ウィズコロナ・ポストコロナ時代における宿泊業向け補助金
新型コロナウイルス感染拡大による「ステイホーム」の広まりにともない、旅行・宿泊業界は大きなダメージを受けました。そんな旅行・宿泊業界をサポートすべく、2021年~2022年にはさまざまな支援が実施され、2023年もポストコロナ・ウィズコロナの経済社会の変化に合わせ、引き続きさまざまな支援が行われています。
2023.11.21
その他の補助金
宿泊業は、新型コロナウイルスによる影響を大きく受けた業種の1つです。そんな宿泊業を支援するため、日本国内ではさまざまな補助金制度が設けられ、現在も公募が続けられています。 本記事では、宿泊業が利用できるおすすめの補助金を紹介します。採択されるためのコツや、申請時の注意点なども解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
新型コロナウイルス感染拡大による「ステイホーム」の広まりにともない、旅行・宿泊業界は大きなダメージを受けました。そんな旅行・宿泊業界をサポートすべく、2021年~2022年にはさまざまな支援が実施され、2023年もポストコロナ・ウィズコロナの経済社会の変化に合わせ、引き続きさまざまな支援が行われています。
宿泊業の設備投資に活用できる補助金には、主に以下の3種類があります。
※各制度の概要は、2023年11月時点のものです。
※補助上限額や補助率は、申請枠や従業員の人数によって異なります。
コロナ禍による影響を受け、事業再構築に取り組む中小企業を支援する制度です。「成長枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」など、いくつかの申請枠が設けられています。
▼2024年(令和6年)事業再構築補助金について
https://planbase.co.jp/column/282/
中小企業における経営革新を後押しするため、さまざまな設備投資を支援する制度です。機械や装置から、ソフトウェアや情報システムの導入、外注費まで、補助範囲が幅広いことで知られています。
▼2024年(令和6年)ものづくり補助金について
https://planbase.co.jp/column/264/
働き方改革やインボイスの導入など、相次ぐ制度変更に対応するためのITツール導入を支援する制度です。また、サイバーインシデントのリスク軽減を目的とした「セキュリティ対策推進枠」も設けられています。
※参考:IT導入補助金2023|IT導入補助金2023後期事務局
▼2024年(令和6年)IT導入補助金について
https://planbase.co.jp/column/280/
次に、インバウンド対応に活用できる補助金を紹介します。
「宿泊施設インバウンド対応支援事業」は、訪日外国人旅行者のストレスフリーな旅を実現するため、宿泊施設などにおける多言語対応やバリアフリー化などの取り組みを支援する制度です。多言語対応のチャットボットの導入や非接触型チェックインシステム、キーレスシステムの導入など、幅広く支援しています。
ホテルや旅館などの宿泊業者のなかには、慢性的な人手不足に陥っているところが少なくありません。人手不足に悩んでいる場合は、以下の助成金を活用しましょう。
外国人労働者を雇用している事業者を対象に、言葉の壁や労働法制・雇用慣行の違いからくるトラブルを避けるための環境整備を支援する制度です。翻訳機器の導入や通訳費などの経費の一部を補助することで、外国人労働者に配慮した就労環境の整備を支援します。
ここからは、各自治体が独自に実施している宿泊業向けの補助金を紹介します。
国内外から多くの観光客や出張客が訪れる東京都は、宿泊業向けの補助金制度が充実しています。
多言語対応やトイレの洋式化などを補助する「インバウンド対応力強化支援補助金」や、インバウンド需要回復に合わせた収益確保や人材育成を支援する「外国人旅行者受入に係る経営活力向上支援事業補助金」など、インバウンド対応への補助金が豊富な点が特徴です。
また、宿泊施設のユニバーサルデザインをサポートするため、バリアフリー化に取り組む事業者を対象とした「宿泊施設バリアフリー化支援補助金」も実施されています。
※参考①:インバウンド対応力強化支援補助金
※参考②:外国人旅行者受入に係る経営活力向上支援事業補助金
※参考③:宿泊施設バリアフリー化支援補助金
北海道札幌市では、停電に備えた発電装置や燃料タンクの設置などを補助する「宿泊施設非常用自家発電設備整備補助事業」を行っています。また、弟子屈町(てしかがちょう)では、町内の新築または空き施設を活用し、宿泊施設を設置する法人・個人を対象とした「宿泊業再生事業補助金」を実施中です。
令和5年には、全道の中小宿泊事業者を対象に、電気料金等エネルギー価格高騰に対応するための「宿泊業環境整備緊急対策事業」を実施しました。
※参考①:宿泊施設非常用自家発電設備整備補助事業
※参考②:宿泊業再生事業補助金
※参考③:宿泊業環境整備緊急対策事業
福島県郡山市では、新型コロナウイルスや国際情勢の影響を受けた宿泊業者の経営安定化を支援するため、「宿泊施設環境整備支援補助金」を設けています。
宿泊施設環境整備支援補助金とは、1施設あたり200万円を上限に、施設の高付加価値化を目指すためにかかる経費を補助する制度です。
※参考:宿泊施設環境整備支援補助金
長野県茅野市では、観光客をメインターゲットとする宿泊施設を対象に、施設の改装費を補助する「観光宿泊施設改装事業補助金」を行っています。1施設あたり300万円を上限に、改装経費の10分の1以内の金額が補助されるものです。
また、飯山市では、市内施工業者に発注して実施する改修工事に限り、施設外観の改修や客室の和洋式化・洋式化などの経費を補助する「宿泊施設環境整備事業補助金」を実施しています。
※参考①:観光宿泊施設改装事業補助金
※参考②:宿泊施設環境整備事業補助金
鳥取県の「観光客の心に響く滞在型地域創造事業補助金」は、観光客の思い出に残るような特徴ある宿泊スタイルづくり(民泊・古民家の活用など)を支援する制度です。
宿泊事業者と宿泊事業者団体を対象としており、宿泊施設で提供する食事や土産物、サービスなどの開発費用も補助しています。
高知県の「高知県宿泊施設デジタル化等支援事業」は、観光客の満足度向上や滞在時間延長を図るためのデジタル化を支援する制度です。無線LANの整備や、宿泊施設の魅力度向上を目的としたデジタル技術の活用を後押ししています。
補助金は必ず受け取れるものではなく、採択されるためにはいくつかのポイントをおさえる必要があります。
申請する補助金制度が決まったら、まずは公募スケジュールを確認しましょう。多くの補助金制度は予算上限に達し次第終了となります。採択基準を満たしていても、すべての事業者が補助金を受け取れるとは限らないため、公募期間中のなるべく早いタイミングで申請することが大切です。
それぞれの補助金には申請要件が定められており、要件に合致していない場合は、当然ながら支給対象外となってしまいます。
また、申請書類を作成する際は、指定のフォーマットに則っているかどうかを確認することも大切です。申請にはさまざまな添付書類が必要なので、書類の抜け漏れがないよう注意しましょう。
事業計画書は、ほかの候補事業者との差別化をはかるためのキーアイテムです。自社の事業の魅力をアピールするため、誰が読んでもわかりやすい内容を目指しましょう。文字ばかりの書類は読みにくいため、図や写真、グラフを効果的に活用することも大切です。
また、自社の業況や競合・事業環境の状況、補助事業で取り組むこととその根拠、将来の展望などを網羅的に明記しましょう。
ここからは、補助金の申請手順を解説します。慌てることのないよう、おおまかな手順をおさえておきましょう。
まずは、申請する補助金を選ぶところからスタートです。官公庁や施設の所在地の自治体が実施している補助金のなかから、自社の事業内容と合致しているものを選びましょう。その際、各種制度や申請枠ごとの補助率、補助金額や締切日などもチェックします。
補助金を申請するために、必要な書類をそろえましょう。必要書類は補助金ごとに異なるため、抜け漏れがないよう入念に確認することが大切です。
必要書類がそろったら、いよいよ申請します。申請期限を超過することのないよう、余裕を持って手続きを進めることが大切です。官公庁が実施している補助金の場合、申請は郵送やオンラインで行う場合が多いでしょう。
補助金に採択されると、交付決定通知が届きます。なお、補助金を受け取るためには、所定の手続きが必要です。また、補助金制度によっては、補助金を受け取る前に別途審査が行われることもあります。
補助金を活用する際は、以下の2つのポイントに注意しましょう。
原則的に、補助金は「後払い」の形式で支給されます。そのため、事業を進めるためには交付決定前にある程度の自己資金が必要です。また、申請しても採択されるとは限らないため、補助金ありきで資金計画を立てることはリスキーといえるでしょう。
補助金の交付決定前に支払った経費は、補助の対象外です。補助事業は交付決定後に実施することをおすすめします。
補助金の申請には複雑な手続きが多く、書類の作成方法に迷ってしまう場合も少なくないでしょう。また、時間や労力をかけて申請しても、補助金を受け取れるとは限りません。
補助金を受け取れる可能性を高めるなら、補助金申請の支援サービスを活用しましょう。手続きにかかる手間を軽減できるだけでなく、事業計画書へのアドバイスも受けられるため、それぞれの制度の趣旨や目的に合わせたアピールが可能です。
補助金申請における申請代行については次の記事を参考にしてください。
▼補助金の申請代行とは
https://planbase.co.jp/column/159/
コロナ禍によって多大な影響を受けた宿泊業を支援するため、官公庁や自治体はさまざまな補助金制度を設けています。経営課題の解消や事業革新に着手する際は、各種制度を上手に活用しましょう。
補助金の申請要件や事業計画の立案に関する不安・疑問は、「株式会社プランベース」までご相談ください。株式会社プランベースは、経済産業省認定の認定経営革新等支援機関です。高い専門性や豊富なノウハウを駆使し、補助金に採択されるための包括的かつ体系的なサポートをご提供しています。
無料相談をご希望の場合は、こちらからお気軽にお問い合わせください。
▼補助金申請に関するお問い合わせはこちら
https://planbase.co.jp/contact/
村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。
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