2025.11.19
その他お役立ちコラム
補助金返還時の仕訳は?返還の理由や他のタイミングでの仕訳・注意点も解説!
いったん採択された補助金でも、手続きや事業の状態によっては返還が求められる場合があります。やむを得ず補助金を返還する場合は、忘れずに仕訳にも対処しましょう。補助金は申請から受給までのタイムラグが長く、各プロセスで生じる仕訳には注意が求められます。
ここでは、補助金返還時の仕訳や、補助金に関する他の仕訳、仕訳の注意点などを解説します。ぜひ、参考にしてください。
補助金の返還を要求される理由
補助金は用途が限定されており、目的と異なる使い方をすれば返還が求められます。
補助金の返還を求められるケースを、以下に示しました。
・補助事業と関係しない用途に補助金を使った
・補助事業に関連する内容ではあっても、申請内容と異なる施策に補助金を使った
・第三者に対して補助金の譲渡や貸し付けを行った
・事務局が求める実地調査や資料提出に応じなかった
・経費の水増しなど、補助金の不正受給を行った
・補助金で購入した資産を短期間で売却処分した
・補助事業を中断した
補助金の使い方が不適切であった場合だけではなく、事務局からの要請に応じなかった場合も補助金の返還を要求されます。
事務局からの要請に早急に応じることが出来るよう、関係する書類等は分かりやすく整理しておきましょう。
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返還が求められる事例
収益納付以外で補助金の返還が求められる事例を、主な補助金を取り上げて解説します。
ものづくり補助金の返還事例
ものづくり補助金の返還事例は、以下のとおりです。
・給与支給総額の増加目標を達成できなかった ・事業場内最低賃金の増加目標を達成できなかった |
ただし、中小企業再生支援協議会などから支援を受けている再生事業者の場合は、目標を達成できなくても補助金を返還する必要はありません。
IT導入補助金の返還事例
IT導入補助金の返還事例は、以下のとおりです。
・事業実施・実績報告を怠った ・導入したクラウド型ITツールを短期間で解約した ・申請内容と異なるITツールを導入した ・補助金の申請者と協力者が連携して、補助金を不正に水増しした ・申請時に打ち立てた生産性向上に関する目標を達成できなかった |
申請内容とは異なる事業を行った場合や、報告義務を怠った場合に返還が求められます。
事業再構築補助金の返還事例
事業再構築補助金の返還事例は、以下のとおりです。
・事業化状況報告を怠った ・事業計画書とは異なる事業を進めていた ・財産処分制限が課された設備を早期処分した ・公募要領に記載された要件を満たせなかった |
事業化状況報告は、毎年報告のタイミングが決まっているためご注意ください。
補助事業終了後から、合計6回の事業化状況報告に応じる必要があります。
補助金の返還時の仕訳
仕訳とは、金銭の流れや取引の内容を適切に記録することです。
補助金の返還を始めとして、仕訳が正しくなされなければ、企業は決算書や確定申告書を作成できません。
外部への説明責任と納税の義務を果たすために、補助金の返還などの取引を正しく仕訳しましょう。
ここでは、補助金返還時の仕訳を勘定科目の選び方と仕訳のやり方に分けて解説します。
勘定科目の選び方
補助金は事業により得た収入ではないため、勘定科目には「雑収入」を選びます。
雑収入とは、どの勘定科目にも該当しないときに使われる勘定科目です。
圧縮記帳により固定資産を購入する場合は、「補助金受贈益」という勘定科目を使います。
仕訳のやり方
補助金返還時には金銭の移動が発生しているため、仕訳のルールによって記帳する必要があります。
借方に「雑収入」、貸方に「預金」を選択して、それぞれに実際に返還する金額を記載します。

補助金を返還する額の計算方法
補助金の返済額は、「補助金額×年10.95%」で算出されます。
指定された期日までに納付しないと延滞金が発生するため、できる限り早く補助金を返還しましょう。
延滞金は納期翌日から発生し、「返済額×年10.95%」で算出されます。
※参考:補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律|e-Gov法令検索
補助金に関する他の仕訳
補助金の申請から受給に至るまでには多くのプロセスがあり、それぞれのタイミングで仕訳が必要です。
補助金に関する仕訳のやり方を解説します。
補助金を申請するとき
補助金を申請するときは、会計処理の必要はありません。
会計処理が不要となる理由は、取引や金銭のやり取りが発生していないためです。
補助金には審査があるため、申請したのみでは受給できるか分かりません。
事務局から採択結果を受け取った時点で、会計処理をしましょう。
補助金の受給が確定したとき
補助金の受給が確定したタイミングで記帳します。
会計処理は発生主義であり、実際にお金を受け取っていなくても、取引が発生した時点で記帳する必要があります。
借方に「未収入金」貸方に「雑収入」を選択して、受給金額を記載しましょう。

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補助金を受給したとき
補助金が口座に振り込まれたタイミングでも、記帳が必要です。
受給確定時に記帳した「未収入金」を「預金」に変更しましょう。
また、「雑収入」としていた部分は「未収入金」に変更してください。

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補助金の申請と入金間に決算があるとき
受給確定から入金までのスパンが短い場合は、借方に「預金」、貸方に「雑収入」で仕訳をします。
しかし、補助金の申請から入金されるまでは時間がかるものです。
入金が決算をまたいでしまう場合は、借方に「未収入金」、貸方に「雑収入」として見積もりで計上しましょう。
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補助金の収益納付が発生したとき
収益納付とは、補助事業で相当な利益が発生したときに、補助金の一部を返還(返納)することです。
ペナルティとしての返還とは異なりますが、収益納付が発生したときも仕訳が必要です。
借方に「雑損失」、貸方に「預金」と記帳しましょう。![]()

2種類の圧縮記帳の仕訳
圧縮記帳には、直接減額方式と積立金方式があります。
2種類の仕訳方法を解説します。
直接減額方式
直接減額方式とは、固定資産の購入時に、補助金の総額を「固定資産圧縮損」として記帳することです。
5年で減価償却する200万の設備の購入費用として、100万円の補助金を受給したとしましょう。定額法では毎年同じ額を計上するので、減価償却費は(200万円-100万円)÷5年を計算して20万円です。一方、直接減額方式を行わない場合は200万円を5年で減価償却するため、減価償却費は40万円となります。
◇直接減額方式(補助金100,000受け取り、固定資産300,000を購入した時の仕訳)

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積立金方式の仕訳
積立金方式とは、決算時に「繰越利益剰余金」と「圧縮積立金」を計上することです。積立金方式では、直接減額方式のように「固定資産圧縮損」は発生しません。「固定資産圧縮損」がなければ一見利益は増えるように見えますが、「圧縮積立金」が計上されるため利益が相殺されます。直接減額方式と比べると、積立金方式はやや記帳が複雑です。

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補助金の仕訳における注意点
補助金の仕訳における注意点を解説します。
補助金は受給確定から入金までのタイムラグが長い場合がありますが、適切に仕訳しましょう。
法人の場合は補助金に法人税が課される
補助金は事業で発生したお金ではありませんが、収益には違いないため課税対象です。
法人の場合は法人税が課され、個人事業主の場合は所得税が課されます。
消費税については、補助金は課税対象ではありません。
消費税の課税要件の「対価を得て行うものであること」「事業者が事業として行うものであること」などに、補助金は該当しないためです。
確定から入金まで時間がかかる
上述したように、確定から入金までの期間によって、補助金の仕訳のやり方は変わります。
確定から入金までのスパンが短ければ、借方に預金、貸方に雑収入として仕訳して構いません。
ただし、確定から入金までのスパンが長ければ、決算時に未収入金として計上していたものを、入金後に預金に変更する工程が必要となります。
会計処理を忘れたまま確定申告すると、ペナルティを課される場合もあるためご注意ください。
圧縮記帳したのちに返還が決まると追加納付が必要になる
圧縮記帳の条件には「返還不要の確定」があります。
圧縮記帳で仕訳したのちに返還が決まると、差額の法人税を追加納付しなければなりません。
ちなみに圧縮記帳とは、補助金に対する1年あたりの課税負担を軽減するための処置です。
補助金は法人税や所得税の課税対象となります。
しかし、一度に高額な納税をするようでは、補助金をもらうメリットが薄れてしまうと考える人も多いのではないでしょうか。
圧縮記帳を選択すると、1年あたりの納税の負担を大きく減らすことが出来ます。
まとめ
補助金の申請から受給までには、いくつか仕訳のタイミングがあります。
それぞれの工程で、適した勘定科目を選んで仕訳しましょう。
なお、補助金は返還を求められる場合があります。
採択された補助金を返還しなくて済むように、各種手続きや事業の進め方にご注意ください。
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この記事の執筆者

村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。
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