しましょう。
個人事業主によるIT導入補助金申請時の注意点
個人事業主によるIT導入補助金申請時の注意点
ここでは、個人事業主によるIT導入補助金申請時の注意点について解説します。
同時申請可能な枠と不可能な枠がある
そもそもIT導入補助金には、同時申請可能な枠と不可能な枠があります。
複数社連携IT導入類型は他の枠と重複申請ができません。
一方で、2022年から、デジタル化基盤導入類型と通常枠(A・B類型のいずれか)は同時申請が可能になりました。ただし、補助対象となる事業内容が重複しないことが条件です。
ハードウェアのみ申請はできない
通常枠(A・B類型)では、ハードウェアのみの申請は補助対象外です。
デジタル化基盤導入類型では、ハードウェアの購入費も補助の対象となっています。しかし、ハードウェア単体は補助対象外となるため、ソフトウェアやITツールもセットで申請しましょう。
確定申告や決算の実績が必要
IT導入補助金の申請に必要な納税証明書を発行するには、決算・確定申告が必要です。
設立してまもない事業主の場合、一度も決算・確定申告をしていないケースもあるでしょう。その場合は、納税証明書が発行できないため、IT導入補助金の申請もできません。
確定申告や決算の実績がない場合、申請が難しい点には注意が必要です。
まとめ
まとめ
IT導入補助金は、個人事業主でも利用可能な申請しやすい補助金です。もしITツールの導入を検討している際には、IT導入補助金の活用も視野に入れましょう。
IT導入補助金の申請をご検討中の人は、「株式会社プランベース」にお問い合わせください。
株式会社プランベースは、採択件数全国トップクラスの経済産業省認定支援機関です。数十万円の小規模案件から5,000万円以上の大規模案件まで、多くの補助金申請を手掛けてきた実績を持っています。補助金申請に関わる内容でお困りのことがあれば、いつでもご連絡ください。
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この記事の執筆者
村上 貴弘
東京大学経済学部卒。行政書士。在学中からフリーランスのコンサルタントとして中小企業、士業事務所の補助金獲得のコンサルティングを行なう。2019年株式会社meditips(現:株式会社プランベース)創業。2020年同社取締役就任。2021年meditips行政書士事務所開業。現在はベンチャー企業や飲食店、製造業、建設業など幅広い企業の経営戦略立案や補助金申請支援を行なっている。
この記事の執筆者
村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。
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