事業再構築補助金の採択率

COLUMN お役立ちコラム

2023.08.28

事業再構築補助金

事業再構築補助金は採択率が低いのか|直近の結果から不採択理由や採択されるポイントを解説

コロナ禍による影響を受けた中小企業や中堅企業は、事業再構築補助金を活用できます。事業再構築補助金は、他の補助金制度と比べても補助額が大きく、利用したほうが今後の経営に役立ちます。 しかし、事業再構築補助金の申請には、書類の準備に手間がかかります。そのため、採択されるか心配でなかなか手が出せないという企業もあるでしょう。 この記事では、直近の採択の結果から、不採択理由や採択される5つのポイントを紹介していきます。

第8回の事業再構築補助金の採択率

第8回の事業再構築補助金の採択率

事業再構築補助金の採択結果は、第8回公募分までが公開されています。直近の第8回公募を見てみると、12,591件の応募のなか、6,456件が採択されています。全体の採択率は51.3%です。

また、採択された金額は、100~1,500万円が4割近くあり、次いで1,501~3,000万が3割程度を占めています。
第8回公募では、応募した企業の約半分くらいが採択され、3,000万円までの大きな額の支援が決定しています。 

枠・業種別でみる事業再構築補助金の採択率

枠・業種別でみる事業再構築補助金の採択率

事業再構築補助金の採択率は、枠や業種によっても多少異なるので、自社の申請内容に合った採択率を参考にするとよいでしょう。 ここからは、事業再構築補助金の枠と申請した企業の業種別にして、採択率を解説します。なお、採択結果は第8回公募分を参考にします。  

枠別の採択率

枠別の採択率は以下の通りです。 

  応募数 採択数 採択率
通常枠 7,261件 3,562件 49.1%
大規模賃金引上枠 8件 4件 50.0%
回復・再生応援枠 1,522件 879件 57.8%
最低賃金枠 165件 117件 70.9%
グリーン成長枠 434件 173件 39.9%
緊急対策枠 3,201件 1,721件 53.8%

 枠別にみてみると、採択率は、最低賃金枠が最も高く、グリーン成長枠が低い傾向にあります。また、応募数の多い通常枠、緊急対策枠、回復・再生応援枠では、50%以上の採択率があります。  

どの枠であっても補助額は大きいため、申請すれば必ず採択されるということはなく、各枠ごとに必要な書類をしっかり準備しなければなりません。採択結果を見ても、最低賃金枠以外は約半数が落とされていることがわかります。  

業種別の採択率

応募した企業の業種別で採択率は発表されていませんが、応募件数の割合を採択件数の割合が発表されています。どの業種がどのくらい応募して採択されているのかは、以下の表で確認してください。 

  応募割合 (12,591件中の割合) 採択割合 (6,456件中の割合)
建設業 13.1% 13.0%
製造業 19.6% 25.5%
情報通信業 3.5% 3.2%
運輸業・郵便業 1.4% 1.6%
卸売業・小売業 15.9% 15.3%
不動産業・物品賃貸業 4.3% 3.4%
学術研究・専門、技術サービス業 6.3% 5.8%
宿泊業・飲食サービス業 14.7% 15.1%
生活関連サービス業・娯楽業 7.7% 6.2%
教育・学習支援業 1.6% 1.3%
医療・福祉 3.8% 2.5%
その他サービス業 6.0% 5.4%
その他 2.1% 1.7%

  この結果から、製造業、卸売・小売業、宿泊業・飲食サービス業の応募が多く、採択割合も多いことがわかります。採択率は、製造業が他の業種と比べると高めで、次いで宿泊業・飲食サービス業となっています。 前回までの傾向と比べ、第8回公募は~ それに対する見解  

事業再構築補助金の採択率はどう推移しているのか

事業再構築補助金の採択率はどう推移しているのか

以下の表では、事業再構築補助金の採択率を、第1回公募分から第8回分までまとめました。   

公募回 応募数 採択数 採択率
第1回 22,231件 8,016件 36.0%
第2回 20,800件 9,336件 44.8%
第3回 20,307件 9,021件 44.4%
第4回 19,673件 8,810件 44.7%
第5回 21,035件 9,707件 46.1%
第6回 15,340件 7,669件 49.9%
第7回 15,132件 7,745件 51.2%
第8回 12,591件 6,456件 51.3%

  事業再構築補助金の全体の採択率は第1回から増加傾向にあり、直近の第8回では最高の51.3%となりました。新型コロナウイルスによる影響が落ち着き、応募件数は少しずつ減っているものの、応募要件が変更されているほか、廃止枠や新設枠もあるため、一概に採択されやすくなったといえません。   今後採択されるためは、過去の採択事例の傾向や不採択になる理由をしっかり把握し、対策が必要です。

事業再構築補助金で不採択になる主な理由

事業再構築補助金で不採択になる主な理由

これまでの採択率をみると、事業再構築補助金では、およそ半数程度の応募が不採択になっています。ここからは、なぜ不採択となってしまうのか、3つの主な理由を解説します。  

必要書類の不備

提出する書類に不備があると、審査まで進めずに不採択となる可能性があります。事業再構築補助金は、通常枠でも必要書類が多く、枠によってはさらに追加で書類が必要となるため、提出忘れや漏れがないように丁寧なチェックが必要です。 必要書類やフォーマットについては次の記事で詳細を解説しています。

▼事業再構築補助金の必要書類とは?申請枠ごとに必要な書類やフォーマットについても解説!
https://planbase.co.jp/column/193/

また、形式が決まっている書類もあるため、フォーマットを利用せずに用意すると不備があると判断されてしまうケースもあります。ただし、差し戻しがあった場合は再提出が可能です。再提出する場合は、新規申請にしないよう注意が必要です。 差し戻しされたときの対処法については次の記事で詳細を解説しています。

▼事業再構築補助金の交付申請書類が差し戻しされたときの対処法とは?注意点や基本手順を解説!
https://planbase.co.jp/column/189/

公募要項に沿った事業計画書になっていない

事業再構築補助金のどの枠にも共通して必要となる「事業計画書」は、A4サイズで最大15ページ以内で作成しなければなりません。決められたフォーマットのなかで、公募要項を満たしていることを示す必要があります。 

また、事業計画書には最低限以下5つの内容を含めなければなりません。 

・補助事業の具体的な取り組み内容(進捗情報、既存の事業との違い、事業体制など)
・応募する枠
・補助事業の将来性
・補助事業で獲得する資産
・収益計画(スケジュール、資金調達の計画など)  

対象とはならない枠を選んでいる、間違った補助額で申請しているなど、事業計画書の内容が公募要項に沿っていないと不受理となるので、注意しながら作成しましょう。  

事業の成果が見込めない

事業再構築補助金の対象となる補助事業は、3~5年間の成果が見込めることが条件となります。そのため、財務状況や実施体制、市場の状況など、事業の実現性があるのかも確認されます。   さらに、金融機関からの融資状況など、資金面も大事です。成果が見込めないと判断されてしまうと、採択は難しくなります。

▼事業再構築補助金の不採択理由と取るべき行動は?
https://planbase.co.jp/column/194/

事業再構築補助金で採択されるためのポイント

事業再構築補助金で採択されるためのポイント

ここからは、事業再構築補助金を申請して採択されるために知っておきたいポイントについて解説します。  

計画性の高い事業計画書を作成する

事業再構築補助金で採択されるためには、説得力のある事業計画書が必要です。市場調査や費用対効果などをしっかり分析し、計画性のある事業計画書を作成しましょう。

事業再構築補助金の公式サイトでは、採択事業の事業計画書が公開されているので、参考にできます。

ミラサポplusの「虎の巻」を参考にする

経済産業省が中小企業向けに情報提供している「ミラサポplus」では、虎の巻として事業再構築補助金のポイントを公開しています。公開されている情報をもとに書類を準備していけば、ポイントを抑えた書類作成が可能です。  

関連資料やPDFガイドブック、YouTube動画などが公開されているため、申請準備する前に目を通しておきましょう。 

※参考:ミラサポplus

専門家にコンサルティングを依頼する

採択されやすい事業計画書の作成や、漏れのない書類の準備には、専門家のサポートが役立ちます。補助金制度に関する知識が豊富な専門家のコンサルティングなどを受ければ、手間を省いてスムーズに補助金申請が可能です。 

採択されやすい書類の準備だけでなく、既存事業や新事業の業務に支障をきたさないためにも、申請にかかる負担を軽減させることも必要です。  

事業再構築補助金で不採択になってしまった時の対処

事業再構築補助金で不採択になってしまった時の対処

事業再構築補助金は、不採択になった場合でも、次回以降の公募で再申請が可能です。しかし、申請内容を変えずに再申請しても結果は変わらないため、見直しは必要となります。  

また、不採択となった理由は、事業再構築補助金事務局コールセンターに電話すると教えてもらえます。不採択理由を確認した後、再申請を希望するなら早目に修正に取り掛かる事が大事です。  

今後の事業再構築補助金の公募スケジュール

今後の事業再構築補助金の公募スケジュール

事業再構築補助金の第9回公募は、令和5年1月16日~令和5年3月24日で実施され、現在は終了しています。また、第10回公募も予定されており、スケジュールは令和5年3月30日~令和5年6月30日18:00までと発表されています。  

第11回以降の予定はまだ未定です。最新の情報は、事業再構築補助金の公式サイトでご確認ください。  

※参考:事業再構築補助金  

事業再構築補助金の申請条件

事業再構築補助金の申請条件

事業再構築補助金の補助対象は、日本国内に本社がある中小企業や中堅企業です。さらに、採択されるには、応募する枠ごとに定められた要件を満たす必要があります。   ただし、第10回から応募枠に変更があるので注意が必要です。応募枠は全部で8つとなっており、それぞれで要件を満たしていることを証明する書類の提出が必要となります。  

第10回公募からの応募枠は、以下の通りです。

・成長枠
・グリーン成長枠(エントリー)
・グリーン成長枠(スタンダード)
・卒業促進枠
・大規模賃金引上促進枠
・産業構造転換枠
・サプライチェーン強靱化枠
・最低賃金枠及び物価高騰対策・回復再生応援枠  

まとめ

まとめ

事業再構築補助金の採択率は、第8回公募で51.3%となっており、年々上昇しています。ただし、採択されやすくなったというわけではなく、引き続き対策は必要です。また、申請には認定支援機関の確認が必須となっているため、信頼できる機関をみつけて、サポートを受ける必要があります。  

事業再構築補助金の申請サポートには、中小企業向けの補助金申請支援や制度活用支援を専門としている「株式会社プランベース」がおすすめです。経済産業省認定支援機関でもあり、採択件数は全国トップクラスを誇ります。  

これから事業再構築補助金の申請を検討している企業の方は、ぜひ以下よりご相談ください。
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この記事の執筆者

村上 貴弘

村上 貴弘

東京大学経済学部卒。
中小企業診断士、行政書士。
2019年株式会社プランベース創業。
2021年meditips行政書士事務所開業。
製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業など幅広い業種の補助金申請支援実績が豊富。特に事業再構築補助金やものづくり補助金、成長投資補助金といった大規模な補助金の申請に強みを持つ。