ものづくり補助金の活用は、中小零細企業にとって飛躍のチャンスです。採択により事業拡大を実現できるだけでなく、採択事例を知ると今後の企業活動の参考にもなります。
この記事では、ものづくり補助金の概要や事例を解説します。採択のポイントも解説するため、ぜひ参考にしてください。
2023.08.10
ものづくり補助金
目次
ものづくり補助金の活用は、中小零細企業にとって飛躍のチャンスです。採択により事業拡大を実現できるだけでなく、採択事例を知ると今後の企業活動の参考にもなります。
この記事では、ものづくり補助金の概要や事例を解説します。採択のポイントも解説するため、ぜひ参考にしてください。
ものづくり補助金の正式名は、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金です。ものづくり補助金の対象は中小企業などであり、業務の生産性向上が目的となっています。革新的なサービスや商品を開発したり、生産プロセスを改善したりするうえで必要な設備の導入のために補助金を活用可能です。
ものづくり補助金には5つの枠があり、それぞれ補助金額や補助率が異なります。詳細は以下で解説します。
※本記事の内容は、ものづくり補助金16次締切に合わせて作成したものとなっています。
最新2024年(令和6年)のものづくり補助金については次の記事で詳しく解説しています。
▼2024年(令和6年)ものづくり補助金の最新情報まとめ
https://planbase.co.jp/column/264/
ものづくり補助金には、通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠、グローバル市場開拓枠の5つの枠があります。補助金額は従業員数によってさまざまです。各枠の詳細について解説します。
通常枠は、革新的なサービスや商品を開発するために活用できる補助金です。生産のプロセスやサービスの提供方法の改善に必要な設備やシステムの導入にかかる費用を支給しています。通常枠の補助金額は100~1,250万円です。補助率は、小規模企業者・小規模事業者は1/2、再生事業者は2/3となっています。
回復型賃上げ・雇用拡大枠は、賃上げや雇用拡大に積極的に取り組む事業者を対象とする補助金です。通常枠の条件も満たしていることが前提となります。通常枠と同様、補助金額は100~1,250万円です。ただし、補助率は一律で2/3となっています。
デジタル枠は、通常枠の条件に加えてDXに取り組む事業者が対象となる補助金です。デジタル技術の活用により生産のプロセスやサービスの提供方法の改善を目指す必要があります。採択された場合、必要な設備やシステムの導入にかかる費用の支援を受けられます。補助金額は100~1,250万円で、補助率は2/3です。 デジタル枠については次の記事で丁寧に解説しています。
▼ものづくり補助金のデジタル枠とは
https://planbase.co.jp/column/220/
グリーン枠は、温室効果ガスの排出削減のための取り組みを展開し、温室効果ガスの排出量を削減する事業者向けの補助金です。通常枠の条件を満たしたうえで、温室効果ガスの排出を削減できるよう生産のプロセスやサービスの提供方法の改善する必要があります。補助金額は100~4,000万円であり、類型が3つに分けられています。補助率は2/3です。 グリーン枠については次の記事を参考にしてみてください。
▼ものづくり補助金のグリーン枠とは
https://planbase.co.jp/column/221/
グローバル市場開拓枠は、海外事業の拡大や強化を目的とする補助金です。通常枠の条件を満たしたうえで、海外事業を強化するために必要なシステムや設備を導入する必要があります。グローバル市場開拓枠は、海外直接投資類型、外市場開拓類型、インバウンド市場開拓類型、海外事業者との共同事業類型の4つの類型に分かれています。 補助金額は100~3,000万円です。補助率は基本的に1/2ですが、小規模企業者・小規模事業者については2/3となっています。 ここからは、実際の採択事例を紹介します。
株式会社エース・クリーンは、一般廃棄物・産業廃棄物の収集、運搬、中間処理などを行う企業です。産官学民の連携により、古い技術を有効活用して異業種へ参入しています。既存の設備に課題を感じ、ものづくり補助金を活用して新しい設備を導入したところ、今後は付加価値の向上やコスト削減などを目標としつつ、技術の普及を目指すとのことです。課題はまだ多くあり、研究開発の余地も残されています。さらなる事業拡大に向け、今後ますます取り組みが活発化するでしょう。
上北農産加工株式会社は「スタミナ源たれ」で有名な企業です。もともとは緬羊飼育の農家の組合が母体となって設立されました。地元の原料や手作業にこだわり、長年培ってきた製法を守りながら製品を作り続けている一方で、新しい商品の開発にも果敢にチャレンジしています。 同社は、地元酒造メーカーが廃棄に悩んでいた大量の酒粕を有効活用するために、赤酢の開発にも着手することになりました。その過程で必要な設備のを導入するために、ものづくり補助金を活用しています。設備の導入により、今後は赤酢を新しい看板商品として売り出すべく、機能性表示食品の表示認可の取得や業務用食品の調味料としての認知拡大などにも積極的に取り組んでいくそうです。
東洋興商株式会社は、もともと海外進出を検討していました。ジェトロが展開する輸出支援サービスをきっかけとして、光触媒技術による中国の飲食業界への進出を決意しました。さまざまな企業と連携し指導や助言を受けながら目標の性能を達成しています。 同社は、中国の飲食業界の要望を満たす性能を実現するため、ものづくり補助金により設備を導入しました。ものづくり補助金の活用は単に遠隔操作を可能にするためDX化にも力を入れており、2024年を目途に製造販売を実現する見込みです。
うみの株式会社は、養殖用二枚貝種苗を生産する企業です。国内民間企業として初めて三倍体マガキ種苗の生産体制も確立しています。ただし、機械の導入や販路拡大などに関して課題を抱えていました。 そこで、ものづくり補助金の活用により必要な機械を導入し、生産体制を強化しました。商品の供給や品質の保証が可能になり、顧客の不安や課題の解決にもつながっています。今後はより広範囲の顧客の支援に力を入れるため、生産者情報を充実させたWebサイトの開発やECサイトの強化などにも着手しています。
ものづくり補助金で採択されるためにはさまざまなポイントがあります。以下で詳しく解説します。
ものづくり補助金の申請においては、前提として要件をすべて満たす必要があります。申請しても、満たしていない要件が1つでもあれば採択されません。申請時は内容だけでなく、要件をすべて満たしているかについても細かくチェックする必要があります。補助対象事業として適格であるか確認したうえで申請しましょう。
ものづくり補助金の申請においては、技術面についての確認事項もあります。まず、申請する事業は革新的なサービスや商品の開発でなければなりません。また、開発の課題とその解決方法が明確であり、解決方法の妥当性が客観的に認められる必要があります。さらに、補助事業を実現できる技術的能力の証明も求められます。 申請内容がものづくり補助金の趣旨に合致する事業であり、実現可能性についても説明できなければなりません。
申請内容が事業として問題なく成り立つかどうかも重要です。財務状況を考慮したうえで補助事業を適切に実行できると伝える必要があります。補助事業によってもたらされる成果が事業の成功に直結するとアピールしましょう。説得力を高めるためにも、定量的な指標を用いることがおすすめです。 また、事業を成功させるには市場のニーズの有無も重要であり、市場のニーズを十分に確認しているかどうかもチェックされます。
政策では、地域の特性を活かしてより高い付加価値を提供できるか見られています。そのためにはニッチな分野についても適切なマーケティングが必要不可欠です。さらに、難しい課題に対して複数の事業者が連携できるか、環境に配慮した事業を実現できるか、ポストコロナを意識した経済構造の転換が可能かなどもチェックされています。
ここまで解説してきた採択のポイントに加え、ものづくり補助金には加点項目が設けられています。採択の可能性を上げるには、加点項目をクリアすることも大切です。具体的な加点項目をあげると以下のとおりです。
・成長性加点
・政策加点
・災害等加点
・賃上げ加点
成長性加点は、「経営革新計画」の承認を受けた場合に行われます。また、創業から5年以内の事業者は、政策加点の対象です。災害対策を盛り込んだ「事業継続力強化計画」が認定されれば、災害等加点も受けられます。従業員の賃上げに関する条件をクリアした場合、賃上げ加点の対象にもなります。 ものづくり補助金の加点項目については次の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
▼ものづくり補助金の加点項目について
https://planbase.co.jp/column/202/
本記事では、ものづくり補助金の採択事例について紹介しました。事例から分かるように、生産効率を高めたり、製品の質を高めたりする事業が多く採択されています。ものづくり補助金は、さまざまな設備や機械導入のために活用できます。採択されるためのポイントを押さえ、適切に手続きを進めましょう。
▼2024年(令和6年)ものづくり補助金の最新情報まとめ
https://planbase.co.jp/column/264/
株式会社プランベースは、中小企業に特化して補助金申請を支援しています。経済産業省が認定する支援機関であり、採択件数は全国トップクラスです。ものづくり補助金の申請についても徹底的にサポートしているため、ぜひ気軽に相談してください。
▼ものづくり補助金の無料相談はこちら
https://planbase.co.jp/lp/monodukuri/
村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。
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