今回は、事業再構築補助金に採択された方向けに事業再構築補助金を受け取るために必須の手続きである「交付申請」の実施方法や必要書類について解説させていただきます。 (2023年3月10日更新)
▼交付決定が遅い理由や交付決定を早める方法はこちら
https://planbase.co.jp/column/176/
▼事業再構築補助金に採択された後の無料相談はこちら
https://saitakugo-support.meditips.jp/
2022.11.15
事業再構築補助金
目次
今回は、事業再構築補助金に採択された方向けに事業再構築補助金を受け取るために必須の手続きである「交付申請」の実施方法や必要書類について解説させていただきます。 (2023年3月10日更新)
▼交付決定が遅い理由や交付決定を早める方法はこちら
https://planbase.co.jp/column/176/
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事業再構築補助金では、採択された後に「交付申請」という手続きを行い、交付決定を受ける必要があります。交付決定をもって補助金額が確定し、会計上も発生したとみなすなど、交付決定は非常に重要な手続きとなります。
また、応募時点の見積もり金額や導入設備等はある程度変更可能であることが多いのですが、交付決定後の金額や導入設備等の変更は認められないこともあるため、交付申請は慎重に行う必要があります。
交付申請は補助金の申請が初めての方には慣れない作業が多く、難易度が高い作業ですので、今回は補助金初心者の士業やコンサルタント、補助金を初めて申請した担当者様向けに基本的な流れや必要書類、気を付けるべき点をわかりやすく解説します。
なお、より正確な内容は事業再構築補助金の事務局が公開している「補助事業の手引き」をご確認ください。
まずは補助金採択後の基本的な流れを解説します。採択後の流れは下の図の通りです。交付申請は採択通知を受けた後、その次に実施する手続きとなっています。
なお、採択通知や交付決定の前から補助事業を実施する事前着手を行う場合は、交付決定の前から補助事業の実施が可能となっています。
次に事業再構築補助金の交付申請の基本的な流れは下記のとおりです。
①「交付申請書別紙1」をダウンロードする ②見積依頼書と見積書、相見積書、図面などを準備する ③決算書や履歴事項全部証明書などの必要書類を準備する ④取得財産誓約書(参考様式21)と交付申請書別紙1に必要事項を記載する ⑤必要書類をすべてZIPにまとめてjグランツから交付申請する |
今回は①~⑤の作業を画像付きで解説させていただきます。
事業再構築補助金の交付申請に必要な資料についてもここで一度すべてまとめさせていただきます。
【交付申請の必要書類】 |
・履歴事項全部証明書(法人の場合)、確定申告書(個人事業主の場合) ・決算書 ・見積依頼書および見積書(相見積分も必須) ・見取り図(建物がある場合) ・参考様式21「取得財産に係る誓約書」 |
交付申請を行うには、まずは「交付申請書別紙1」をダウンロードして入手する必要があります。採択された事業者は電子申請システムにログインし、「交付申請書別紙ファイル」ボタンからダウンロードしたファイルを使用してください。
ダウンロードのための電子申請システムはこちら。
GbizIDを使用してログインすると「交付申請書別紙1ファイル」というボタンが表示されるので、ボタンをクリックすると交付申請書別紙1_R999999999.xlsx」のようなファイルがダウンロードできます。このファイルには応募申請時点に入力した内容が反映されているため、交付申請には必ずここでダウンロードした交付申請書別紙1を使用してください。
ここでは見積書や相見積書、見積依頼書の作成方法や作成する際の注意点を解説します。
交付申請で一番重要なのはここで実施する見積書と相見積書の準備です。見積書の様式はいつもの取引で使用するような見積もりでも問題ないのですが、事業再構築補助金の場合建物費や設備導入費の見積書は1社分だけでは不十分で、相見積書を取得する必要があります。ここでは相見積書を取得する際の注意点をまとめます。
相見積書は最終的に発注する先の見積もりと項目をできるだけ揃える必要があります。項目がずれている場合は設備やサービスの比較ができないためです。見積もりの項目を一致させることがどうしてもできない場合やそもそも相見積書を準備することが不可能な場合(独占的に販売されているものの場合など)は事務局に相談してください。
相見積書がどうしても取得できない場合は、「業者選定理由書」を提出することで相見積の提出が免除されるケースがあります。業者選定理由書の提出によって相見積書の提出が免除されるための条件は「知的財産権や独占販売権などで販売元が限られているような場合が客観的にわかる場合」となっており、原則見積書と相見積書が必須となります。
例えば、「過去に利用したことがある業者だから」「ノウハウがあることで有名な業者だから」「相見積を出してくれる会社が見つからなかったから」などの理由では認められません。
業者選定理由書はこちらからダウンロードできます。
また、見積書の修正で非常に多いのが見積もりの発行日と有効期限についてです。発行日が実際の発注日の後になってしまっていたり、有効期限が発注日よりも前(期限切れ)になってしまっている場合は見積書を取り直すことを求められる場合もあるため、発行日や有効期限についてはよく確認しましょう。
次に、見積依頼書についてです。見積依頼書は通常の取引ではあまり使用しませんが、補助金では必要になる書類です。発注する業者と相見積を発行した事業者の双方宛に作成する必要があります。
中小企業庁公表の見積依頼書のフォーマットはこちらからダウンロードできます。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/documents/jgrants_nyuryoku01.zip
作成に当たって注意すべきなのは見積依頼書の発行日と提出締切日です。
対応する見積の発行日を確認し、見積依頼書の発行日は見積書の発行日よりも前、見積依頼書に記載の提出締切日は見積書の発行日よりも後に設定しましょう。
続いて、決算書や履歴事項全部証明書などの必要書類について解説させていただきます。 以下に法人、個人それぞれで必要となる書類をまとめました。法人、個人で必要となる書類が異なるため注意しましょう。
法人・・・決算書、履歴事項全部証明書 個人事業主・・・青色申告決算書/収支内訳書(白色申告)、確定申告書 |
決算書等に関しては直近の確定したものが必要となります。また、履歴事項全部証明書は交付申請書提出日より過去3ヶ月以内に発行された(最新の情報が記載されている)もの、かつ全てのページが必要となります。
※ただし、応募申請時に上記の必要書類を提出している場合は、提出済みの書類については再度提出することは不要です。
交付申請書別紙同様、取得財産に係る誓約書(参考様式21)についても中小企業庁が公表しているものを、ダウンロードして必要事項を記載する必要があります。 以下が取得財産誓約書(参考様式21)になります。ダウンロードはこちらの「参考様式 第●回公募用(ZIP)」のボタンから可能です。
続いて、先にダウンロードした交付申請書別紙1に必要事項を記載していきます。この時、注意が必要となるのが、交付申請書別紙1の内容に応募時と変更があった場合や、応募時には内容が未定だったが確定した場合です。このような場合は、内容の修正や追加入力を行う必要があります。ただし、応募時の事業計画、成果目標、事業の主旨・目的等の変更は認められていないので注意しましょう。
他のすべての資料が集まったら、交付申請に必要な「交付申請書別紙1」の修正・作成に移ります。すでにダウンロードしていただいた交付申請書別紙1には応募時点の申請内容が転記されていますが、見積もりを取り直すなどした際に金額が変わっていたり、従業員数や会社所在地などの情報が変更になっていたりと修正が必要な場合も多いかと思います。 ここではよく修正することになる「1.申請者の概要」「4.事業概要(5)」「6.経費明細表」の記載方法について、簡単に解説させていただきます。
まずは目次の次の最初のシートである「1.申請者の概要」についてです。修正が必要になりやすい場所としては従業員数、補助事業の実施場所、担当者の連絡先などがあげられるかと思います。
特に担当者の連絡先は今後頻繁に連絡を取る必要がある方の情報を入れるため、元々の担当者が変更になっていたり、退職してしまっている場合などは必ず変更しておきましょう。
続いて、本事業により取得する主な資産を記載する「4.事業概要(5)」についてです。ここは本事業で取得する建物、機械装置、システムのうち、単価が50万円以上のものについて、その日本標準商品分類の中分類と取得予定価格、事業実施場所を記載する部分になります。
取得する資産についての変更が無ければ修正する必要はありませんが、見積もりを取り直した結果金額が変わっている場合などで修正が必要になるので気をつけてください。
最後に、補助金の申請において一番重要で間違えてはいけない部分である「6.経費明細表」についてです。
経費明細表については直接記入する形式では無く、Q列のリンクから飛ぶことができる経費区分ごとの明細書(費目別支出明細書)に詳細を記載することで自動的に転記される仕組みになっています。
費目別支出明細書には内容および仕様等詳細、数量、単位、単価、補助対象経費等をすべての品目について記載します。内容および仕様については基本的に見積もりに記載されているものを転記しますが、わかりにくい場合はわかりやすい名前に変更した方がよいかと思います。
必要書類を準備できたら、jグランツに必要事項を入力していく交付申請を行います。 交付申請の入力方法や入力内容でお困りの際は、中小企業庁が公表している入力ガイドが参考になります。入力ガイドはこちらのURLから参照、ダウンロードすることができます。
https://drive.google.com/file/d/1NGFqCo2uDqn4rZI0HnuyM8IgK367P4Ey/view?usp=share_link
以下の写真のように上記URLのファイルのP17から、交付申請の際の具体的な入力ガイドが記載されています。実際の画面と共に詳細に書かれていますので、jグランツ上の操作している画面と入力ガイドを照らし合わせながら内容を入力していきましょう。
事業再構築補助金の交付申請や交付決定には明確な期限が設けられていません。しかし事業再構築補助金では、原則として交付申請を行い、その後の交付決定を受けないと事業を開始することができないため、交付申請が遅れれば遅れるほど、補助事業のスタートも遅れることになります。
補助事業実施期間は、交付決定日~12ヶ月以内(グリーン枠は14カ月以内)かつ採択発表日~14カ月以内(グリーン枠は16カ月以内)となっています。つまり、交付申請が遅れる(採択発表日から交付決定までに2ヶ月以上かかってしまう)と、補助事業実施期間が本来の12ヶ月よりも短くなってしまうのです。補助事業実施期間内に、支払いや実績報告等の補助金に関する全ての手続きを完了する必要があるため、事業の実施期間が短くなってしまうことは基本的にマイナスといえます。
また、最初に交付申請をしてから交付決定または差戻しの返答が返ってくるまでには1カ月ほどとかなりの期間がかかってしまうため、とにかく早めに交付申請を行うことが重要です。
必要書類が不足していたり、見積書と相見積書の名称が一致していないなどの書類の不備がある場合は、「差戻し」が発生し、不足書類の提出や書類の不備の訂正を求められます。上記でも書きましたが、交付決定が遅れるとそれだけ事業の開始が遅れることになってしまうため、差戻しが発生したら可能な限り迅速に対応するようにしましょう。 差戻しの事例としては事業再構築補助金事務局が、よくある交付申請時の不備事例を次のように挙げています。
1. 契約先(発注先)1者あたりの見積額の合計が50万円以上(税抜き)の建物費を 計上し申請されているが、相見積書の提出がない。 2. 見積書には、○○工事 とあるが、相見積書には、△△工事とあり、工事名称が一致し ていない。 3. 提出される見積書と経費明細表が一致していない。(特に積算基礎の項目) 4. 経費明細表の積算基礎に「名称、単価、数量、単位(※第3回公募以降の場合) 」が 記載されていない。 5. 経費明細表の数字を修正したが、4.事業概要(5)「本事業で取得する主な資産」 が修正されていない。 6. jGrantsのマイページに事業再構築補助金の申請が複数存在している。 |
上記の差戻し事例の詳細や、その修正方法については事務局が公表しているこちらの資料で確認することができます。
(事業再構築補助金 交付申請にあたってご注意いただくこと)
交付申請の差戻しを受けた際は、再申請を行う必要があります。ここで注意が必要なのは、新規で申請を行わず再申請することです。誤って新規の申請を行ってしまうと複数申請となってしまい、更に差戻しを受けることになってしまいます。以下で再申請の方法を解説していますので、よく確認しながら再申請を進めていきましょう。
まずは、jグランツのマイページにアクセスし「申請履歴」の項目から、「補助事業名」の部分をクリックします。ここで、「補助金名」をクリックして申請を進めると、新規の申請となり複数申請となってしまうため、「補助金名」ではなく必ず「補助事業名」の部分をクリックしましょう。
補助事業名を選択した後、「作成済みの申請」から申請状況で「差戻し対応中」となっている申請を選択し、修正を行います。
書類の不備等の修正が完了したら忘れずに「申請する」ボタンを押しましょう。これで、交付申請の差戻しにおける、再申請は完了となります。
ここまで見てきたように、事業再構築補助金の交付申請は必要書類が多く難易度の高い作業かつ、補助金額や設備等が確定される重要な作業です。この交付申請ご自身の手で行うのは難易度が高く、多くの時間と労力を要するため、多くの方が交付申請を外部のコンサルタント等に依頼しています。
交付申請の代行の依頼体系としては、①補助金の申請支援と一括で依頼する、②交付申請のみを依頼するの2パターンがあります。
②交付申請のみの代行を依頼する場合の相場としては、20~30万円程度が一般的です。基本的には、①補助金の申請支援と一括で依頼するパターンの方が料金が安く済むことが多いため、不安な方は補助金の申請支援を依頼する段階で交付決定までサポートしてくれるのか等をよく確認しておくことをオススメします。
以上で解説したように、今回は補助金採択後の重要な手続きである交付申請について解説してきました。交付申請が完了した後は事業を実施していただき、事業が完了すれば「実績報告」を行って補助金の請求が可能になります。実績報告の方法についてもわかりやすい記事を作成していますので、是非ご確認ください。
▼実績報告についての詳しい解説はこちら
記事からもわかる通り、交付申請手続きは非常に煩雑でありながら、補助金を受け取るために必須の手続きであるため、手続きや書類の準備が難しく困難である場合には、外部の認定支援機関等にご相談いただくのも一つの手かと思われます。
▼事業再構築補助金の無料相談はこちら
村上 貴弘
東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。
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